FWが健闘、ディフェンスも改善された日本代表が、南半球スーパー14で今季12位のレッズに22-29(前半 8-22)と惜敗した。

11月には珍しいラグビーのナイトゲーム。平日の夜にもかかわらず、5千人を超すファンが国立競技場に集まった。午後7時に下井レフリーの笛でキックオフ。日本FWはブレイクダウンで激しく対抗し、前半37分にはラインアウト後のモールからトライも奪ってみせた。またディフェンスでは「ファイアー!」の声(飛び出せ!の合図)とともに揃って前へ出て、タックルをよく決めた。それでも前半19分と27分にレッズSHベリーの好判断から両WTBにトライされ、32分にはスクラムからSOハインズ→CTBベラタウと渡ったところを一度は倒しながらも飛び込まれてしまった。

ハーフタイムにはトップリーグでも好評のキッズチア(この日はジャムズの皆さん)。最後には"JPN"と書かれたプラカードを掲げて代表チームにエールを送ってくれた。
それに応えて後半13分、日本に待望の2トライ目が生まれる。ラインアウトモールでゴール前に迫った後、SH伊藤は大西(前半から途中出場)へパスアウト。カットインしてきたCTB吉田がマークとすれ違う瞬間に大西からのパスを受けてきれいに抜けた会心のプレーだった。日本は後半途中から、FL菊谷→オライリー、CTB赤沼→北川、NO8箕内→木曽、PR相馬→山村、LOバツベイ→赤塚などの選手入替を行いながら最後まで集中した戦いを見せ、37分にも前半同様ラインアウトモールからトライを奪い、レッズをSOハインズの1トライだけに抑えた。勝負どころのラインアウトでミスがあり、またBKラインはレッズディフェンスに封じ込まれるなど課題も残った日本だが、ワールドカップ最終予選を前に手応えを掴んだようだ。今月25日にはきっと2007W杯仏大会の切符を手に入れてくれるだろう。(米田太郎)

日本代表 22-29 レッズ   日本代表 22-29 レッズ   日本代表 22-29 レッズ
ジョーンズ ヘッドコーチ
ジョーンズ ヘッドコーチ

ロー キャプテン
ロー キャプテン

ラグビーワールドカップ2007アジア地区最終予選 強化試合

日本代表 22-29 レッズ

◎クイーンズランド・レッズ
○エディ・ジョーンズ ヘッドコーチ

「日本語でがんばってみます(笑)。今日の試合、レッズの若い選手たちはよい経験をしました。日本がとてもチャレンジしてきたので、アタックに余裕がなかった」

○ジョン・ロー キャプテン
「今日のメンバーを誇りに思います。果敢に攻めていましたし、みんな頑張っていた。日本チームは、トライアルマッチにも関わらず、テストマッチのような試合をしてきた。よく戦ったと思います」

――キャプテンは4日の試合にも出ていますが、4日の試合と比べてなにか違いを感じましたか。
○ロー キャプテン
「フィジカルの面で違いを感じました。ブレイクダウンのところも激しかったし、モールも強かった」

――日本代表の試合をたくさん見ていらっしゃいますが、いままでの日本代表と違う部分はありますか。
○ジョーンズ ヘッドコーチ
「ディフェンスがいいですね。タックル、ブレイクダウン、よかったと思います。でも日本のラグビーは勝つラグビーではない。毎試合ディフェンスばかりの試合が続く。ディフェンスを強化しつつ、アタックのかたちをどう盛り込んでいくか、日本のスタイルをつくるのが大切と思います」

――アタック面でのキープレイヤーは誰だと思いますか。
○ジョーンズ ヘッドコーチ
「10番がいいですよね。神戸のモリタ。パススキル、キッキングスキル、いい。あとはランニングセンター、パッシングセンターが大事ね」

――カーワン氏の影響をなにか感じましたか。
○ジョーンズ ヘッドコーチ
「イタリア代表のヘッドコーチだったときと同様、ディフェンスでのラインスピードのコントロールがうまいと思います」

日本代表 22-29 レッズ   日本代表 22-29 レッズ   日本代表 22-29 レッズ   日本代表 22-29 レッズ

太田GM兼ヘッドコーチ
太田GM兼ヘッドコーチ

大畑キャプテン
大畑キャプテン

カーワン アドバイザー
カーワン アドバイザー

◎日本代表

○太田治ジェネラルマネージャー兼ヘッドコーチ
「惜しいゲームでした。勝ちたかった。前半のタックルのミスなどあったが、チームの完成度は上がってきています。ディフェンスも前に出て、いいゲームができた」


○大畑大介キャプテン
「前半、体で動くよりも目で判断してしまうようなところがあって、失点につながってしまいました。次のワールドカップ予選では、きちっと自分たちのやりたいゲームをして、この(4日・10日の)2試合でいい経験ができた、といえるようにしたい」


○ジョン・カーワン アドバイザー
「今日の結果、チームを誇りに思います。前半のミス、特にタックルミスで、選手が自信をなくすような場面も見受けられましたが、ハーフタイム後は、勇気をもって体を張ったプレーをしてくれたと思います。ただアンフォースド・エラーやタックルのミスがまだ多いので、修正していきたい」

――前半の終盤で森田君を替えたのは?
○太田GM兼ヘッドコーチ
「タックルですね。問題があったので」

――前半、相手ゴールに迫ったいいところでラインアウトにミスがありましたが。
○カーワン アドバイザー
「相手にプレッシャーを与えたいアタックの場面で、ミスが出た。ああいうところはいかにプレッシャーをかけるかが大切。この点も修正が必要だと思っています」

――エディ・ジョーンズさんは日本のディフェンスのラインスピードを評価していました。
○カーワン アドバイザー
「ディフェンスのラインスピードがこのチームの強みだと分かっていたので、そこを集中して強化してきました。きょうの試合でもこちらのプレッシャーで、相手がアタックしづらくなる状況がみられました。これからも速い上がり、そして1対1のタックルの精度を上げていきたい」

――4日のときとかなりメンバーを変えての試合でしたが、評価は。
○大畑キャプテン
「相手も違うし、比較は難しいところですが、前回からチームの成熟度は上がっています。ディフェンスのラインも前に出られたし、そういう面では今日のほうがよかったと思います」

――スクラムに関しては満足していますか。
○カーワン アドバイザー
「千葉の合宿では、ディフェンス、ラインアウト、スクラムを重点的に行ってきました。その成果は今日の試合にも見られましたし、今後の日本スタイルを構築するスタート地点に立てたと思います」

――バックスのパススキルの部分でチャンスを逸した場面が多かった。
○カーワン アドバイザー
「スキルというよりもコンビネーションの問題だと考えています。まだチームとして日が浅いし、メンバーも入れ替えているので、今後練習を積んでいけば解決していけると思います」

――オプションとしてのオフロードパスについて。
○大畑キャプテン
「フェーズを重ねるとどうしても、自分たちの数が減ってくる。どうしてもタテにつなぎたいですし、オフロードに関してはみんな意識しています」
○カーワン アドバイザー
「オフロードについては、これからは練習していきたい。この2週間ディフェンスの組織化を図ってきました。基盤ができれば、オフロードなどその他の部分に手をつけることができる」

――低いタックルをよくしていました。しかし、相手のオフロードの可能性を広げることになります。
○カーワン アドバイザー
「重要なのはラインスピードです。速く上がっていって低くタックルをすれば、相手はオフロードパスでボールを回すかもしれない。しかし、すぐに立ち上がってラインスピードを上げれば、次をカバーできる」

――予想以上にパフォーマンスがよかった選手は。
○カーワン アドバイザー
「西浦は素晴らしい出来でした。よくタックルし続けてくれた。それからサムライ。とはいえ、個々の踏ん張りだけでは勝てません。スタッフも含め、チーム全員の力が必要です」