10月20日(月)、日本ラグビーフットボール協会のジャパンクラブにおいて、11月16日(名古屋)・22日(東京)、に開催されるリポビタンDチャレンジ2008「日本代表 対 アメリカ代表」に向けた、日本代表スコッド発表の会見が行われました。

リポビタンDチャレンジ2008
日本代表 vs アメリカ代表

ジョン・カーワンヘッドコーチと、太田GM
ジョン・カーワンヘッドコーチと、太田GM

◎太田GMコメント

「本日はお忙しい中、多くの皆様にお集りいただきまして、ありがとうございます。はじめにセブンズのワールドカップアジア地区予選におきまして男女ともに優勝を飾ることができたことは我々代表チーム事業委員会にとっても非常にうれしいニュースとなりました。この勢いをぜひアメリカ戦にもつなげていきたいです。

また、ご承知のことと思いますがジョン・カーワン(以下JK)HCと2011年まで契約を継続することとなりました。これにより中・長期的な視点で強化戦略を練ることができるようになり、ぶつ切りではなく継続性を持ったセレクションを行うことができました。

今回44名をスコッドに選出しました。若手選手とベテラン選手がバランスよく融合したチームになっています。中にはパシフィック・ネーションズカップ(以下PNC)で戦ったメンバーや、怪我などで呼ぶことができなかった選手もいます。彼らについては無理せずリーグ後半戦へしっかり準備してほしいと思っています。今後、この44名の中から26~30名のメンバーでアメリカ戦に臨んでいきます。

また、各カテゴリーからの監督やコーチを招聘しています。U20やセブンズの村田監督・薫田ディレクターとともに強化をしていきたいと考えています。

トップリーグでは各チームともリーグ戦をもう一週試合を残していますが、最後までしっかりとしたパフォーマンスを見せてもらいたいです。また、試合の状況によって今後スコッドに変更があるかと思います」

◎ジョン・カーワンヘッドコーチ(以下、JK)コメント

「今回はとても興味のあるエキサイティングなチームとなっています。11月のテストマッチに向けては期間が短いのでそれを念頭にいれてチームを組みました。今後2011年のワールドカップに向けてのことも頭に入れています。そういった意味で今回のスコッドには若い選手も入っています。優勝したセブンズの選手からも、今後活躍が期待される選手が入っています。その結果、既存の選手と若い選手によるポジションをめぐる争いが激しくなるかと思いますが、それがチームへのよい刺激となるでしょう。

ジョン・カーワンヘッドコーチと、太田GM


質疑応答

──期待している選手、また見てみたいという選手は?
(JK)若い選手に関しては2つのカテゴリーを考えています。大学の選手やセブンズの選手にもチャンスを与えていきたい。例えば、仲村選手。彼はワールドクラスサイズのプロップです。その他のトップリーグに所属する若い選手に関しても代表選手にふさわしい選手であると思っています。

──大学生はまだ試合が残っています。トップリーグと同様、呼びたくても呼べなかった選手がいたのではないでしょうか?いたとしたら具体的に誰でしょうか?

(JK)もちろん大学の試合との兼ね合いの問題もあります。それも重要な問題ですが、大学生もスコッドに召集するという方針は今後も続けていきたいと考えています。ただし、今回そういった選手はいません。トップリーグの選手でも怪我で呼べなかった選手がいます。例えばサントリーの平選手は膝の怪我。ヤマハの大西選手に関してはアキレス腱の怪我で昨日の試合も出ることができませんでした。

──新たなセレクションポリシーとは何でしょうか?

(JK)今現在ポリシーは何も変えていません。今年は入れ替えの時期でもありますが同時に試合にも勝っていかなくてはいけません。将来的にはアジア5カ国対抗(以下A5N)やPNCで若い選手が既存の選手のポジションでプレーできるようになってもらいたいです。もちろんワールドカップも視野に入れています。

──フルバックの選考理由を教えてください。

(JK)今回選出した二人のフルバックの選手は、キックゲームが非常に重要になってくるという意味で興味があります。吉田(大)選手は過去スタンドオフやセンターでもプレーし、今はウイングをプレーしています。トップリーグ開幕戦から3試合はフルバックでもプレーしています。戦術的な理解に優れている選手であるという理由で選出しました。遠藤選手はワールドクラスのバックスであり、トヨタでのフルバックの経験があります。松下選手もヤマハでのフルバック経験があります。また、先週の試合ではセンターで出場するなど両方のポジションでプレーができるという魅力があります。これらの選手を活用することで戦術のバリエーションが増えます。今回はルールも変更されたのでコーチ陣も対策を練ってきました。キックゲームが非常に重要だと考え、フルバックもキックコントロールの必要性が増してきています。それを踏まえてこのようなバックスの選手起用となりました。

──SOの人材不足は、外国人選手が多くなっている弊害でしょうか?

(JK)トップリーグのチームは勝たなくてはならないという目標があります。チーム強化のためにNo.8、スタンドオフ、センターがメインとなってきます。今季のトップリーグは今までに比べて強化されてきていると感じています。日本ラグビー協会が若い高校生や大学生のスタンドオフのプレーヤーをもっと育てていかなくてはいけません。それに関しては協会が実行していますし、若い選手もどんどん呼んでいます。確かに人材不足は否めませんが、これは日本だけでなく世界に共通した問題でしょう。

──どのような基準でAとBに分け、そしてどのような構成になっているのでしょうか?

(JK)選出方法は、ベストサイドともう片方、という形式で選んでいこうと思っています。しかしもちろん公平な視点は保っていきます。アメリカ戦ももちろん勝たなくてはいけません。アメリカのコーチであるスコット・ジョンソンはワールドクラスの優秀なコーチです。今まで代表にいた選手、いなかった選手の両方を公平に選んでいくつもりです。ベンチの選手に関しても、選手のパフォーマンスを十分に把握し、そのポジションにおいてライバルがいるという観点から起用したいと思います。

──メンバー分けはいつ発表になるのでしょうか?

(JK)1日目の練習に来てくださればわかるでしょう。ぜひ来てください。

時期が時期ということもあり、怪我等によって今後のメンバーは変更になる可能性もあります。実際にスコッドに参加できたとしても、怪我の選手はABの試合に出られず、出場チャンスは次回へとなるかもしれません。こればかりはなんとも言えません。

──ここに選ばれた選手は素質を期待できるのでしょうか?

(JK)選手に対しての要求事項をまず話そうとおもいます。このリストの中には今後、中・長期的に活躍を期待する選手も入っています。仲村選手は相馬選手とスクラムを組ませるなど、様々な経験を積んでもらいたいです。今後注目したい選手として、三洋の木川選手や川俣選手を呼んでいます。彼らはワールドレベルのサイズですし、これからもっと経験を積ませたい。

──熊谷でのセレクションマッチはどのようなポイントで見ていくのでしょうか。またどんなポイントでチーム編成をしますか?

(JK)セレクションマッチで見ていくポイントとしては、アメリカ戦でプレーをする選手を選ぶということそして将来的なことがキーポイントとなるでしょう。実際にチャーチルカップなどの試合を見る限り、アメリカ代表は以前に比べて成長しているしまたフィジカルの面でも大きく強い選手たちだと認識しています。対アメリカ戦に向けてのゲームプランはできていますが、いまここではお話できません。スコット・ジョンソンもまたいろいろ日本の研究をしているでしょう。

最後にJKから一言

「今回の会見にいらしてくださった皆さんが日本のラグビーにとって非常に大切な存在であると認識しています。今、日本は2015年のワールドカップ開催を勝ち取ろうとしています。そのためにも皆さんのご協力が不可欠です。ラグビーは日本で伸びてきているスポーツです。これから開催が決定されるまでの6ヶ月間、皆さんのサポートをよろしくお願いいたします。日本のワールドカップ招致は日本のラグビー界だけでなく、世界のラグビー界にも非常に意味のあるインパクトを残すことになるでしょう」