11月16日と22日に行われる対アメリカ代表戦の日本代表メンバーは、10月20日に日本代表候補選手44名が発表され、その後、数名の辞退・追加の変更があったが、その44名の候補のうち41名が今日のセレクションマッチに出場する。11月3日から熊谷で代表候補合宿を行っていたが、今日、11月8日のセレクションマッチで、最終的なアメリカ代表戦の日本代表約30名に絞られる。日本代表選手の選出を、公開したセレクションマッチで行うのは久しぶりのことである。 日本代表チームのジョン・カーワンヘッドコーチは、41名の候補選手を、比較的経験のあるベテラン中心の「Aチーム」と、若手中心の「Bチーム」の2チームに分けた。アダム・リーチFWコーチが率いるAチームはFL菊谷が主将となり、白をベースのユニフォームで、一方、グラント・ドゥーリーアシスタントコーチが率いるBチームは黒のジャージーで、主将はSO大田尾が指名された。AチームのスターティングメンバーではFW1列目は平島、青木、畠山、また、CTB入江、仙波、FB松下と、これまでにはなかった顔ぶれとなった。 前半は、ペースをつかめずに反則を繰り返すBチームはいいところなく、AチームはSH田中の速いパスからSOウェブがパス・キックを上手に使い分けるゲームメークと、菊谷、谷口、畠山らFW選手のパワーで、ゲームをリードした。AチームはCTB入江、FL菊谷、SOウェブで3トライを取ったのに対し、BチームはWTBマフィレオがインターセプトから独走した1トライのみで前半は終了した。 後半には、AチームはSOを入江に交替させたほか、PR仲村、HO水山、FB高と、また、BチームではHO堀江と、これまで日本代表に選出されていない楽しみな選手が試されることになった。試合は、後半になると、疲れを知らない若手選手中心のBチームがペースをつかみ、注目のHO堀江もトライ、WTBマフィレオはこの日2つ目のトライをとり、セレクションマッチで大いにアピールできていた。 若手選手だけでなく、NZカンタベリーチームから久しぶりに帰国したWTB遠藤も、後半にはあの力強い走りで、相変わらず元気なところを見せてくれた。ベテラン、若手それぞれにいいところをアピールできていたので、カーワンヘッドコーチが一晩悩んだ結果、11月9日(日)に発表される日本代表選手リストが楽しみだ。(正野雄一郎) TEAM A 28-28 TEAM B(11月8日(土)14:00 at 東京・秩父宮ラグビー場) ◎Aチーム ○アダム・リーチ コーチ「今日は収穫がありました。アメリカ戦に向けて大変良い試合ができたと思います」 ──入江選手をスタンドオフで後半起用した理由は。 「もともと試合前に伝えていました。彼のスタンドオフも戦術の中に入っていますので、見てみたかったというのが理由です」 ○菊谷 崇キャプテン 「前半はパスで圧倒できましたが、後半は疲れとともにコミュニケーションが落ち、穴をバックスに突かれて簡単にトライを獲られる場面がありました。気持ちが途切れたところをうまくやられて、もったいないゲームでした」 ◎Bチーム ○グラント・ドゥーリー コーチ 「後半は競った試合ができて、テクニックを見せてくれました。アメリカ戦に向けてよいスタートが切れました」 ○大田尾 竜彦キャプテン 「前半はトライ数が2本差で、後半はまずペナルティをなくして二人目はラックに速く入り、ターンオーバーしようと確認して入りました。後半はアタックの時間も多く、結果的に同点に追いつけたことは良かったと思います」 ○ジョン・カーワン ヘッドコーチ 「ナーバスになって悪いプレーやミスが前半にありましたが、スコッドは力を出しています。後半は良いゲームでした。Bチームの後半はシンプルにスピードアップする作戦でしたが、うまくプレッシャーをかけていました。Aチームも良い試合をしました。30名をピックアップするのは頭が痛いが、嬉しい悩みです。今回は若い選手の経験値を上げる意味でチャンスを与えましたが、誰も怖気づかずよいパフォーマンスでした」 ──遠藤選手、堀江選手の評価は。 「ニュージーランドでどれだけ成長したかを証明してくれました。どちらも良かったと感じています」 ──ELV(試験的実施ルール)への対応は。 「とても重要なことです。ELVルールでは、どうしてもキッキングゲームになってしまいがちで、これまでよりずっとフルバックの選手のキックの重要性が増しています。今日は選手が伝えていたことをやってくれて、例えばハイキックを22mラインの外側へ落とすことなどはできていたと思います」 ──選手選考の決め手は。 「まず、キーポイントは若手とベテランのバランスです。アメリカチームはスコット・ジョンソンが監督になってから非常に組織されていると分析しています。厳しい戦いになると覚悟しています」