直前の練習マッチ大敗もチームの雰囲気は急上昇中
「全員が勝つイメージ」で初戦スコットランド戦へ

ラグビ―ワールドカップ・セブンズ2013がモスクワで開幕する。
日本時間の28日深夜には24チームが参加する男子のプール戦がスタート。
8強入りを目標に掲げる男子7人制日本代表は、日本時間では日付が変わって、29日午前0時半過ぎに予定されている対スコットランド戦から、ロシアでの戦いをスタートさせる。

(text by Kenji Demura)

左足首の負傷から復帰した豊島にはスピードに加え、ゲームメイクも期待されている
photo by RJP Kenji Demura
セットでのキーマンとなる桑水流は「キックオフは世界のどこにも負けない」
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プール戦で南アフリカ、スコットランド、地元ロシアと同じB組の男子7人制日本代表。
まずは28日の初戦、スコットランド戦にターゲットは絞られている。
「最初のスコットランド戦がすべて。そこに全力を傾ける。スコットランドに勝つイメージは全員が持っている」と、瀬川智広ヘッドコーチ。
一方、「セブンズの大会は初戦が一番難しいと言われるし、僕自身も経験として一番苦しんだことも多い」と語る坂井克行キャプテンは「もう一度、初戦が一番大事だということをチームとして再認識して臨みたい」とも。
「スコットランドのDFは凄くいい。面も揃ったいいDFをしてくるので、こちらがサポートにこだわってボールキープを続けていきたい。どちらかというと、あまり前に出てこないタイプのDFなので仕掛けやすいが、コンタクトを持った時に、ブレイクダウンでの向こうのサポートも速いので、そこで相手よりも速くというところにこだわっていきたい。まさしく自分たちがこだわってきたところの勝負になる」(同主将)
寒いイメージのモスクワだが、男子7人制日本代表が24日に到着以来、連日最高気温が30℃を超える暑い日々が続いている。
26日には豪州との練習試合(7分×2本)が組まれたが、「ウォーミングのところから、暑さもあって、あまりよくなくて、そのままゲームに入ってしまった」(坂井キャプテン)という心身のコンディション不良もあって、トライ数で0対7で大敗。
ただし、「当然、大会が始まる2日前なので、オーストラリアに勝って『さあ行こう』という結果になってくれれば一番良かった。それでも、裏を返せば、スコットランド戦で悪い面が出てしまうことが一番マズいことだったので、大会が始まる前にいい経験をさせてもらったと思っている」と、瀬川ヘッドコーチは大会直前の大敗も前向きに捉えている。
実際に、「恐らく初めてではないか」(瀬川ヘッドコーチ)という選手たちが自主的に行うミーティングも開かれ、「何のために来ているのか、覚悟を決めよう」という意思統一も図られたという。

ちなみに、豪州との練習マッチでの日本のメンバーは以下のとおりだった。
ロテ・トゥキリ、桑水流裕策、江見翔太(→レプハ・ラトゥイラ)、夏井大輔(→オペティ・ファエアマニ)、坂井克行(→橋野皓介)、豊島翔平(→成田秀悦)、羽野一志(→小原政佑)

夏井(写真右)など新戦力の活躍もベスト8進出には欠かせない
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坂井キャプテン、桑水流と共にプレー時間が長くなりそうなトゥキリ
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スペースをより意識したスタイルに進化中

大会直前の強豪に対する練習試合での大敗で、逆にチームの雰囲気が引き締まった状態で開幕を迎える男子7人制代表。

ターゲットが絞られているスコットランド戦に関して、瀬川ヘッドコーチはセットプレーもポイントのひとつに挙げる。

「桑水流を中心にセットプレーでボールを確保したい。キックオフ、リスタート。マイボールもそうだし、相手ボールもそう。スコットランドに関しては、だいたい同じ場所にキック上げてくる。そこからしっかりボールキープをしていきたい」

セットでのキーマンになる桑水流は「アタックしないとセブンズはキツい。そのアタックの起点がキックオフからのボールキープなので、そこで体を張っていきたい。どの国とやっても負けない自信はある」。

また、東京セブンズなどでも見られた、ラックを多く作っていくスタイルは基本的に変わらないものの、よりスペースを意識したプレースタイルに進化を遂げているのも事実。

瀬川ヘッドコーチから「ゲームプラン」を期待されている豊島は、以下のように新しい男子7人制代表のスタイルについて解説してくれた。

「東京セブンズを見た時は、ラックをどんどん作ってというイメージかなと思ったんですど、前のようにスペースにボール動かすことが増えてきた。自分のプレーとしてはアタック面では自分たちのリズムが作れない時にボールを持って、いつも自分たちがやっているプレーができるように持っていきたい」

豊島以外にも、東京セブンズ以降にチームに加わった“新戦力”にも瀬川ヘッドコーチは大きな期待を寄せている。

「夏井は運動量が多く、献身的にサポートする選手。経験を重ねるごとに良くなっている。
レプハは14分間にフルにという選手ではないが、アタック面でどこかで打破したい時に力になってくれるのではないか」

前述のとおり、「全員が勝つイメージを持っている」というスコットランド戦で勢いに乗り、翌29日に控える南アフリカ、そして地元ロシアとの戦いも制するーー世界8強入りを目指す戦いが始まる。

坂井キャプテンを中心に「覚悟を決めて」、世界との戦いに臨む男子7人制日本代表
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26日には全キャプテンが揃って赤の広場で大会公式撮影も行われた
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