最後の国立にふさわしい内容でRWCへ
FW戦重視のメンバー構成で香港に臨む

25日、東京・国立競技場でラグビ―ワールドカップ(RWC)2015アジア地区予選を兼ねるアジア五カ国対抗最終戦、日本ー韓国戦が行われる。
前節まで共に全試合でボーナスポイントを挙げての3戦3勝。勝ち点18で並んだ日本と香港がイングランド行き切符を賭けて一騎打ち。
現・国立競技場での最後のテストマッチにふさわしい、グランドフィナーレが期待される。

(text by Kenji Demura)

リザーブにFWを6人を入れるなど、フィジカルな戦いを想定したメンバーで香港を迎える日本代表
photo by RJP Kenji Demura
W杯をかけた最後の国立での試合という特別な状況で日本代表最多キャップに並ぶことになるLO大野
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いまからちょうど50年前に行われた東京五輪をはじめ、日本スポーツの中心にあり続けた国立競技場。
楕円球界でも数々の名勝負の舞台となってきた場所での最後の真剣勝負としてはこれ以上ない試合と言っていいだろう。

「今シーズンの一番の目標」
エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)がそう公言してきたRWC2015出場権獲得に向けて、越えるべき関門はあと1つ
「重要なのは試合に勝つこと。内容は2の次。12―6で勝たないといけないならそうする。(前節の)韓国戦では90%だったコンディションを100%にもっていく」とも語るジョーンズHCは当然ながら、ベストメンバーを香港に対して投入する。

やはりベストメンバーで戦われた1週間前の韓国戦と比較してみると、先発ではLOにトンプソン・ルークが入るのと、リザーブFWが6人になりFLヘンドリック・ツイが復帰する。
「香港はセットピースのいいチーム。トンプソンはラインアウトで多くの経験を持っている。FW戦になることを予想しているので、FW多くをリザーブに入れた。BKに関しては2人でカバーできると思っている」
ジョーンズHCはそんなふうに香港戦メンバーに関して説明する。
リザーブにバックスリーのスペシャリストがいない選手構成だが、ジョーンズHCが「ふたり共、いいフォームにある」という山田章仁、藤田慶和の両WTBの決定力に期待がかかる。

いいフォームにあるとジョーンズHCから好評価のWTB藤田。LOアイブス(右)もいい働きを見せた韓国戦に続いて先発
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ジョーンズHCは香港のセットプレーを警戒するが、日本のスクラムの進化も間違いないところ
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LO大野が歴代最多キャップホルダーに

過去22回の対戦で日本が4度敗れている香港は、昨年のアウェー戦でも前半7分のHO木津武士の先制トライの後、30分以上追加トライが取れない厳しい戦いに持ち込まれるなど、アジアでは一番の強敵と言っていい存在。
前述のとおり、ジョーンズHCがセットプレーを警戒する一方、今回の日本との対戦の後、香港のリー・ジョーンズ監督が日本代表ディフェンスコーチに就任することが決まっていることからも推測できるとおり、強固なDFを全面に出したフィジカルなプレーでロースコアに持ち込みたいところだろう。
「SHが徹底して日本のクイックタップを妨害してくるだろうし、スローゲームで戦わないといけないかも。韓国戦でも相手の14人がDFラインにいた。その場合はキックも使っていくことも必要になるだろう」
ジョーンズHCはそんな“プランB”とも言ってもいいような作戦も考えている。
実際、「今までよりも意識の高さを感じた」(同HC)という今週のトレーニングでも、20人のDFに対してのアタック練習なども行われた。

国立競技場最後のテストマッチということで、当日は多くのイベントも予定されている。
試合前(14:30-)には日本代表経験者も含めた現役トップリーグ選手やOBなどからなる「ドリーム」チームが一般からの参加者を募って形成された「センセーショナルズ」と対戦する「夢・笑顔・感動 カンタベリードリームマッチ」。

試合後にピッチ上で行われるセレモニーには、日本代表ジャージ着用の20歳以下(中学生以上)が参加できる。

また、国家斉唱時に君が代を独唱する平原綾香さんが試合後に再び歌声を披露する予定もある。

23日に行われたメンバー発表記者会見時には、ちょうど「ラグビ―ワールドカップ優勝トロフィーツアー」で来日中のウェブ・エリス杯が会見場に飾られた。
香港戦で日本代表歴代最多キャップに並ぶことになるLO大野均は「自分自身、過去2回、ワールドカップに出場してきて、いままでは眺めているだけのカップだったのが、いまの日本代表は最強の選手が揃っているし、厳しい練習を続けているので、手にするのも夢ではない」と、手応えを語る。

もちろん、最高の舞台でアジアでの好敵手・香港を破り、来秋のイングランド行き切符を手にすることが先決。

「最初の20分がキーになる。お世話になった国立でいい試合を見せる」(FLリーチ マイケルキャプテン)

キックオフから、ワールドカップのかかった最後の国立にふさわしい圧倒的なパフォーマンスが期待できそうだ。

ジョーンズHCが絶対の信頼を置くリーダーグループを中心に士気を高めてW杯出場を決めたい日本代表
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