今年度の大学選手権も年越しチームは関東勢の独占となった。また、その中でも、3チームが対抗戦グループのチームが占めている。その一角、筑波大学は第2ステージ最終戦、明治大学に対抗戦での大敗の雪辱を果たして上がってきた。一方、対抗戦グループの早稲田大学との接戦を制して対早稲田戦初勝利、唯一リーグ戦勢から準決勝に上がってきた東海大学。国立競技場改修に伴い久々の秩父宮ラグビー場に舞台を移しての戦いとなる。
年明け早々一級の寒波により底冷えのする中、筑波のキックオフで始まり、そのまま筑波が東海陣深く攻め入り攻撃を続ける。しかしながら、なかなかフィニッシュに持って行くことができない。そんな中、東海は筑波のミスに乗じて筑波ゴール前に一気に攻め入る。そして9分、22mライン上ほぼ中央から東海FB野口竜司がドロップゴールを成功させてあっさりと先制する(0-3)。
このあともほとんどの時間を筑波が東海陣で攻めを続けるが、東海のすばらしいディフェンスが機能し、キャプテンCTB林大成を中心に好タックルが炸裂。筑波自慢のBKを走らせない。東海も少ないチャンスながらバックスリーが展開を図るが、これも筑波がしっかりと止める。お互いのディフェンスが機能して期待通りの閉まったロースコアゲームとなっている。
次に得点が動いたのは、ようやく31分、東海FB野口竜司が再びDGを狙う。筑波はこれに素早く反応、鋭く3人が野口めがけて飛び出す。これを見てとった野口はすかさず外にボールを展開、WTB近藤英人が余って筑波WTB福岡堅樹を振り切って左中間にトライ。1年生ながら冷静に判断した野口のプレーが光るトライであった。FB野口竜司の兄、SO大輔のゴールも決まって0-10とする。前半40分を告げるホーンが鳴った直後にも東海FB野口竜司がゴール正面約30mのDG成功。0-13と東海大学が大きくリードして前半終了。
後半先制したのは筑波、FB山下一がPGを決めて3点を返す。3-13。しかし、この後もなかなか得点が動かない。前半同様筑波が攻めるが東海の鋭いタックルで得点につなげることができない。お互いに小さなミスが続く。
試合が拮抗する中、24分、これまで筑波FWに対し有利に組んでいた東海FWがこの日3度目のスクラムコラプシングのペナルティーを獲得。おおいに自らを鼓舞する。ここから攻め込んで27分、東海FB野口竜司がこの日3本目、約30mのDGを決めて3-16。ほとんど誰もがこれで勝負ありと確信した。試合後の記者会見でも林キャプテンが語っている。「今日はディフェンシブな戦いになる。DGで着実に得点を重ねることが重要」と、ここまで狙い通りの戦いとなっている。
しかしこの状況でも筑波フィフティーンはあきらめていなかった。ここまで良い場面でボールを持てていなかった日本代表WTBエース福岡堅樹が快走ではないものの、粘り強く大きくゲインしたところからチャンスをつくり、最後はFWでねじこんで、34分No8山本浩輝がゴールポスト左にトライ。(ゴール成功)10-16。ワンチャンスで逆転できる得点差とする。
直後のキックオフ、定石通り東海は深く蹴り込み逃げ切りを図る。しかし、自陣22m付近でボールを受けた筑波HO村川浩喜がタッチライン際を好走、WTB山内俊輝につなぎ、FLゲームキャプテン水上彰太がゴール前5mに迫る。東海はかろうじて止めるものの、筑波は展開、36分PR橋本大吾がゴールポスト下に走り込んでトライ。真正面のゴールをFB山下一が決めて大逆転。16-17として勝負あり。終盤でのHO村川の好走、PR橋本のトライといったところが差となったか。この両チームの戦いは過去にももつれてきたが、今日の戦いも最後の5分に勝敗が決まるゲームとなった。
東海は最後に若さが出たか。先発4年生は6人。一方、U20日本代表メンバーも多く抱える。今日の反省を活かして、来季もう一度チームをつくりなおせば十分に頂点が見えてくる。
決勝までの1週間、もう一度自分たちを見つめなおして、今日の最後の10分間の戦いをいかに80分間続けられるか。今一度鍛え直して、初の優勝を目指してほしい。十分にそのポテンシャルは持っている。
(澤村 豊)
|