日本代表ラグビーワールドカップ(RWC)全記録
<2011年ニュージーランド大会編>


フランスに善戦もカナダとは再びドロー
2大会連続で1分3敗の成績で大会終了

2011年ワールドカップは、第1回大会以来となるラグビー王国ニュージーランド(NZ)での開催となった。日本代表は、前回から引き続いてジョン・カーワンHC(ヘッドコーチ)に率いられての参戦。主将は2008年から日本代表のスキッパーを任された菊谷崇が務めた。

日本の初戦は大会2日目のフランス戦。オークランド北郊のノースハーバースタジアムで行われた一戦は、前半は不運な判定もあり、一時17点差をつけられた日本が前半途中から猛反撃に転じ、後半は4点差まで肉薄。28569人の観衆からはジャパン!ジャパン!の大声援が送られた。

カーワンHCは「日本のラグビーを世界に示すことができたと思う。ソフトトライを与えてしまい、結果には満足していないが、自信を摑むことはできた」とコメント。優勝候補の一角(実際、決勝に勝ち進んでNZと1点差の激戦を演じた)フランス相手に食い下がったことで、手応えを感じた様子だった。そして迎えた第2戦は地元NZオールブラックスが相手だった。世界最強の相手と対戦するチャンスだったが、カーワンHCは、5日後に行われるトンガ戦をより重視。SH田中、SOアレジ、CTBニコラスら中軸選手を温存して臨んだのに対し、NZもいったんは先発メンバーに名を連ねたFLマコウ主将、FBムリアイナが前日になって出場回避した。それでも、オールブラックスの強さは不変。HOメアラム主将のもと、のちに東芝入りするWTBカフィ、パナソニック入りするソニー・ビル・ウイリアムズが2トライずつをあげるなど13トライを奪う猛攻をみせ、83―7で圧勝した。日本の得点は後半、相手パスをインターセプトしたWTB小野澤宏時の意地のトライ。03年オーストラリア大会のスコットランド戦、07年フランス大会のウェールズ戦に続くワールドカップ3大会連続トライで、すべてティア1の強豪国から奪っていることに小野澤の意欲が透けて見えた。

そして勝負をかけた第3戦。必勝の決意で臨んだジャパンだったが、トンガに先制トライを献上するなど受け身の展開。PR畠山、FLリーチのトライで13―18と追い上げて折り返し、後半もリーチらが相手のトライをインゴールで防ぐタックルを見せるなど、勝利への執念を見せたが及ばず。18―31で敗れた。

カーワンHCが掲げていた「2勝」という目標がかなわなかった日本の最終戦は、前回も最終戦で戦い12―12のドローを演じたカナダが相手。3連敗という結果を受け、日本は開き直ったのか、HO堀江とWTB遠藤のトライで前半を17―7とリード。後半はカナダに反撃されながらもSOアレジが2PGを加え、残り6分まで8点差をつけていたが……ラスト6分間に1トライ1PGを畳み掛けられ、23―23。掌中にあった20年ぶりのワールドカップ本大会勝利はスルリと逃げ、2大会連続のドロー決着となった。

この大会で、WTB小野澤はNZ戦のトライで、日本初のワールドカップ3大会連続トライを達成。3大会連続の全4試合出場でワールドカップキャップも12とし、これまでトップだった薫田真広、元木由記雄の9を更新した。

日付 9月10日 9月16日 9月21日 9月27日
相手 フランス NZ トンガ カナダ
スコア(カッコ内は前半) ●21(11-25)47 ●7(0-38)83 ●18(13-18)31 ●23(17-7)23
(得点内訳) (2T1C3P) (1T1C) (3T1P) (2T2C3P)
ノースハーバー ハミルトン ファンガレイ ネイピア
ポジション 所属 年齢
PR 平島 久照 神戸製鋼 28 1 1 1
畠山 健介 サントリー 25 3 R3 3(1T) R3
藤田  望 ホンダ 26 R3 3 R3 3
川俣 直樹 パナソニック 25 1
HO 堀江 翔太 パナソニック 25 2 2 2(1T)
青木 佑輔 サントリー 28 r 2 r r
湯原 直希 東芝 27 R2
LO 北川 俊澄 トヨタ自動車 30 5 5 5 5
トンプソン ルーク 近鉄 30 4 4 4
大野  均 東芝 33 r 4 R5 R5
ジャスティン・アイブス▼ パナソニック 27
北川 勇次△ パナソニック 25 R5
FL マイケル・リーチ 東芝 22 7 7 7(1T) 7
菊谷  崇 トヨタ自動車 31
バツベイ シオネ パナソニック 28 R8 R6 6
No8 ホラニ龍コリニアシ▼ パナソニック 29 8
タウファ統悦△ 近鉄 30 R6
谷口  到 神戸製鋼 26 R8 6 6
SH 田中 史朗 パナソニック 26 9 9 9
日和佐 篤 サントリー 24 R9 9 R9 R9
吉田 朋生▼ 東芝 29 R12
麻田 一平△ トヨタ自動車 31
SO ジェームズ・アレジ ノッティンガム(ENG) 32 10(2T1C3P) 10 10(2C3P)
マリー・ウィリアムス 豊田自動織機 29 R15 10(1C) r R15
CTB ニコラス ライアン サントリー 32 12 12 12
アリシ・トゥプアイレイ キヤノン 30 R13 R13 13(1T) 13
平  浩二▼ サントリー 28 13 13
ブライス・ロビンス※ ホンダ 30 R13
今村 雄太▼ 神戸製鋼 26 12
WTB 小野澤宏時 サントリー 33 11 11(1T) 11 11
遠藤 幸佑 トヨタ自動車 30 14 14 14(1T)
宇薄 岳央 東芝 25 14 r
FB ウェブ将武 コカコーラウエスト 29 15 R15 15(1P) 15
上田 泰平 ホンダ 29 15

text by Nobuhiko Otomo

photo by Kenji Demura