冬の瑞穂ラグビー場らしい、強く、冷たい風の吹くコンディションの中、流通経済大学のキックオフでゲームがスタートした。

中盤のラインアウトモールからリズムをつかみたい京都産業大学がBK、FW一体となって攻撃を継続する。伝統のスクラムの前進からBKに展開、ゴール前でPKを獲得するとスクラムを選択する。

対する流通経済大学もフロントローの健闘でボールを奪取、BKの展開もめまぐるしく動き、見ごたえのある攻防が続いた。

ゲームが動いたのは前半14分、ペナルティーから相手陣22m内に地域を進めた流通経済大学がラインアウトモールを形成、巧みに前進して⑧ジョージが左中間に飛び込みトライ、ゴールも成功し7-0と先制した。

対する京都産業大学も⑮森田を中心に地域を前進、PKを得るとラインアウトを選択、そのままモールから中央に②中川がトライ、7-5と対抗する。

その後も中盤での拮抗した攻防が続いてゲームは進行して行く。

ロングパスで大外に展開する両チームであるが、絶好のチャンスにまでは結びつかない。厳しい防御で双方の攻撃が繋がらないスクラムの多い展開が続く。それでも前半38分、京都産業大学が相手陣中央でペナルティーを得るとPGを選択、しかし不成功、7-5の流通経済大学が2点をリードして前半が終了した。

 

後半、京都産業大学のキックオフ、ダイレクトタッチでゲームの流れは流通経済大学に傾く。

2分、細かくパスをつないだ流通経済大学が大きく前進、最後は⑦廣瀬が中央に飛び込んでトライ、ゴールも成功して14-5とリードする。

後半になっても厳しい接点の攻防が続く。その後も双方のターンオーバー、チャージダウン、キックとめまぐるしく攻防が展開する。

流通経済大学が追加点のチャンスを迎えるが、もう一歩という所で京都産業大学が強固な防御で奮闘する。後半14分、流通経済大学はラインアウトから⑦廣瀬が抜け出しゴール前に前進、最後は⑩東郷が防御の隙をつき中央にトライ、ゴールも成功して21-5とする。

対する京都産業大学は縦のFW攻撃を中心にボールを継続してゴール直前に前進するも痛恨のハンドリングエラー、攻守が変わった流通経済大学がボールを動かす。⑧ジョージが抜け出し大きく前進、そのボールをつなぎ、最後は⑪八文字が右サイドをかけ抜けトライ、ゴールも成功し28-5とリードを広げる。

対する京都産業大学はインターセプトからチャンスをつかむ。後半24分、攻撃を継続しペナルティーを獲得、ラインアウトモールを形成、②中川が右中間に飛び込みトライ、ゴールも成功し28-12と追い上げる。

直後の27分、同じようにインターセプトからチャンスを得た流通経済大学は大きく前進、最後は⑳花澤が左中間にトライ、ゴールも成功し35-12と引き離しにかかる。

しかし、今度は京都産業大学が、相手陣22mの左ラインアウトから、モールでゴール前まで押し込んでペナルティー得る。再度、ゴール前5mからラインアウトモールを形成、後半33分に⑧武田が左隅にトライ。35−17とする。

その後のキックオフから、京都産業大学が連続攻撃で攻め続けるも、流通経済大学が粘りのディフェンスを見せて守りきり、ノーサイド。

35−17で流通経済大学が勝利を収めた。

(文責:早坂一成 石澤一行、写真:清水良枝)


 

■京都産業大学

○大西健監督

「今シーズン最後のゲームで、ブレイクダウンでもファイトのある締めくくりとしては良いゲームでした。前半ついていない場面があり、そこがもったいなかったです。ふとした所でのファールなどもそれを物語っていました。ただ全体的にはしっかりと体も当てられていて、来期につながるような良いゲームだったと思います」

○下良好純ゲームキャプテン

「今シーズン最後のゲームということですべて出し切れたと思います。細かい所で言うと、敵陣に入っても取りきれない場面があったのでそこはもったいなかったです。敵陣でのペナルティーも反省点でした。アタック・ディフェンスで前に出ようと言っていて、そこができた点は良かったと思います」

——後輩に伝えたいことは

「(下良ゲームキャプテン)多くの人に支えられた1年でした。感謝の気持ちとこの思いを後輩に伝えたいです」

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■流通経済大学

○内山達仁GM兼監督

「前半ミスが多くペナルティも多かったです。後半も修正しきれていませんでした。最終戦ということで選手は体を張ってやってくれました。双方全力を尽くしたいいゲームだったと思います」

○加藤優希キャプテン

「明治に負けたことが大きかったです。ダイナミックラグビーを目標に掲げてきた1年でしたが、そこにこだわりきれていませんでした。今日のゲームもラストパスのミスなどがあり、後半では少し良くなりましたが、そういったミスが多く出てしまいました。最終戦すべて出し切れたかはわかりませんが、この思いを後輩たちが来年全国制覇して果たしてくれると思います」

——キャプテンの今後の進路は?

「(加藤キャプテン)実家の漁師の仕事を継ごうと思っています。大学入学の時の両親との約束でもあるので。いくつかお話はいただいていましたが約束なので、地元のクラブチームではやろうとは思っていますがまずは漁師に専念したいと思います」

——今年のチームの特色は?

「(内山監督)キャプテンが頑なな性格で、言葉で伝わりきれていない部分はありましたが、まとまったいいチームでした。今年は色々なことにチャレンジした一年でしたが、一番の反省点はプランが甘かったことかもしれません。明治戦で負けてこの1週間本当に大変でした。選手のモチベーションを保つのにも苦労しましたし、バラバラになってしまわないように気を配った大変凝縮した1週間でした。来期ではこの借りを返したいと思います」

——一緒にプレーしてきた仲間たちにどんな言葉をかけますか?

「(加藤キャプテン)キャプテンとして不甲斐ない面もありましたが、付いてきてくれてありがとうと言いたいです。後輩たちにはまだ来年があります。自分たちの良かった面・悪かった面をしっかりと見て最高の試合をしてほしいです」

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