前半、プラン通りプレー続けて圧倒も
後半の対応力で差。南ア戦金星逃す
7日、イングランド北部のマンチェスターで「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2016」が開幕。
初戦で南アフリカと対戦したU20日本代表は、前半WTBアタアタ・モエアキオラの3トライなどで19ー14とリードしたが、後半は一方的に6トライを重ねられ、19ー59で敗れた。
「アグレッシブアクション。ただ仕掛けるのではなく、激しく、攻撃的にアクションしようというテーマを掲げた」(中竹竜二ヘッドコーチ)
エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いる日本代表が南アフリカを破ったラグビーワールドカップ2015イングランド大会初戦から9ヶ月。
奇しくも、同じイングランドでの開催となったU20チャンピオンシップ開幕戦でU20日本代表が対戦することになったのは、ベイビーボクスこと、U20南アフリカ代表だった。
「僕たちは勝つつもりでここに来ている」(FL古川聖人主将)
フル代表がワールドカップで勝利を収めている以上、相手が過去4年間で優勝1回、準優勝1回、3位が2回というトップ国とはいえ、求められるのは勝利。
しかも、中竹HCが選手たちに唱えたのは、内容面でも昨秋のブライトンでの史上最大のアップセットを超えること。
「去年のワールドカップを超えよう。あの時は最後に逆転トライをしたが、今年は先に取って、追いつかれるのをしのいで終わろう」
昨秋のW杯での南ア戦を超える戦いを目指したU20日本代表だったが、前半は圧倒したものの後半引き離され金星ならず
立ち上がりの時間帯。いきなり試合の主導権を握ろうと、力技で攻めてきた南アフリカに対し打て、日本も鍛え上げてきたディフェンスで対抗。
パワフルな突進はダブルタックルでしっかり止めて、自陣深くのラインアウトから組まれたモールも抑え切った。
逆サイドにハイボールを上げてきたキックパスもFB安田卓平が競り勝って、トライを許さない。
9分に、「一番いいランナーに一番いいところを走られた」と、中竹HCも脱帽の南アフリカFLにパワフルかつシャープに走られて、先制されたものの、立ち上がりの時間帯にディフェンスで自分たちのリズムをつかんだ日本は、19分、25分、30分と、WTBアタアタ・モエアキオラが3連続トライを奪って、完全に試合の主導権を握った。
「タックルも15人で入れていたし、前半はエリアをとって、自分たちのフェイズの中でアタを使ってアタックすることができた」
すでに、アジアラグビーチャンピオンシップで4試合に出場し、フル代表キャッパーとなっていたCTB前田土芽の言葉通りに、攻守に質の高いプレーを見せた日本が19—14とリードしてハーフタイムを迎えた。
前半はWTBモエアキオラの3トライなどでリードして折り返したが、後半開始早々の連続失トライで主導権をなくした
「自分たちのプレーは普通に通用する。
自信を持って強気にいきたい」(中竹HC)
9ヶ月前のラグビーワールドカップで史上最大のアップセットを体験する興奮を味わっていたイングランドのファンだけに、ハーフタイム時のマンチェスター・シティ・アカデミー競技場には「世界を驚かせる手応え」(前田)を後押しする雰囲気が間違いなく溢れていた。
大きな期待感を背負って、後半のピッチに戻ってきたU20日本代表だったが、その後の40分間に関しては前半とはまるで異なる内容となってしまう。
「しっかり敵陣に行く」ことが、ハーフタイムに中竹HCが指示した一番のポイントだったが、いきなりキックオフがダイレクトタッチとなり、そこから再び先制トライを決めたパワフルなランナーに大きなゲインを許して、再開後1分で南アフリカに逆転されてしまう。
前半はディフェンスも機能していたが、後半は攻め方を変えた南アフリカのアタックに後手に回った
「前半の戦いでしっかり手応えをつかめたのに、それを継続することができなかった。そこが自分たちの弱さ」
FL古川主将はそう悔やんだが、いきなりハーフタイム直後のプレーで流れを失った日本は再び試合の主導権を取り戻すことのないまま、南アフリカに後半だけで6トライを重ねられて、最終スコアは19—59で敗れた。
前半の戦いを経て、後半、南アフリカは明らかに攻め方を変えてきた。
「FWがワンパスで走り出して、そこで食い込まれ始めて、BKが寄ってしまい、BKが足りなくなってというシチュエーションが多くなった」(CTB前田)
ひとつひとつのプレー、チームタクティクスでは差を感じさせない戦いぶり。「自信を持って強気にいく」(中竹HC)
早い球出しと速いパスで日本のディフェンス網が整わないうちに、パワフルなランナーが縦突破をはかる南アフリカのアタックを止められなくなった。
「自分たちのやりたかったディフェンスができなかった。もっと15人が立ってディフェンスできれば、止められたと思うし、立ってからの行動、ディシジョンして、前を見てというところがまだ甘かった」(FL古川主将)
立ち上がりはむしろ優勢に見えたスクラムも、「相手が組み方を変えてきたのに対応できなかった」(HO竹内嘉章)ことから、次第にプレッシャーを受けるかたちになった。
残念ながら、試合中の対応力という面では、南アフリカに分があった。
その一方で、ディフェンスでリズムをつくり、アタックでもしっかり仕留められた前半の戦い方が証明しているとおり、ゲームプラン通りにプレーできさえすれば、「普通に通用するというのがわかった」(中竹HC)のも事実。
「自信を持って、強気でいきたい」(同HC)
日本のプール戦は、11日に対フランス、15日の対アルゼンチンが予定されている。
「手応えはつかんだ」(古川主将)。攻守にアクションし続けるラグビーで世界でのチャレンジを続ける