プール戦ではブラジル、モロッコ、トンガと対戦
ゲンのいい香港スタジアムでコアチーム返り咲きを

4月8〜10日の3日間、香港でHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2016-2017コアチーム昇格決定大会が行われる。
昨季はコアチームの一角として同シリーズ全9戦に参加した日本だったが、総合成績でコアチーム中最下位の15位となり、1年でコアチームの座から脱落。
2年前の同・昇格決定大会で優勝し、昨秋はリオデジャネイロオリンピック出場権を勝ち取ったゲンのいい場所で、再び世界のトップグループ入りを果たすための戦いに打って出る。

世界最高峰の7人制ラグビーの祭典大会と言っていい香港セブンズ(HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2015−2016第7戦香港大会)と並行して行われるコアチーム昇格決定大会には、再昇格を目指す日本をはじめ計12チームが参加。
まずは3組に分かれてプール戦を戦った後、準々決勝、準決勝、決勝が行われ、優勝チームが来季コアチームとしてワールドラグビーセブンズシリーズ2016−2017全大会に参加する資格を得ることになる。

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ラスベガスでは世界6位の好成績を収めた男子セブンズ代表。自信を持って昇格決定大会に臨む
photo by Kenji Demura

日本がプール戦(プールG)で対戦するのはブラジル、モロッコ、トンガの3カ国(対戦順)。

初戦(=8日13:00 ※香港時間、以下同)で対戦するブラジルは言うまでもなく、この夏のオリンピック開催国であり、そのせいもあってワールドラグビーセブンズシリーズに招待されることも多い(同セブンズシリーズは15のコアチームに加えて、大会ごとに1チームが招待され、計16チームで行われる)。

桑水流裕策・男子セブンズ日本代表主将は初戦のブラジル戦に関して「優勝できるかどうかかかっているゲーム」と言い切るほど、その重要性を強調する。
「ブラジルは一生懸命なチーム。真面目であきらめずにしつこくプレーする。しつこさの部分で負けないようにしないといけない。
アタックはブラジルのディフェンスがかぶってくるので、どうするか。簡単に飛ばすのではなく、ギャップを突いて、ボールキャリアーが仕掛けたり、クロスで入ったり。ハンドリングがうまくない相手なので、ディフェンスはいい準備をして、ずっとやってきた前に出るディフェンスで、ブラジルに何もさせずに慌てさせるようにしたい」(同主将)

一方、瀬川智広ヘッドコーチが特に警戒するのはブラジルのキック攻撃。
「ブラジルはアタックに関してはそれほど組織だっていないが、キックの使い方がうまい。ゴール前など、相手の陣地に入ってきた時に強さを発揮する。ジャパンとしてはなるべくマイボールをキープしながら敵陣で戦う。キックに対しては全員がしっかり帰って、そこからしっかり切り返していきたい」

続く第2戦(8日15:12)で対戦するモロッコに関しては、瀬川HCも「正直、あまり情報はない」ことを認める。
「ビデオで見る限り、ラグビー自体はそれほどうまくなく、個人技でくる。キックを使ったり。ブラジルもそうだが、ジャパンとしてはしっかりフロントラインに6人立って、後ろのスイーパーをしっかり残せるようにしたい」(同HC)

間違いなく大きなポイントになる初戦のブラジル戦でどんなスタートを切っているかが影響する部分もあるかもしれないが、モロッコ戦に関しては勝敗という意味ではあまり心配しなくていい一戦と言えるかもしれない。

大会2日目の午前中に行われるプール最終戦(9日10:06)で対戦するトンガに関しても、「まさしく個人技のチーム」と、瀬川HCはみる。
「走らせると、オフロードパスとか、コンタクトの強さがある。自由なスペースを与えないように、思い切って前に出ることが重要になる」(同HC)

プール戦での対戦国以外では、13-14年シーズンにコアチームだった「アスリート能力が高い」(同HC)スペイン、そしてアジアのライバルである地元・香港などが日本の前に立ちはだかってくることが想定される。

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「悪い状況になった時にリーダーシップを取って引っ張っていきたい」と自らの課題を語る桑水流主将
photo by Kenji Demura

ラスベガスでの好成績も精神的な後ろ盾に
決勝は10日16:30(香港時間)キックオフ

今季、コアチームからは降格したものの、前述のとおり五輪予選を勝ち抜いたこともあって、ドバイ、ウェリントン、シドニー、ラスベガスと、すでに4大会の同ワールドラグビーセブンズシリーズに招待のかたちで参加してきた日本。
国内シーズンとの重複もあり、なかなかメンバーが揃わない苦しいチーム状態で参加せざるを得ないケースも少なくなかったが、3月4〜6日のラスベガス大会では、ケニア、スコットランドを破り、イングランドとも引き分けるなど健闘を見せ、6位となった。

「ディフェンスで下に入る意識だったり、ブレイクダウンだったり、しっかりしたプレーができるようになってきている。ワールドシリーズで6位というのは自信になったし、昇格大会でも後ろ盾になるし、プライドを持って戦える。チームとしてプラスになっている」
桑水流主将はそんなふうに“ラスベガス効果”に関して語る。

「昇格決定大会のためだけに新しいものを取り入れるわけではない。世界で戦っていく中では、ミスをたくさんおかしてしまうと相手にチャンスを与えて、勝つ機会を失ってしまうので、一つひとつのプレーの精度を高めていくということを選手に言い続けている。
ディフェンスでは自由なスペースを与えないように、思い切って前に出る。アタックではスペースにしっかりボールを運び、ミスで終わらずに継続していくことにフォーカス。一番、経験のあるチームだし、ポテンシャルもある。2年前の昇格大会よりもはるかに準備をしてきたし、自信はある」(瀬川HC)

すでに、香港セブンズの翌週に行われるシンガポールセブンズの参加も決まっている日本。
ゲンのいい香港スタジアムでしっかり結果を出して、正々堂々と再び世界列強との戦いに臨むかたちにしたいところだ。

尚、日本の大会登録メンバーは以下のとおり。

1. レメキ ロマノ ラヴァ 2. トゥキリ ロテ 3. 徳永 祥尭 4. 桑水流 裕策 5. 副島 亀里 ララボウ ラティアナラ 6. 彦坂 匡克 7. 坂井 克行 8. 後藤 輝也 9. 豊島 翔平 10. 羽野 一志 11. 松井 千士 12. 合谷 和弘

同・決勝戦は10日16:30キックオフ予定となっている。

 

text by Kenji Demura

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DFで低く入る意識、ブレイクダウンなどの成長がラスベガスでの好成績につながった
photo by Kenji Demura

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セットプレーでボールを確保することは当然キーポイントのひとつになる
photo by Kenji Demura

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ラスベガス大会に続いてメンバー入りした徳永。「厳しいところでのインパクトプレーヤーとして期待」(瀬川HC)
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「2年前よりも遥かにいい準備ができている」という瀬川HC。プレーの精度を高めて再昇格を勝ち取る準備は万端
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