平成24年6月 (財)日本ラグビーフットボール協会安全対策委員会 各地で梅雨に関するニュースが盛んに流されております。熱中症はご存じのように、梅雨の晴れ間の急に暑くなったときによく起っています。次の 「熱中症予防について」をしっかり熟読し夏合宿前の練習や夏合宿に備えてください。 また夏合宿中の練習試合については、まだまだ試合数の多いチームが散見されます。疲労した体でなおかつレベルの違う相手では、弱い者に大きな ダメージがくるのは戦いの常識であります。強い相手にどれだけ現在のチーム力が通じるのか試したい気持ちは十分理解できますが、ダメージを受けるのは体力 的に弱いプレーヤーです。 昨年の日本協会からの呼びかけに、夏合宿中の練習試合は1日1試合ということが守られ始めてきたようです。引き続き今年も練習内容を工夫されて1人のプレーヤーが出場する試合は1日に1試合以内を守るよう注意しましょう。 「熱中症予防について」 《原因》 暑い環境のもとで激しい運動により、からだが生み出す熱に対して、周囲は高温多湿、無風状態のため熱の放散が妨げられ、体温が上昇することにより起きる。重要な臓器(特に脳)が障害を受けることもあり、生命予後にも関わることがある。 《症状》 顔が赤くなる。全身の発汗が止まるために皮膚は乾燥、呼吸は速く、脈は大きくて速い。頭痛、吐き気、めまい、けいれん等などが認められる。 《処置》 <意識がある場合>涼しいところへ運び、衣服をゆるめ、寝かせる。吐き気やけいれんがなければ、冷たい水(できれば薄い食塩水やスポーツドリンク)を飲ませる。体温が高ければ、冷たい水、または氷で全身(特に、首、脇の下、足のつけね)を冷やす。経過を注意深く見守ること。 <意識がない場合> 迷わず救急車を要請する。涼しいところへ運び、衣服をゆるめ、下半身を上半身よりやや高めに寝かせる。経過を注意深く見守ること。 《熱中症要因》 外的要因 周辺温度 直射日光 湿度 風 露光時間 衣類(黒い衣類、ヘッドギア、ショルダーパッド) 薬物 風邪薬(エフェドリン等の興奮剤、カフェイン) 内的要因 熱中症の既往のある選手 体格(肥満)、有酸素性体力、気候順応 水分補給レベル 病気(ウィルス性疾患、急性上気道炎) 《予防》 吸湿性・通気性の良い衣服 水分の補給。喉がかわいていなくても水分補給! 直射日光の下では帽子やタオル 《熱中症対策:熱ストレス減少のための戦略》 (IRBガイドライン) 教育 トレーニングとプレーにおける適切なスケジューリング 暑熱馴化 極端なコンディションの評価 現場での対策 危機管理 (選手への教育) 過去の熱中症の既往の有無を報告する 発熱を伴う感染症の罹患の有無を報告する 薬物 風邪薬(エフェドリン等の興奮剤、カフェイン)を使用した場合は申告する 水分補給の重要性を理解(練習および試合前、中、後) 熱ストレスの徴候の早期報告 痙攣、頭痛、嘔気、嘔吐 通気性の良い、軽い、締め付けの少ないウエアを着る (現場指導者の注意点) 選手の熱ストレス徴候を早期発見 発熱を伴う感染症にかかっているかどうかを報告させるよう指導 水分補給を意識した練習計画 運動前後の体重測定 熱射病の潜在的な危険性の理解 暑熱馴化には7~10日かかる (試合での対策) ロッカールームでのエアコンまたは扇風機の使用(または団扇) ロッカールームが無い場合はグラウンドサイドにテントなどの日陰を確保する 氷水につけたタオルの準備 ウォーターブレークを入れる ウォーターブレーク時に熱ストレスのチェック、身体を冷やす、水分補給を行う 《2006年度より日本協会から出された夏合宿中の安全に対する提言》 高校生において1人当たり一日1試合以上の出場は控えてみては? 熱中症のホームページを利用 熱環境の程度を表す指標として、人体の熱収支に影響の大きい気温・湿度・輻射熱の要素を取り入れたWBGT(湿球黒球温度)の予測値を環境庁の熱中症予防サイトからご覧ください。 http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/ 予測値は全国の主要都市について、3時間単位で当日と翌日の2日分公表。また、国立環境研究所が独自に集計している主要都市の熱中症患者搬送人員数や、環境保健部で作成した熱中症マニュアルと連携を図ることで、総合的な熱中症関係情報の提供を目指すものです。 → 夏季の練習についての注意(2012年)インデックスページへ