「日本代表 vs サモア代表」試合結果

●試合日 2012年6月17日 14時10分キックオフ
●会場 東京・秩父宮ラグビー場
●試合結果 日本代表 26-27 サモア代表
 (前半16-14)
日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表

マッチレポート

フィジー代表に19-25、トンガ代表に20-24と2敗の日本代表、なんとかサモア代表に一矢を報いて、秩父宮で優勝を決められるのを阻止して欲しいところ。

前半13分までに双方2回ずつペナルティキックのチャンスがあり、サモアが2回とも失敗したのに対し、FB五郎丸が10mライン後方の難しい位置も含め両方成功し6-0とリード。また18分には、サモア左PRロゴヴィイ・ムリポラが危険なプレー(タックル)でシンビンとなり、序盤はジャパン有利に展開していく。

19分、スクラムからSOのループで相手をずらし左WTB小野澤に。惜しくも捕まるがそのラックからNo8ヘンドリック・ツイがタックルを引きずり先制トライを奪った。ゴール失敗(11-0)
26分にはラックから左ラインに展開、WTBの外にフォローしたFL菊谷がトライ。ゴール失敗(16-0)
体格で劣るジャパンFWだが、この時間帯には接点をうまくずらしながら連続してボールを保持していた。

その後、サモアは相手陣10mライン付近で得たペナルティキックを、ゴールを狙わずにタッチキック。22mライン内側のラインアウトからSOが仕掛けてきたが、ジャパンのディフェンスがしっかり止められず、次のラックからSHカーン・フォトゥアリイが抜け出て、31分サモア最初のトライ。SOキー・アヌフェのゴール成功(16-7)
38分にも、ジャパンのペナルティによるタッチキックで得た22m内側のラインアウトをモールにし、時間をかけて押し込みLOファアティンガ・レマルが左中間にトライ。ゴールも成功し16-14と、ジャパンはせっかくのリードを自らの反則をきっかけに追いつかれてしまった。

後半開始早々もジャパンは反則による得点を与えてしまう。まずハイタックル、そのタッチキックによるサモアボールのラインアウトでモールコラプシングを犯し、3分SOキー・アヌフェが22mライン上、少し難しい位置のPGを決めて16-17と逆転。
その後、ジャパンは何度か攻撃に転じるがミスによりチャンスを逃してしまう。
21分、ラインアウトからは展開しない戦略をとっていたサモアがモールで前進を図り、ラックになったボールを左ラインに展開、なんとかFBを止めたが短いパスを繋がれて、LOファアティンガ・レマルが左中間にトライ。ゴール成功(16-24)

25分、10mライン付近の難しい位置からSOキー・アヌフェのPG成功。(16-27)
28分、サモアがラインアウトに失敗し、入替出場の17PR山下がゴール前までボールを運びその後ポイントを連取、最後はFL菊谷がふたつめのトライ。ライン際の難しい位置で、ニコラスライアンのゴールは失敗。(21-27)
34分、サモアのPGがゴールポストにあたりジャパンはそのボールを繋いで22m付近まで攻め込んだ。その後の左ゴール前のマイボールラインアウトから右ラインに展開、ここでもループを使い、37分WTB廣瀬が右隅にトライ。
逆転勝利を狙ったニコラスライアンのゴールキックは失敗し、26-27でノーサイドとなった。

最後まで勝利の期待を持たせてくれた日本代表だったが、残念ながらIRBパシフィック・ネーションズカップ2012を全敗で終えることになった。

日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表

会見ダイジェスト

◎サモア代表
○スティーブン・ベイサム ヘッドコーチ

「言葉がありません。ジャパンが我々にトロフィーを与えてくれるとは思っていませんでした。多くのミスをしましたが、選手はサモアのスピリットを見せて戦いの中で勝ち取ることができました」

──ドライビング・モールを多用していたが?

「ジャパンのモールも強力でした。我々も、モールで攻めるとジャパンにどれだけ耐える力があるかを観てみたかったという思いがありました」

──前のジャパンと比べてNZ人が少なくなったが?

「今回は特徴的になり、ジャパンはさらに強くなったと思います。我々を負かす場面もあり、よくやったと思います」

○ディヴィット・レミ キャプテン
「まだ、試合が終わったばかりで整理できていませんが、ヘッドコーチの言うとおり、勝てて良かったと思います。ジャパンは3ゲーム勝てなかったが、我々に貴重な教訓をくれました。ジャパンはいずれもっと強くなっていくと思います。選手の頑張りで、この結果を得ることができ、感謝しています」

──教訓とは?

「ジャパンは我々を駆逐する勢いで対戦してくれました。60分から70分では十分でなく、80分間を通じて対応せねばなりませんでした。それがレッスンになりました」

──ジャパンの速いパス回しの印象は?

「訓練された組織的なプレーだと思いました」

日本代表 26-27 サモア代表 日本代表 26-27 サモア代表

◎日本代表
○エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ

「PNC3連敗は残念です。今日は相手が、トゥシ・ピシ選手以外、最高のメンバーで臨んでくれたことに感謝したいと思います。立ち上がりから勝つ気配があり、最後までそれが継続しました。しかし、現実は勝てないことに尽きます。ポテンシャルとして、FWはもっと強く、BKはスキルをもっと付けて伸びることができると思います。今までにないチャレンジを選手がしてくれたのは非常に嬉しいです。結果はまったく嬉しくありませんが(笑)。2連敗してこんなに髪を切ったのに、この上さらに切るのはどうすればよいのでしょうか(苦笑)」

──成長したところは?

「まず、マインドセットが出来てきたことです。自分たちがやろうとしていることを理解できてきました。9番、10番、12番からのプレーのバランスは良かったです。ボールのモーションも良かったが、悪いミスがあり、流れをつかみきれませんでした。サモアのようなチームに対して自分たちのラグビーを全うしたことは成長です。相手のフィジカルアドバンテージがあり、タックルもモールも選手たちはどうすればインターナショナルで通じるかを学びました。やり続ければ、よい結果が付いてくるでしょう」

──トライがサモアより多かったが?

「今日のアタックはバランスよく出来ました。しかし、ダブルタックルは少なかったです。トンガ戦では22mラインの内側に入ったとき、イングランドのようなラックからのピックアンドゴーでしたが、今日はそれをなくしました。今日は、しっかりセットしてBKに回してトライが獲れました。立川の10番はよく機能していました。小野も後から入って良かったし、日和佐、藤井も機能してくれました」

──フレンチバーバリアンズとの試合では?

「ブロードハースト選手と村田選手が入り、若手中心で編成します。ジュニアとシニアの力を試す良い機会です。ジュニアからインターナショナルに強い選手を見極めたいと思っています。来年の今頃には次のW杯でプレーする15から20人程度を決めたいと思います。それまで30試合を考えています。相手はサモアまたはそれ以上の大きな相手で、そのチームに対してどう戦うか、ゲームを通してしか学べないことがありますので」

──これまで、思ったより成長した部分と強化が必要な部分は?

「まず、今シーズンは、自分たちのプレーを信じる選手をつくり、世界と競うことでしたが、そこは嬉しいところでした。フィジカルはまだまだです。FWはあと3kg筋量を付けることで、BKはもっと速くなることです。隣にいる選手(廣瀬キャプテン)も、今までで一番速くなっています。正しいスピードトレーニングを始めた成果です。2011年W杯の時のFW全体の平均体重が890kgでしたが、今は830から840kgですので、まず、全体で筋量を30kg増やすことです。外国人を置かなくてもこれが出来れば、テクニックがよくなり、モール、ディフェンスももっと上がってくると思います。今日のサモアの攻撃からW杯でジャパンがやるべき事が見えてきました」

──菊谷選手を外側で使ってトライが獲れたが?

「素晴らしかった。菊谷はトライを獲る嗅覚があります。現在のフィットネスは70%ですが、100%になれば、ワークレートがさらに高くなるでしょう。今後3年が彼のベストの時代になるでしょう」

──インターナショナル試合にしてはゴールキックが入らなくて負けたが?

「私は負けるのは大嫌いです。ただ、ゴールキッカーは重要ですが、メンバーには、今は他のことを延ばす時期として、課題を与えています。ゴールキック練習もやれるようになれば、五郎丸も現在は80%の成功率ですので、もっと成長してくれるに違いありません」

○廣瀬俊朗キャプテン
「(勝つまで)もう少しなのですけれど、もうちょっとが、まだ遠い印象です。チームは毎週強くなり、レベルアップしています。来年、こんなこと(3連敗)がないよう、PNCを獲ります。一番感じるのは、お客様のサポートが我々の励みになったことです。来年も日本を応援していただければありがたいと思います」

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