トンガ戦メンバー発表記者会見でのエディ・ジョーンズヘッドコーチ、薫田真広アシスタントコーチへの一問一答

エディー・ジョーンズヘッドコーチ(以下、EJ)
「今回、メンバーを選ぶにあたって、2つのことを考えた。5日間で試合をすることになるので、フレッシュレッグスが必要だということ。そして、フィジー戦では相手にゲインラインを越えさせない点がうまくいってなかった。自分たちがゲインラインを越えることも。
 以上のような観点から、山下(裕史=PR)をハタケ(畠山健介=同)に替わって先発させることにした。ハタケはベンチからのスタートとなる。バックローに関しては、リーチ(マイケル=NO8/FL)が内側側副靭帯を痛めたので、ツイが替わってNO8に入る。あとは、ニコラスと仙波のプレーする順番を入れ替えた。
 もうひとつ、フィジー戦でできなかったのは、攻めるべきスペースを見つけられなかったということ。チャンスはたくさんつくったが、ボールを使えなかった。ニコラスはいつもの12番ではなくて13番に入るが、若いBK陣の助けになるはず。
 短期間だったが、いい準備ができた。トンガ戦が楽しみだ」

──ボディポジションの修正はどのようにしてきたのか。

EJ
「ジムでもフィールド上でも少しずつボディポジションに関するトレーニングは取り入れている。それぞれの選手によって、ベストのボディポジションの低さは違う。たとえば、タナ・ウマンガという選手がいたが、彼はタックルされた後、いつもボールを相手から遠くの場所に完璧なかたちで置いていた。たぶん、彼はどうしてそういうプレーができるのかわかっていないと思う。コンタクトのフィーリングによって、そういうプレーが可能になっているのかもしれない。この前のフィジー戦で言うなら、均ちゃん(大野=LO)は、どこにヒットして、どこに進んでいって、どこに入り込んでいけばいいのかという点に関して素晴らしい鋭さを見せていた。何人かはボディポジションが高過ぎる傾向がある。
 薫田がこの前、説明したとおり、日本国内ではそれでも通用する。なぜなら、ジャパンにいる選手たちが、日本国内では一番大きな選手たちだから。フィジー戦では、FWで1人あたり6kg、BKでは8kg体重が少ない状況で戦っていた。それはエクスキューズにはならないが、そういう状況でいかに勝つかを我々は考えていかないといけない。狭いスペースの中でいいポジションを探さないといけないし、コンタクトしない腕を使いながらコンタクトをコントロールして、いいレッグドライブをしてもらいたい。フィジー戦のような試合でどんどん学んでいくことが必要だ。
 今回はボールキャリアに対してダブルタックルしていく練習も取り入れた。どうやっていいポジション見つけていくかに役立つと思う」

──フィジー戦では、ペナルティキックからの速攻がほとんど見られなかったが。

EJ
「もちろん、それはフィールド上での状況判断に尽きる。いまの段階では、クイックタップから攻めていくほどには、チームが成長していないということ。相手に対してもっとプレッシャーをかけていくことが必要だが、今後そういう状況が増えていくと思っている」

──新しく先発でNO8に入るツイに関して。

EJ
「まず、彼をセレクトしたのは、リーチと近いものを持っていると判断したから。いいボールキャリアであるので、ゲインラインを越えていってくれることを期待している。
 いまのバックローを見た時に、相手のパワーを止めて、ゲインラインの向こう側にとどめていく力が必要。そのためには、いいボディポジションで入っていくこと。ツイはそれができていると判断している。
 菊谷も先発でもいける状態に近づいているが、まだフィットネスが十分ではないのでリザーブという判断をした。どんどん良くなっているのは間違いないが」

──ニコラス ライアンに期待していること。

EJ
「仙波は東芝の戦い方の中でのプレーは素晴らしい。ただ、まだ外側のスペースを見つけるという点に関しては成長段階にある。キックリターンに関してもまだまだトレーニングしていかないといけない。いまいろんなことを学習している段階と言える。
 ライアンは経験を持っているし、多くのことを若手に教えてくれている。10番も12番も若い選手なので、ガイダンスが必要。たぶん、今後30試合のテストマッチで良くなったり、悪くなったりする。テストラグビーでのそういう経験が重要になる。
 たとえば、スティーブ・ラーカムという選手がいた。彼は100試合のテストマッチでプレーした。最初の10テストは素晴らしかったが、その後は伸び悩む時期が続いた。ジョニー・ウィルキンソンも最初の頃のテストマッチでは厳しい経験が続いた。10番、12番というのはテストマッチでは苦しい状況に追い込まれることが多いポジション。だからこそ、フィールド上でサポートしてくれる存在が必要」

──現在のフロントローの強みと、FW戦に関してはどういうところがポイントになるのか。

薫田真広アシスタントコーチ
「我々の目指している、ボールを速く回したアタッキングラグビーのためには、セットプレーからいかにクォリティボールを出すかがテーマになっている。そのためには、フレッシュレッグスも必要だし、前半からしっかりセットプレーを安定させることが鍵になる。フィジー戦では、1人あたり6kg軽いFWが試合の中でしっかり修正できていた。トンガはもっとフィジカルにくるかなということで、FWの重さを意識したのと、2番、3番が同じチームなのでパックを安定したものにして、スクラムでプレッシャーをかけたい。
 FWとしてはまずアタックのシェイプ、そしてリンケージということはしっかりやらなければならない。あと、フィジー戦の教訓として、ブレイクダウンでどれだけインパクトを与えられるか、ダメージを与えられるか、ファイトできるかということが大事かなと考えている。
 フィジー戦に関しては自分たちの強い領域の高さでプレーしていなかった。フィジカル的に強い相手に対して、2人目の判断を速くしていかないといけない」