大学選手権4大会連続24回目の出場となる関東大学リーグ戦3位の大東文化大学と、1回戦の東北学院大学、2回戦の朝日大学を下して勝ち上がってきた、九州学生リーグⅠ部1位の福岡工業大学、両チームに所属するファカタヴァ3兄弟の対戦となったこの試合、大東大のキックオフでスタートした。

 キックオフ直後から福岡工大は自陣からでも積極的にボールを展開、BKがゲインし相手陣へ攻め込む。前半3分、ゴール前の右ラインアウトのチャンスからサイド攻撃最後はWTB井手拓人にボールが繋がり右隅に先制トライ。10分、大東大のゴール前での連続攻撃でWTBホセア・サウマキにトライを奪われ同点とされるが直後の13分、大東大の中央スクラムから右に展開したボールをWTB池松がインターセプトして左隅にトライ(FB江島:G成功) 、『前半のセットピースは予定通り、早い展開で持ち込めればチャンス有り。』とWTB池松佑眞ゲームキャプテンの狙い通り、スロースターターの大東大を相手に優位に試合を進めた。

 対する大東大は、スクラムで相手にプレッシャーをかけて行くが、『前半から攻撃的に行こうとしたが逆に福岡工大にやられてしまった。』と試合後の会見で青柳勝彦監督が反省したように本来のリズムが掴めずにいたが、17分のSH小山大輝のインターセプトでトライを奪うと、持ち味であるSH小山大輝とSO川向瑛主将コンビの自由自在のアタックが冴え始め、テンポの良い玉出しでBKへ展開、徐々にペースを取り戻して行く。福岡工大のディフェンスが乱れ始めた34分にはLOタラウ・ファカタヴァ、36分と40分にWTBホセア・サウマキの連続トライなど、5トライを奪い43-12で前半を終えると、勢いに乗った大東大のペースは後半も止められない。後半6分、この試合4つ目となるWTBホアセ・サウマキのトライを皮切りに、後半から出場のNO8アマト・ファカタヴァの2トライなどで、後半は9T6Gと大東大が圧勝、95-12の大味な試合と成った。

 大東文化大学は、12月17日(土) 秩父宮ラグビー場で大学選手権8連覇を目指す帝京大学との対戦が決定、『年々、帝京大学との得点差は縮まってきており、前半から良いリズムでゲームに入れれば決して勝てない相手では無い。全てを出しきって戦いたい』と青柳監督は次戦への意気込みを語った。(橋本 光一)


■福岡工業大学

○宮浦成敏監督

「今日の試合は福岡工大にとって37年ぶりの秩父宮での試合でした。序盤、15分間は作戦通りでした。しかし、その後、大東文化大に行った試合の流れを変えられず、ディフェンスが崩れ、ディフェンスを破壊されました。ボールを動かして、50/50のプレーでもリスク覚悟でチャレンジしていくようにしましたが、自陣でのちょっとしたミスや、大東大のオフロードパスから得点されてしまいました。後半、立て直しをはかり、ディフェンスからアタックに切り替えてやろうとしましたが、1対1で大東大プレーヤーを倒せず、自滅していまいました。」

──先週の2回戦では朝日大学との接戦を制し(福岡工大38-36朝日大)、『九州代表としての力を秩父宮ラグビー場で見せたい』と言っていました。
「2回戦では選手が素晴らしいディフェンスを見せていましたので、今日の試合で歴史を変えたかった。負けた朝日大学の分も背負って、関東・関西の大学に勝ちたいと、全部を出し切って行こうと考えていました。しかし、セット・ピースでは予想以上に大東大が強く完敗になりました。前半の序盤、いいアタックができましたが、コンタクトを続けていくうちに劣勢になってしまいました。今日の試合の収穫としては、関東・関西の大学との比較で、ウチの大学が置かれている現状がしっかり理解できたことだと思います。ディフェンスの修正が必要だと思いますが、ボールを回せば得点チャンスもつかめることも分かりました。」

──福岡工大OBの梶川喬介選手が日本代表に選ばれて欧州遠征でも活躍しています。
「梶川選手はワークレートが高く、日本代表でもいいプレーをしています。OBが日本代表で活躍してくれるのは学生にもとてもいい刺激になります。」

○池松佑眞ゲームキャプテン

「チームとして、今年の目標を大学選手権のベスト8としていましたので、この試合に賭けてこれまで一年間やってきました。完敗してしまい大変悔しい思いです。自分は未だ3年生ですので、来シーズン、4年生としてこの場に戻ってきて、是非、この悔しさを晴らしたいと思います。
今年の大学選手権では、まず、朝日大学に勝つことをターゲットとして先週の2回戦に臨みました。セット・ピースでは朝日大学に圧倒されてしまいましたが、勝ちに行こうという気持ちを切らさず、2回戦では朝日大学に勝利できました。九州の大学ラグビーのレベルをあげるためにも、甘えずに、社会人チームとも厳しい練習を続けてきまたした。」

──この1年は、九州のどのような社会人チームと練習をしてきたのですか。
「九州電力、三菱重工長崎、新日鐵住金八幡、JR九州さんなどなど、多くのトップキュウシュウのチームと合同練習をさせてもらいました。残念ながら、宗像サニックスとは合同練習の機会はありませんでしたが。」

──福岡工大OBの梶川喬介選手が日本代表に選ばれて欧州遠征でも活躍しています。
「梶川選手とは学年がかぶっていないので直接は存じ上げません。先輩が日本代表で活躍してくれることによって、僕たちでも可能性がゼロでないと思えるので、メンタル的にも強くなってきていると思います。」

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■大東文化大学

○青柳勝彦監督

「本日はありがとうございました。今日の試合は、『前半から攻撃的に行こう』と臨みました。しかり、序盤、ウチがやりたかったプランを福岡工大にやられて、選手が、すこし、パニックになったようです。それに対して、よく修正できてプレーできたため勝つことができました。」

──次戦、準々決勝の相手は昨年度も大学選手権で対戦した帝京大学となります。昨年度の結果(準決勝 帝京大68-33大東文化大)も踏まえて、来週の帝京大学戦ではどのようなラグビーをしたいですか。
「昨年度の準決勝での帝京大学戦では、前半開始直後に続けて3トライ取られて、そのままずるずるとやられてしまいました。最初の5分10分をしっかり戦うようにしっかり修正して臨みたいと思います。帝京大学はすばらしいチームですが、勝てない相手ではないと思っています。」

──青柳監督は監督に就任したのが2013年ですので、川向主将の年代の4年間の成長を見てきたと思いますがいかがですか。
「川向主将の年代の選手達は自信に満ち溢れてやっていると思います。試合をやる度に経験を積んで頼もしくなってきています。対帝京大学でも点差を縮めてきています。あまり、根拠はありませんが、私も、次戦はやってくれるのではないかと期待する一人です。この1年でもチーム全体の底上げができてきたと思います。層が厚くなってきました。帝京大戦では4年間の集大成をお見せしたいと思います。出し切ります。」

○川向瑛キャプテン

「監督のコメントとほぼ同じですが、前半から勢いを出して行こうと考えていました。しかし、序盤の15分間、福岡工大のペースでやられたことは大きな反省点になりました。」

──(実力差はある)地方リーグ代表の相手チームということで、この試合に対してのモチベーションはどのようにして臨みましたか。
「一人一人の仕事量をしっかりやり切ることを意識づけしました。80分間、サボらず、激しく痛いプレーを続けることを目標に臨みました。前半序盤はできていませんでしたが、修正して、その後はできるようになったと思います。」

──来週の帝京大学戦ではどのようなラグビーをしたいですか?また、昨年の敗戦から期するものはありますか。
「『入り』がよければ、十分チャンスはあると思います。試合の『入り』をいい意識で臨めるようにしたいと思います。私たちの年代としては大学選手権で帝京大には1年生の時に負け(3回戦 帝京大76-19大東文化大)、昨年度の準決勝での敗戦に続いて対帝京大は『3度目の正直』になります。この悔しさが残っているので、『試合の入り』をよくして、是非、勝ちたいと思います。」

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