報告: 東北少年ラグビー連絡協議会ミニラグビー部会副部会長
田端公一朗(青森県選抜チーム団長)

第11回目を迎えた東北小学生ラグビーフットボール交流大会が、10月1日-2日の二日間にわたって、青森県青森市スポーツ広場ラグビー場に於いて開催されました。

当初この大会は、福島県福島市のあづま総合運動公園で行われる予定であり、東日本大震災などの影響で福島市での開催が困難と判断されたことから、中止も検討しましたが、昨年度開催実績のある青森県なら早期に対応可能ということで、会場を移して開催される運びとなったところです。

「第11回 東北小学生ラグビーフットボール交流大会」

本交流大会のチームは、選手間の友情を育てることを目的として、基本的には単独スクールではなく各県内の複数スクールが合同で数チームを編成します。今年は12チーム、168名の選手の参加で、昨年より2チーム・選手数25名が減少してはいますが、被災された青森・岩手・宮城・福島も参加し東北全県のチームがそろいました。県内の試合では敵同士でも、合同チームを組み交流という趣旨で行われているこの大会では、チームメイト、さらに他県の選手との交流を図る最高の機会でもあります。開会式では青森県選抜主将の木下虎地郎君が、震災に負けない熱き思いと、仲間とともに力をあわせて精一杯戦うことを選手宣誓してくれました。

練習は5月からやっと再開という悪条件のスクールもありましたが、6年生だけのこの大会にどうしても出場したいという子どもたちもたくさんいました。「自分たちは出来るんだ。参加して元気なところを東北のラグビー仲間に見せたい」という気持ちがひしひしと感じられる大会になりました。

「第11回 東北小学生ラグビーフットボール交流大会」

最高気温12度、時折強い雨の降る悪コンディションの中で、選手の皆さんは一生懸命ボールをつなぎ、トライをしようという強い気持ちが感じられる試合が多く、グラウンドが津波で使用できなかったり、屋外で練習が出来ないチームもあって、フィットネスやスキルの面で例年よりもチーム間の差が大きかった印象はありましたが、それでも選手が懸命にボールを追いかける姿には、胸が熱くなりました。

この交流大会は、ルールについては毎回いろいろな試みや改変等が行われて、東北の指導者間で協議を行う場にもなってきましたが、今年は大会の運営も工夫し、初日の夕食を青函連絡船に使われた八甲田丸の中で、指導者や御父母抜きで選手等子供だけで一緒に食べたということも特筆すべき点だと思います。

これまでは、開催地までの距離があるため試合終了後直ちに帰省するのが常であり、なかなか子どもたちのアフターマッチファンクションのような催し物行うことが出来ませんでしたが、大震災も踏まえ、選手の心に何かを残そうと実施したところです。実施後「フレンドリーシップやノーサイドの精神を体感することができた」という言葉を子どもたちから聞くことが出来ました。

一方、ともすれば勝利を求めがちな我々指導者も、大会が回を重ねることにより、段々とミニラグビーの本質・大会の目的を理解してきているものと思われます。
「指導者は子育てをしていると思え。ラグビーは躾に最適のスポーツだ」と、関東協会普及育成委員会の飯原先生が挨拶されましたが、我々指導者も子どもの成長を見守りながら、自分自身成長していかなくてはと考えさせられた時間でしたし、自分ひとりではない、仲間がいるということを確認できた2日間でした。

「第11回 東北小学生ラグビーフットボール交流大会」

 

新しい10年のスタートに

東日本大震災以来、東北地域のラグビースクールに全国から御支援をいただいておりますこと深く感謝を申し上げます。おかげを持ちまして可能な範囲ではございますが、着実に再開されるスクールが報告されています。

さて、東北小学生ラグビーフットボール交流大会も11年目を迎え、概ね選手の年齢に並びました。本大会は、東北少年ラグビー連絡協議会淀川前会長の「友達づくりの大会、更にはラグビーの話題で御家庭内の会話が増えることを目指して、御父母が見に来る大会にしたい」という強い思いに関東ラグビーフットボール協会普及育成委員会が応えられ開催されるようになったものです。

新しい十年のスタートであり大震災の年でもある今年度、選手の皆さんへの御挨拶において「大震災後、開催県を変更して大会が準備でき東北各県の指導者は連携・友情を証明しました。でも、準備は終わりました。大会は選手のもの、すばらしい大会になるかは、皆さん自身が一人でも多く人の友達になれるかですよ」とお話ししたところ、大会中に若手指導者から「すばらしい挨拶でした」と声を掛けていただきました。

大会は、昨年に続き選手よりも多くの御家族が参加されるようになっていますし、指導者も選手の友情を育むことに目を向けて理想に一歩ずつ近づいています。今後も、選手そして御家族のための大会を目標に掲げ運営に努めて参りますので、関係各位の御指導・御協力をよろしくお願い申し上げます。

東北少年ラグビー連絡協議会会長立澤康彦

 

「第11回 東北小学生ラグビーフットボール交流大会」