3カ国対抗最終戦でNZを破り勢いに乗る豪州。アイルランドは主力のコンディションに不安あり

Text by Kenji Demura

オーストラリア代表のSHウィル・ゲニア選手
オーストラリア代表のSHウィル・ゲニア選手
photo by Kenji Demura (RJP)

8月27日にブリスベンで行われた南半球3カ国対抗(トライネーションズ)最終節。
豪州代表ワラビーズはライバルのNZに対して25-20で勝利を収めた。
NZは前週にも南アに敗れていたが、ワラビーズ戦はベストと言っていいメンバーで臨んでいただけに、そのNZを豪州が破ったことで、エリス杯の行方は混沌とし始めたと言っていいだろう。

今回の豪州代表はSHウィル・ゲニア(23)、SOクエイド・クーパー(23)、FBカートリー・ビール(22)といった売り出し中のBK陣を中心に若手メンバーが多く、予選プールでどんな内容の試合を重ねていくかも準々決勝以降のノックアウトステージでの戦いぶりに影響を与えることになりそうだ。

W杯初体験となる若いメンバーが大会期間中にさらなる成長を遂げて順調に勝ち上がっていった場合、決勝、あるいは準決勝でトライネーションズの再現をやってのける可能性も十分ある。
豪州代表を率いるのが、クルセイダーズでFLリッチー・マコウ主将やSOダン・カーターを育てたNZ人ロビー・ディーンズ監督なのも、オールブラックスとしては嫌なはずだ。

そんなヤングワラビーズにとってプールCでの最大のライバルがアイルランド。

今冬の欧州ハイネケン杯をアイルランドのレンスターが制し、6カ国対抗でもイングランドを破るなど、W杯へ向けて期待は高まっていたが、8月に行われた準備試合では、スコットランド、フランス(2試合)、イングランドといった6カ国対抗組に4連敗。世界ランキングも4位から8位にまで下がった状態でW杯を迎えることになる。

何よりも攻守の核となるブライアン・オドリスコル主将-ゴードン・ダーシーのCTBコンビのコンディションが万全でない点が気になるところ。
レンスターの欧州制覇、イングランド戦勝利の立役者となった若き指令塔ジョナサン・セクストンのゲームメイクもポイントとなる。

豪州、アイルランドの2強にチャレンジするのがイタリア。

2000年に6カ国対抗に加入が認められて以来、イタリアは毎年アイルランドと対戦しているが、いまだに勝ち星なし。ただし、今年の対戦では11-13という接戦に持ち込んでおり、虎視眈々と準々決勝進出を狙う。

8月13日に地元チェゼーナで日本を31-24で破った後、スコットランドとのアウェー戦では12-23で敗戦。
イタリアとしては、今年の6カ国対抗でアイルランドを追いつめ、フランス戦勝利をものにした時のように、しっかりとしたセットプレーとDF力でロースコアの戦いに持ち込みたいところだ。

8月21日に秩父宮で行われたW杯壮行試合で日本が20-14で勝利したアメリカにとっては、日程が厳しいプール戦となる。

9月11日にアイルランドと戦った後、中3日で絶対に負けられないロシア戦。さらに、同23日に豪州と戦った後、やはり中3日でイタリアへのチャレンジとなる。
先の日本戦でもFLトッド・クレバー主将、WTBタグズワ・ングウェニアなどの主力を温存したが、予選プールでの戦いでも、コンディショニングと大胆な選手起用が好成績を残せるかどうかのポイントとなりそうだ。

欧州地区予選を勝ち抜き初出場を果たしたロシアは、まずは初戦のアメリカ戦(9月15日)に全力を注ぎ、W杯初白星を狙う。