IRBパシフィック・ネーションズカップ
マッチレポート

日本代表 15-34 サモア代表
【2011年7月2日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

日本代表 15-34 サモア代表   日本代表 15-34 サモア代表   日本代表 15-34 サモア代表

W杯まであと2ヶ月と迫ったJAPANにとっても仕上がりを確認し、最後の課題を洗い出す良い機会である。世界ランキングでは11位のサモアとの対戦でIRBパシフィック・ネーションズカップのRound1が始まった。

サモアのシヴァ・タウが秩父宮に響き渡りキックオフ。
日本代表LOトンプソンのキックオフキャッチに対しての危険なタックルで得たペナルティ。難しい角度からのショットは惜しくも届かず。
試合を先制したのはサモア。前半3分、ラインアウトから大きく左に展開、BKでラインブレイクすると、WTBアレサナ・トゥイランギがポスト中央下に先制のトライを決める。(G成功0-7)

日本も機動性の高いFW陣がラックを支配。防御もFL西原が低いタックルでプレッシャーをかける。たまらずサモアが犯したペナルティからまたもショットを選択するが、クロスバーを越えることができない。

一方サモアは12分、日本陣22m付近で得たペナルティでショットを選択。FBソーイアロが決めて0-10と点差を広げる。
さらに14分、日本陣右奥のラックから大きく展開。サントリーでプレーするSOトゥシ・ピシがループプレーを決め、最後に大外のWTBトゥイランギがトライ。Gも成功し0-17。

日本の反撃は19分から。NO8龍コリニアシのチップキックからサモアゴールライン前のラックを支配しゴールに迫る。20分、サモアゴール前敵ボールスクラムをターンオーバー。その龍コリニアシがスクラム左を突いてゴールに身を躍らせる。(G失敗 5-17)

その後自陣での闘いも続くが、スクラムは優勢。本日はFWの奮闘が目立つ。

28分、PGを狙うがまたも失敗。今日のニコラスは当たっておらず、32分、再々度のPG。キッカーはウェブに交代。成功しスコアは8-17へ。

34分 日本陣22mラックからサモアLOジョー・テコリがサイドを疾走。最後に追いつかれはしたが、FL マナイ・サラベアにつながりトライ。(G成功8-24)
16点差でハーフタイムを迎える。

後半に入り、日本の攻撃が効果を発揮し始める。
後半6分、スクラムから左に展開。FBがライン参加することで一人余らせて、最後はWTB宇薄がゴール左に飛び込み反撃の狼煙をあげる。難しい角度だったが、SOウェブがゴールを決めて、15-24。

さらに10分からかなりの時間、サモアゴールライン目前でラインアウト、スクラムを繰り返すが、あと一歩で落とせない。サモアはスクラムコラプシングを繰り返し、ショットの選択肢もあったが、トライの欲しい日本はペナルティでは外に出してラインアウトを選択する。勝負所のセットプレーでトライを取りきれないままに、押し戻される。

19分 ウェブの蹴ったグラバーキックを処理したサモアがラックからCTBマプスアが駆け抜け、好フォローしたCTBピシに美しいパス。約40mを走りきってトライ。(G成功15-31)
さらに、25分 サモアがさらにPGを決めて、15-34。
その後、日本も何度もサモア陣内まで深く攻め入るが、細かなミスも出て追い上げができずそのままノーサイドを迎えることとなった。

日本代表はこの後、フィジーへ飛び、来週のトンガ戦を迎えることとなる。本日の試合でも局所で見られたテンポの良い連続攻撃や勝負所での激しいプレーに期待したい。

日本代表 15-34 サモア代表   日本代表 15-34 サモア代表   日本代表 15-34 サモア代表

会見ダイジェスト

◎日本代表
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ

(すべて日本語で)
「最初の20分、ミスが多く、みんなちょっとパニックになりました。前半、最後の20分は良くなりました。トライミスがちょっと多いです。攻撃では速いラインブレイク、ディフェンスでは良いタックルがありました」

日本代表
カーワン ヘッドコーチ(右)、ニコラス選手
カーワン ヘッドコーチ(右)、ニコラス選手

──ディフェンスの評価は?
「システムは大丈夫です。最初の20分は1オン1タックルができませんでした。来週からは1オン1タックルが重要です。フィジー、トンガには大変重要です」

──ボールの生かし方は?
「今日は、全然問題ないです。チャンスは作れています。24対15の時間に私たちはサモアサイドで試合できました。そこでキッキングゲームをして、グラバーキックがちょっと遠かったです(横からライアン・ニコラス選手も「そのコールは外からでした」と補足)」

──フィジカリティは?
「フィジカリティは全然問題ないです。ラックからたくさんトライチャンスを作れましたが、ラストパスのミスが多かったです。24対15の時に2回チャンスを作れました。このクリティカルモメントでサモアは1回のチャンスでトライしました。ライアンのキックもちょっと遠かった。ですから、たぶん、全然問題ないです」

──後半30分にバックスを代えたのは遅すぎないか?
「セットピースでボールをキープしましたし、バックスはラインブレイクもしました。最初の40分、ライアンはボールに触れなかったし」

──24対15の場面でモールを押し切れなかったが?
「最初のモールはちょっと高かったです。(ここから英語で)次はトライだと思いました。ペナルティ・トライだと。クイックラインアウトもなぜできないのか。たくさんチャンスがありました。でもノーエクスキューズです。今日のクリティカルモメントはサモアの方だったということでしょう」

──スクラムは?
「(日本語に戻って)ハッピーです。嬉しいです。後半20分過ぎ、回ってしまいましたが、スクラムは凄く良かった。ラインアウトは、来週、レベルアップしないと」

──ハーフタイムの指示は?
「1オン1タックル。前半最後の15分、サモアは疲れていました。我々のチャンスだと言いました。我々のプランの速いボールの展開をしましょうと」

──トンガ対フィジー戦を見た感想は?
「フィジカルなゲームでした。真っ直ぐ、我々の速いディフェンスラインと1オン1タックルが重要です」

──初キャップの西原選手の評価は?
「西原、良いです。凄い嬉しいね。ディフェンス、タックル、たくさんの仕事をしました」

○ライアン・ニコラス選手(バックス・リーダー)
(すべて日本語で)
「全体的にミスが多いです。特にセットピースからのスキルが良くなかったです。ボールキープできなくても、そこからチャンスを作ったが、最後まで生かし切れませんでした。ラインアウトからも良く攻めましたが、最後にしとめられませんでした。向こうのイージートライは、我々のミスからです」

──バックスラインのミスも目立ったが?
「サモアのプレッシャーがあったけれど、セットピースからのパスアウトが遅かった。最初のパスアウトはすべて大事です。ただ、プレッシャーの下でも良いチャンスを作りました。ウェブ、遠藤、イマム(今村選手の愛称)もラインブレイクしました。最後のパスでフィニッシュできませんでした。特に、強いチーム相手の時はラストパスでフィニッシュしなければ。汗は、両サイド同じ(条件)、ノーエクスキューズです。レベルアップしないといけません」

──前半、立ち上がりで、ペナルティゴールを狙ったのは?
「もちろん、その判断はキッカーとキャプテンです。ゴール成功できるか半々の位置でした。3点取れたら良いスタートでした。(横からJKが「最初の10分はポイントが取れたら確実に取っていく作戦でした」と補足)」

日本代表 15-34 サモア代表   日本代表 15-34 サモア代表   日本代表 15-34 サモア代表

◎サモア代表
○フイマオノ・ティティマエア・タフア ヘッドコーチ

「今日の試合は一点、勝つことが重要でした。日本代表は非常に良くプレーしましたが、いくつかのミステイクをうまく利して、我々は勝つことができました。選手はとても良くやってくれたと思います」

サモア代表
タフア ヘッドコーチ(右)、マプスア キャプテン
タフア ヘッドコーチ(右)、マプスア キャプテン

○セイララ・マプスア キャプテン
「ヘッドコーチの言うとおり、重要な試合に、今日は勝つことができました。1週間、一緒に練習をして、嬉しいことに何人かは初キャップの試合でしたが、彼らも頑張ってくれました。日本代表からは勝つ意欲を感じました。特別なワールドカップの年の試合で、前半は、たくさんのプレッシャーの下、我々も日本にとってのアンラッキースコアをして、勝つことができました。ディフェンスには課題もミスもありましたので、もう一度今日からスタートします」

──後半、日本代表はスクラムからフェイズを重ねたが?
「いずれも我々にとっては苦しかったです。スクラムもラインアウトも危険でした。暑かったし、3点ずつペナルティゴールを決められたのは良かったと思います」

──立ち上がり、17対0にしたが、日本の戦法の変化を感じたか?
「我々がリードしたあと、確かに日本代表は変わったと思います。我々も17点取って満足していたところがありました。日本はやはり、より厳しくスコアを取り返しに来ました。そこで点差を縮められたと思います」

──日本代表のフォーメーションの印象とワールドカップでの活躍は?
「日本の目指しているものはオープンシークレット(公然の秘密)だと思います。ワールドカップでは現実的な目標です。アジア5ネーションズ、PNCで正しい方向へ進んでいると思います。私は、日本ラグビーは大きな変化を遂げたと感じています」

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