4万人を歓喜させる大逆転でシールド優勝

大会順位13位ながらチームの成長に手応え

4月7〜9日、HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ 2016-2017第7戦 香港大会が開催され、プール戦ではフィジー、ニュージーランド、ウェールズに敗れた日本だったが、香港セブンズ独特のシールドトーナメント(13位決定戦)では、韓国、ウェールズを破り、同トーナメント覇者となり13位で大会を終えた。

香港セブンズではシールド決勝戦として行われた一戦を制して13位となった男子セブンズ日本代表
photo by Kenji Demura

間違いなく、ワールドセブンズシリーズの中でも、歴史も、盛り上がりも、圧倒的な香港セブンズ。

今季から他のシリーズでは13位決定プレーオフとなった一戦も、泣く子も黙る香港セブンズのローカルルールではいまだに『シールドファイナル』。

あくまでも13位決定トーナメントにおける優勝チームを決める位置づけで行われた試合で男子セブンズ日本代表は4万人の大観衆を歓喜させる大逆転劇を演じ、ドバイ大会ではカップ準決勝に勝ち進んだウェールズを下した。

後半1分57秒に3トライ目を奪われ、同2分22秒のゴールで7ー21とウェールズのリードは14点に。

「あそこが失点のマックス」

大逆転劇の主役のひとりとなった橋野皓介は、追い詰められた状況をそう説明。

「我々は世界のどんな強豪チームからでもトライを奪うことができる」

そんなダミアン・カラウナヘッドコーチの言葉を証明するように、4分38秒に「狙い通り」敵陣深くのラインアウトからサインプレーで橋野が左隅に飛び込み、難しいコンバージョンも自ら決めて7点差に。

さらに、6分37分にも、敵陣で相手のパスミスのボールを拾った橋野が3年前の香港セブンズでの屈辱のノックオンの汚名を返上する”スワンダイブ”トライを決め(ゴール成功)、土壇場で同点に追いついた。

3年前の香港セブンズでの痛恨のノックオンを払拭するトライを奪い、勝利に貢献した橋野
photo by Kenji Demura

橋野自身が「トライを取ろうと思ったら、いくらでも取れる」とチームの魅力を語る日本のアタックの勢いは止まらず、すでに後半7分を回っていたロスタイムに副島 亀里 ララボウ ラティアナラ→ナイカブラ・ジョネ→副島とつないでウェールズゴールを陥落させた。

香港セブンズならではのシールド王者としてお立ち台で楯を掲げ、グラウンド上でシャンパンファイトまで。

「シールドですけど、最後勝って終わると、気分がいい」

お祭りモード全開の香港セブンズの大観衆からの最大限の祝福を浴びた選手たちの気持ちを因縁の場所での呪縛から解放されるヒーローとなった橋野がそう代弁した。

「自信になった。シンガポール以降、結果を出していくことにつながる」(カラウナHC)

もちろん、香港セブンズのローカルルールではシールド優勝チームとなったものの、セブンズシリーズ香港大会での成績は13位。

「ベスト8が目標」(小澤大キャプテン)だったことを考えると、手放しで喜べる結果ではないのも確か。実際、コアチーム残留争いのライバルであるロシアの今大会での成績は11位タイ。香港セブンズ前「6」だったロシアとのシーズン総合ポイントの差は「8」に広がった(日本が15位で、ロシアが14位。15位のチームが降格となる)。

それでも、全試合で先発した「とてもエキサイティング」と、カラウナHCがそのラインブレイク力を高く評価するナイカブラ・ジョネ、シオシファ・リサラという新戦力も、その力が十分このレベルでも通用するものであることを証明。坂井克行、橋野、副島といった経験のある選手たちとの融合も大会ごとによくなっている。


13位決定プレーオフのロスタイムに決勝トライを決める副島。香港スタジアムは歓喜に包まれた
photo by Kenji Demura

「(最後にウェールズに勝ったことは)自分たちの自信になった。シンガポール以降、いい結果を出していくことにつながる、自分たちのやってきたことを信じられる勝利。難しいことではない。シンプルに細かくやってきたことをやり抜くだけ。自分たちの試合をコントロールできれば、世界10位、そして8位になれる」(カラウナHC)

ターゲッドにしてきたプールC初戦のフィジー戦では、自分たちのミスとDFの破綻から計6トライを奪われる完敗となったが、同HCは就任以来、若いチームが学習をし続けていることを強調してきたが、香港セブンズの6試合の中でもチームが成長が見られたのは間違いないだろう。

「マイボールキープできたのが良かった。ワイドワイドに降って、相手に歪みできたところで縦にというのができた。DFでも早くセットしてネットを貼り続けることを意識して、前半オフロードチェックできないところがあったが、後半修正できた」(小澤キャプテン)

そんな手応えを感じた男子セブンズ日本代表はシンガポールで南アフリカ、イングランド、フランスを相手にプール戦を戦い、カップトーナメント進出を目指す。

チームの成長に手応えをつかんだ男子セブンズ日本代表。シンガポールで8強入りを目指す
photo by Kenji Demura

 

text by Kenji Demura