河野 哲彦
日本協会公認A1レフリー・アジアBパネル

7月24日、25日にかけて中国・広州で開催された女子7人制ラグビー大会にレフリーとして、参加いたしましたので、報告いたします。

●参加レフリー

  • Liu Hao 中国(アジアAパネル)
  • Gabriel Lee 香港(アジアBパネル/女性,8月の女子W杯に参加)
  • Wu Wen Cheng 中華台北(アジアBパネル)
  • Supaporn Gomenake タイ(アジアBパネル/女性)
  • 河野 哲彦 日本(アジアBパネル)

アジアパネルから5名。アシスタントレフリー、インゴールジャッジは現地中国協会のレフリーが担当した。

開幕戦(中国×香港) キックオフ(タイ×ウズベキスタン)
開幕戦(中国×香港) キックオフ(タイ×ウズベキスタン)

●試合とレフリング

女子ラグビーは男子ほどのスピードはありませんが、さすがに国際大会ともなると、選手のラグビーへの理解やボールスキルには目を見張るものがありました。特に中国、タイなどは7人制に特化して強化しているとのことで、7人制の特徴を理解し、スペースを有効に活用していました。また、カザフスタンは、男子同様フィジカルな強さを前面に出したプレーで予選プールを勝ち進んでいきました。
日本代表は、スピードとパススキルでは他チームより秀でており、また前に出るタックルで中国やタイなどの強豪国を追いつめる場面もありました。日本代表の見る者を惹き付けるプレーに観客からは一際大きな声援が送られていました。同じ日本からの代表として彼女らの勇姿は誇らしかったです。

意図的な反則へのイエローカード ラインアウトからの中国のトライ
意図的な反則へのイエローカード ラインアウトからの中国のトライ

 

私は初日に開幕戦を担当。2日目も初戦を担当しました。女子ラグビーは概して、男子に比べてルーリングに対しての意識が高く、コミュニケーションも丁寧であるのでレフリーとしてはレフリングしやすかったです。しかし国際トーナメントということで各選手の気持ちは昂ぶっており、勢いあまったプレーなども出てくる場面も。それゆえ、流れと継続を重視したレフリングを意識しつつ、そうしたプレーをしっかりと見極める必要がありました。また国際試合独特の緊張感を感じました。
大会期間中は、IRBから派遣されてきているレフリーコーチから、試合ごとにコーチングを受けました。セブンズは一日に複数試合があるので、指摘された点をすぐに改善することができるため、レフリングの向上にはとても良い機会であり、前試合の修正点がすぐに改善できる達成感と手応えがありました。

またセブンズでは、タックル後のラックが発生しないままボールが展開されることがあります。その場合オフサイドラインは形成されませんが、初日にそのような誤ったオフサイドを取ってしまうことがレフリー全体で数回ありました。途中から重点事項としてコーチから徹底されました。
2日目の午前までの評価をレフリーコーチが判断し、昼食時に順位決定試合の割当てが発表されました。その結果、光栄にも決勝を担当することとなりました。今大会では、初日に3試合、2日目に4試合のレフリーを担当しました。

残念ながら我が日本代表は準決勝で中国に敗れ、決勝は中国対カザフスタンの顔合わせとなりました。両チームとも連戦で疲れているにも関わらず、キックオフから激しい闘志のぶつかり合いとなりました。しかし最終的には、フィジカルに任せようとしたカザフスタンを、セブンズらしいスペース感覚でボールを散らした中国が上回りました。

両チームが持ち味を出した決勝と呼ぶにふさわしい試合で、心地よい緊張感が張りつめていて、レフリーとしてその場にいることができたのがとても楽しく幸せでした。
最後になりましたが、今回の派遣に関して、ご協力いただきました皆様、いつもグラウンドの内外で叱咤激励してくださる日本協会岸川審判委員長はじめレフリーコーチの方々、そして普段から、私のレフリー活動にご理解いただいている職場・JR東海の皆様に大変感謝いたします。ありがとうございました。

最後にレフリー・コーチ全員集合 アジアの富さん・台湾のリンさん
最後にレフリー・コーチ全員集合 アジアの富さん・台湾のリンさん