松山ラグビースクール広報 家木 久美
北条少年ラグビースクール広報 瀧村 智
川西市ラグビースクール校長 吉岡 和夫

秋の気配を感じ始めた10月初旬、兵庫県と愛媛県で日本とオーストラリアの小学生・国際交流親善マッチが開催されました。

今回来日したのは、シドニーの「リンドフィールド・ジュニア・ラグビー・クラブ」。8才~17才を対象としたクラブで、クラブ総員は約500名。今回はそのうち、U11-U12チーム、約30名が保護者や関係者とともに来日しました。リンドフィールドJRCは、オーストラリアでは歴史も古く、規模が大きいクラブのひとつであり、ワラビーズのモートロックもOBだとか。伝統あるクラブの起源は、第一次世界大戦にあるそうで、リンドフィールド地区出身の兵士がフランスで戦っていた時、故郷に帰ったらスポーツクラブを作って平和な世界を目指そうという話になり、これを具現化したもののようです。

日豪小学生・国際交流親善マッチ 日豪小学生・国際交流親善マッチ 日豪小学生・国際交流親善マッチ
10月10日、松山での親善試合。「零九」という背番号の選手がやたらに多いなと思ったら、みんな「零九」でした。JAPAN TOUR 2009用に作った「'09」ジャージなのでしょう

 

このリンドフィールドJRCは兵庫県の川西市ラグビースクールと姉妹提携しており、2年に1回、この時期にJAPAN TOURを行っています。この交流のきっかけは、川西RSと三田RSが1998年に行ったオーストラリア遠征にあります。このとき、川西RSが対戦相手として紹介を受けたのがリンドフィールドJRCでした。2000年には、川西RSとリンドフィールドJRC間で正式に交流が始まることとなり、早速、川西RSが日本からオーストラリアに遠征。翌2001年には、リンドフィールドJRCが来日を計画しましたが、使用する予定の航空会社の倒産により止む無くキャンセル。しかし、2002年には川西RSが再び渡豪。以降、お互いに行き来して毎年交流を続け、今回、ついに交流10年目を迎えたものです。

2003年にリンドフィールドJRCが初来日する際には、「関西圏だけでなく、日本の他地域も訪問したい。特に広島を訪問して原爆や戦争の悲惨さを子供達に実感させたい」との要望がリンドフィールドJRCからありました。これを受けた川西RSから、広島を視察した後の試合相手として、松山RSと北条少年RSに打診があり、これを快諾。交流が始まったものです。松山でリンドフィールドJRCをお迎えするのも、今回で4回目となりました。
リンドフィールドJRCの一行は、10月2日に関西空港に到着。翌3日と4日は、川西市の「国崎クリーンセンター・グラウンド」にて、川西RS、三田RS、伊丹RSと対戦しました(このグラウンドのこけら落としのゲームとして開催させてもらいました)。

日豪小学生・国際交流親善マッチ 日豪小学生・国際交流親善マッチ 日豪小学生・国際交流親善マッチ
リンドフィールドU12と、松山RS(5・6年生)、北条少年RS(5・6年生)が対戦しました

 

学校の授業で試合が組めないウィークデーには、リンドフィールドJRCの一行は、京都観光や保津川下りで異文化交流も熱心に行うとともに、大阪の「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」でもしっかり楽しんだようです。そして10月9日には広島に移動して、主目的のひとつである「広島平和祈念資料館(原爆資料館)」を見学。何でも、オーストラリアでは反戦教育が徹底しているとかで、広島の「貞子の像(原爆の子の像)」のことを皆、よく知っているのだとか。

広島を視察後、一行は松山入り。これまで松山地区では、各家庭がホームステイで受け入れをしていましたが、今年は新型インフルエンザが流行。そうした事情に配慮して、今回は、松山RSの子供達が一緒に、公共の宿泊所に泊り込むという形となりました。宿舎となった「えひめ青少年ふれあいセンター」では、バスケットボールをするなどして、交流を深めました。その夜は、大浴槽や畳の部屋での雑魚寝を体験したオーストラリアの子供達。日本のいわゆる「合宿」をどのように感じたのでしょうか。

さて、翌10日は、いよいよ松山での親善試合。試合会場は、愛媛県総合運動公園球技場。高校全国大会県予選の決勝も行われるこのグラウンドは芝生も青々としており、天気も快晴。絶好のコンディションでした。

試合は、日本の子供達とオーストラリアの子供達では、体格差は歴然。リンドフィールドU12×松山RS(5・6年生)、リンドフィールドU11×北条少年RS(5・6年生)の試合は、両試合ともリンドフィールドが勝利しましたが、子供達は、勝敗には関係のない何物にも代えることのできない経験をしたことと思います。

試合終了後、運動公園内のレストランで保護者・関係者を交えてレセプション。1時間程度の昼食会でしたが、松山・北条とリンドフィールドとの親睦を図りました。レセプション終了後、リンドフィールドJRCの選手団は、バスで川西へと向かいました。リンドフィールドJRCは、翌11日に川西市・国崎グラウンドでもう1試合を終えたあと、12日に関西空港から帰国しました。

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みんなで記念撮影。この日の国際交流親善マッチの模様は地元のテレビ局「あいテレビ」で放送されました 試合終了後のレセプションで挨拶する川西市ラグビースクールの吉岡校長。この交流のきっかけを作る

 

ラグビーを通しての国際交流。試合後のファンクションは、ラグビーの素晴らしい文化だと思います。言葉は通じなくても、身振り手振りや、同じラグビーをプレーしているという“気心”で、子供達は交流を深めていました。幼少の時期からこうした国際交流を深め、異文化を肌で感じることは、今後、社会のグローバル化が益々進むであろうことを考えると、大きな意義があると思います。第一次世界大戦にクラブ発足のルーツがあるリンドフィールドが、HIROSHIMAに強く関心をもち、平和教育の意味も込めて来日してくれる。そして、その川西RSとリンドフィールドJRCの交流が10年も続いている(川西RSさんのおかげで松山RS・北条少年RSも7年ですが)ということは、素晴らしいことだと思います。1998年に蒔かれた種が、今芽生えて大きく育ってきています。この育成が単に一世代だけで終わることなく、次世代にも引きつがれ、ラグビーを通して、世界中の人たちが平和で楽しい世の中が築かれることを強く願い、本レポートのまとめとさせていただきます。

なお、国際交流親善マッチの模様は、12日の夕方、愛媛県のローカル放送局「あいテレビ」にて放送されました。

リンドフィールドJRC JAPAN TOUR 2009の詳細な模様は、下記のサイトで紹介されています。
川西市ラグビースクール http://2802005.team.jrfu-members.com/
松山ラグビースクール http://matsuyama-rs.kids.coocan.jp/
愛媛県ラグビー協会 http://www8.ocn.ne.jp/~rugby-e/