ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 第6回レポート

(2022年4月11日更新)

10月16日から半年に亘り実施されたラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)は3月20日の第6回で最終回を迎えました。

 

卒業式が重なるなど残念ながら3名が欠席。19人が参加した最終回はラグビーに関する仕事を考えるゲームで始まりました。「日本代表の試合をテレビ観戦するためにどれだけの仕事(役割)が関わっているか」、ブレイクアウトルームに分かれ10分間で一番多く挙げられたチームが優勝です。結果は僅差となり、33個を挙げたチームが優勝しました。これまでの講義でお話を伺った記者、通訳、トレーナーはもちろん、グラウンド整備やスタジアム内外の誘導係など、試合を支える多くの仕事も挙がり、高校生の視野が広がったことが伺えました。JRFUの職員からアンチドーピングや感染症対策の係、対戦チームの入国に関する業務なども紹介されると、頷きながらメモを取る高校生。いつの日か彼女たちがこうした仕事を担う日が来るかもしれません。

 

ふたつ目のグループセッションでは、半年間の学びを振り返りながら一人一人が未来に踏み出す一歩として何に取り組むかを発表。思い思いに描く未来の、その最初の一歩も様々です。管理栄養士となってスポーツに関わる将来のため、英語の勉強を始めた人や、東日本大震災で被災したときにたくさん助けてもらった経験から、人を助ける看護師を目指して勉強する人など、それぞれの抱負を語りました。

 

続いて、事前課題として提出された「未来を創る、未来の私」をテーマとするスピーチのセッション。このスピーチはREPで学んだことを活かしてこの先どのように行動し、それをどう社会につなげていくか、22名がそれぞれの目標、未来の社会への想いをまとめたものです。この日は特に素晴らしかった3人のスピーチを全員で視聴しました。

REPの参加者の優れた点のひとつが、他者の意見を受け止め、理解し、自分に取り入れ視野を広げていく姿勢です。「ラグビーを通じ社会の仕組み、支える楽しさを学んだことで、今度は私が支える人になると決めた」「する、みる、ささえるの視点があるように、物事には様々な関わり方があることを学んだ。社会から必要とされる人間になれるよう努めていく」「ラグビーには社会を変える力がある。女子ラグビーの発展によって、社会課題である男女格差の解決につなげたい」など、3人のスピーチはいずれも違った視点からREPでの学びと自身の未来を結び、未来の自分と社会をつなげるもので、視聴した高校生はここからも新たな気づきを得ていました。

 


そして、ついに迎えた修了式。普及育成委員会西機真委員長はここ数週間の社会情勢にも触れながら「混沌とした難しい時代のなかでラグビーの価値、スポーツの価値を学んだ皆さんが、社会の未来にどのように役に立っていくのかを考えたことはとても大事なこと。皆さんがラグビーの精神を理解し、今後もその精神を実行してくれたらより豊かで幸せな社会にできる。一人一人がボールを持って前に進んで欲しい」と祝辞を述べると、修了証を手にした高校生は「なんとなく思い描いていた将来に対して、具体的な手段や活躍の場所を知ることができた。社会での活躍につなげたい」「夢を叶えるために今の自分が何をしないといけないかが分かった」「積極性の塊のような同年代の仲間と意見を交わすことで自分の考えを整理し、再構築できた」など感想を述べました。

 

あっと言う間に過ぎた6か月。高校生は真摯に取り組み、自分自身を見つめながら、より良い社会をつくり出す次世代リーダーの自覚を胸にREPを修了しました。4月から新しい舞台に進む3年生を筆頭に、高校生はREPで学んだことを胸により良い未来を築いていきます。





ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 第5回レポート

(2022年3月11日更新)

2月20日に実施された第5回ラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)はこれまでの学びをフル活用した英語によるインタビュー。女子高校生20名が新しい一歩を踏み出しました。

 

インタビュイーは3名。World Rugby(WR)でRugby Partnership Managerを務めるRidzal Saat氏、フィリピンラグビー協会会長でWR Councilor representing AsiaでもあるAda Milby氏、そしてフリーランスでソーシャルメディアやPRのコンサルタントとして活躍するAbby Hall氏。高校生は予め、それぞれのキャリアを調べ、自分が一番関心のあるインタビュイーを選んで3つのグループに分かれました。

まずはインタビュー前に30分間、グループで打合せを行い、それぞれが考えてきた質問の流れをつなげられるように質問の順番を工夫したり、司会進行の役割を決めました。その決め方もグループによって様々。緊張で表情もこわばるなか、仲間と協力し、準備万端でそのときを迎えました。


 写真:Ridzal氏にインタビューをしている様子


Ridzal氏へは「ラグビーに関心がない人へはどんなアプローチをするのか?」「アジアラグビーの中でラグビーを普及させていくためには、何が必要か?」など、WRでの業務内容を踏まえた質問がなされ、高校生がしっかりと準備してきたことがRidzal氏にも伝わっていました。

Ada氏へ質問した高校生は全員がラグビープレーヤー。「挫折した経験とどのように乗り越えられたか?」「どのようにリーダーシップを発揮してきたのか?」と、プレーヤーとして活躍したAda氏こその質問が続きます。


写真:Ada氏へのインタビューの様子


Abby氏へも、ラグビーに関わるようになった経緯やJRFUとWRや他のユニオンで共通することは何かなど、幅広く活躍するバックグラウンドへの質問がなされました。

インタビュイーは全員、高校生の質問を温かく受け止めとても丁寧に答えてくださり、英会話に自信のない高校生の緊張もすぐにほぐれていきました。

 

写真:Abby氏がインタビューに答えている様子


インタビュー終了後は、30分間のグループトークでインタビュイーの発言を確認。どんな発言だったのか、フレーズや単語について、各自が聞き取れたことを共有し、グループ全員で確認し理解を深めました。自分が分からなかったことを素直に打ち明け、周りのメンバーに補足を求めるなど、高校生はここでも素晴らしいチームワークを発揮します。ムードメーカーがいれば、英語が得意な子もいる。率先してファシリテーターとなる高校生も、もう珍しくありません。それぞれの強みを持ち寄れば大きな力になることを高校生はしっかり理解していました。

 

「他のメンバーの質問は自分の質問と違ったので、そんな視点もあるのかと思った」「伝えたいという気持ちがあれば相手も汲み取ってくれると体感できた」「話す能力も必要だが、何を言っているのか理解する能力も大事だと感じた」「自分と共通点のある人ばかりでなく、様々な立場の人と積極的に意見を交わしていきたい」「性別ではなく、能力で評価される環境になってほしいという言葉が特に印象的だった」など、初めての英語インタビューを通じ、次世代リーダーとなるために大事なことを学んだ高校生たち。この気づきはより良い未来へとつながるはずです。

 


残すところ3月20日の修了式となった2021年度のREP。自分自身を見つめながら、より良い社会をつくり出す次世代リーダーとなる高校生は最後までラグビー・エンパワメント・プロジェクトに全力で取り組みます。



ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 第4回レポート

(2022年2月5日更新)

1月22日に実施された第4回ラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)。女子高校生20名は「新しい世界を学ぶ」をテーマに学びました。

 

JRFU国際部門の神野帆夏は、大学入学後、東京2020に関わることを目標に情報収集を進めて参加した平昌2018の調査団から、共生社会の実現を目指し立ち上げた学生時代のプロジェクト、ラグビーワールドカップ2019、東京2020大会に関わった経験に触れ、スポーツを「支える」ことでスポーツの力に気づいたことや、「大きな目標にこそ、日々の一歩が重要になる」と考えるようになったことを話しました。

大学を卒業してから間もない神野の話は、高校生にとって身近に感じられ、「大学生活で自分の興味のあることに挑戦したい」「全力で取り組んでいく中でふとした時に思いがけないチャンスがやってくる、という言葉を信じて今を全力で行動したい」など、主体的に行動する大切さも再認識しました。


 


続いて、青年海外協力隊やJICA専門家としてシリア、ボスニアヘルツェゴビナ等で活動された辻康子さんから、活動を通じて感じた「スポーツの力」について伺いました。事前課題として与えられたのは「スポーツの強み、弱み」について考えてくること。

「スポーツは万能ではない。だからこそスポーツの強みと弱みを理解している人がスポーツの力を信じ社会貢献に関わることが大切」という辻さんの言葉は高校生の心に響いていました。

国際協力に関心を持つ高校生も多く、「これからどんなことをしていけば、自分のなりたい姿に近づけるのか、とても参考になった」「今の私にはまだ少し難しい話だと思ったが、自分に出来る小さなことからでも始めてみようと思った」「自分の無知を痛感した。だからまずは自分の知識の幅を広げたい」など、次の行動につながるコメントやこれまでなかったスポーツの“弱み”の視点に対する学びへの言及がありました。


 


グループによる振り返りでは「グループの人の意見で初めて気づけたこともあったので、みんなと振り返る時間で学べることが多い」「自分の中で考えたことを留めておくのではなく、みんなと共有すると様々な考え方があることにとても感心した」など、多様な考えに触れることで自身も成長することの気づきに加え、グループトークで初めて司会進行にチャレンジした高校生の姿や「誰かが喋ってくれるからそれまで待っているのではなく、自分からどんどん話を進めていきたい」など、積極的に、主体的に動く様子が見られたことは大きな進歩でしょう。

 

二渡一行による英語学習では、2月に行う海外ラグビー関係者へのインタビューに向けてこれまでの学びを振り返り、ペアになってインタビューを練習しました。ペアワークで初めて話す仲間も多く、「相手を深く知ることができた」「一問一答になってしまったので、回答に対して良いリアクションをとれるようにしていきたい」など前向きな感想や具体的な改善点が挙がり、高い向上心が見られました。

 

自分自身を見つめながら、より良い社会をつくり出す次世代リーダーとなる高校生はラグビー・エンパワメント・プロジェクトに全力で取り組みます。



ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 第3回レポート

(2021年12月20日更新)

12月11日に第3回を迎えたラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)。女子高校生22名は「世界とつながる」をテーマに今回もぎゅっと詰まった2時間を過ごしました。

 

この日はJRFU大会運営部門の松尾エイミによる「海外の人と働く」をテーマにした講義からスタート。自身が大会運営部門のチームサービスで30を超える国や地域のチームを受け入れてきたなかで心掛けたことや、東京オリンピックパラリンピック大会組織委員会に従事し、ダイバーシティな環境で注力したことなどを多くの写真を織り交ぜて説明しました。大会や試合を支える重要な役割ながら、表に出ることのない仕事について学び、関心を強く持った高校生の姿もありました。

高校生の心に残ったのはリーダーシップと絡めた「言葉の力」、相手の心を開くために自分から行動しつづけることの大切さ、外国の文化を尊重するとともに自国の文化を受け入れてもらうことの大切さ、などなど。質問にも丁寧に答える松尾の姿に憧れを抱いた高校生も見られました。

 

続く講義はJRFU広報部門の小川哲生による「SNS講義」。世界とつながる有用な手段であるSNSも使い方を誤れば大きな事故につながります。小川はJRFUのオフィシャルSNSの使い分けをそれぞれの特性も交えて説明し、ハッシュタグの使い方や投稿時の留意点にも触れました。高校生に事前ヒアリングした質問事項から、デジタルタトゥーについてラグビーにまつわる事例を挙げてその危険性を説いたことで、SNSを使い慣れている高校生からは「自分の夢や可能性を潰さないためにもきちんと考えて投稿しようと思った」などの感想が寄せられました。普段からJRFUのSNSをチェックしている高校生も多く、「影響力の大きなアカウントだからこそ、本当に細かいところまで確認して投稿していることを知った」と、その裏側から多くの学びを得ていました。

 

2時間の締めくくりは二渡一行による英語学習。前回のテーマ「Agree & Disagree」の復習から始まり、相手の考えるキャリアゴールからフックとなるワードを聞き取り、質問を通じて相手をよりよく知るという10分間のペアワークに取り組みました。ランダムに決まるペアの相手は初めて話す人のケースも。でも、もう臆することはありません。「反応のバリエーションを増やす事で、質の良いコミュニケーションが取れるようになった」「夢について深掘りしていくうちに、相手のことをより知ることができた」「ペアの人のキャリアゴールがしっかりと芯が通り明確に決まっていて、自分のやる気にも繋がった」とそれぞれに自身の成長を実感していました。

 

自分自身を見つめながら、より良い社会をつくり出す次世代リーダーとなる高校生はラグビー・エンパワメント・プロジェクトに全力で取り組みます。





ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 第2回レポート


およそ1か月ぶりにオンラインで再会した女子高校生21名(1名は残念ながら欠席)は第2回も2時間みっちり多くのことを学びました。

初めに学んだのは「ラグビー普及の取り組み」。JRFUの組織全体から、普及事業を扱う普及育成委員会の構成と各部門の取り組みについて概要を学び、JRFUが今年3月に発表した中期戦略計画において本事業がどこに位置づくかを確認しました。


続いて、RDO(Regional Development Officer)として関東エリアを担当する平田彩寧が自身の業務について説明。「RDOは何の略でしょうか??」のクイズではほとんどの高校生がRugby Development Officerと回答。残念。RはRugbyではなくRegionalです。しっかり、覚えてくださいね。


続く「インタビュー研修」では学生時代にラグビー部に所属していた毎日新聞の本橋由紀記者からご自身のキャリアや取材歴、インタビューの方法についてお話を伺いました。習ったことはさっそくアウトプット。高校生は3つのグループに分かれ、前回のキャリア教育で経験談を聞いた中村愛、平田彩寧、兼松由香の3名にインタビューの実践です。本橋記者からは「自分がどのような視点を持って話を聞くか」「具体的な質問を重ねていくことで話を広げることができ、話を引き出すことができるようになる」とポイントを教えていただき、計3回のインタビューに取り組みました。質問をつなぐ難しさを実感したり、「普段の会話にも応用できる」と気づいたり、「ちょっとした聞き方の違いでも、インタビューを受けてる側からすると答えやすさが変わる」など、高校生はそれぞれの視点で多くのことを学びました。


最後は恒例の二渡一行による英語学習。今日のテーマ「Agree & Disagree」もグループワークで理解を深め、高校生は徐々に積極的な発言をするように。自信がなくてもまず発言する!というチャレンジングな時間を過ごしました。


終了後のアンケートでは、「前回より緊張しなかった!」「世界が広がったと感じる」といった感想に加え、こんな普及イベントをやりたい!というたくさんの提案が寄せられました。高校生だからこそできることや思いつくアイデアがきっとあるはずです。

自分自身を見つめながら、より良い社会をつくり出す次世代リーダーとなる高校生はラグビー・エンパワメント・プロジェクトに全力で取り組みます。


ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 第1回レポート

 (2021年10月16日実施)


岩手県から大分県まで、日本全国から公募により選出されたラグビーを愛する女子高校生22名が参加する「ラグビー・エンパワメント・プロジェクト 次世代リーダー育成事業」が10月16日に初回を迎えました。


オンラインのせいか、みんな一様に緊張の面持ち。18時のスタート前には沈黙の時間が…。高校生、大丈夫かな。

初回のプログラムは3つで構成され、高校生は初めに、レフリーやコーチの担当を長く務める大瀧史子職員からラグビー概論を学びました。RWC2019や東京2020でもレフリーのリエゾンを務めた大瀧職員は「ラグビーの競技規則は英語で何と言うかな?」など、LawとRuleの違いを交えながら、ラグビーの歴史やラグビー憲章、ラグビーの価値について話しました。事前課題の「ラグビー憲章の5つの価値を自分の生活のなかで見つける」を通じ、高校生は自分とラグビーの距離を縮めたに違いありません。


2つ目のプログラムはキャリア講義。本プロジェクトを担当するJRFU教育部門長の中村愛、地域連携部門員の平田彩寧、教育部門員の兼松由香が話す三者三様の人生は、思いがけないことで道が開けたり、キャリアがつながったり。高校生は自身と重ね合わせたり、新たな道を考えたりしながら真剣に話を聞きました。


最後に取り組んだ英語学習では、女子日本代表(サクラフィフティーン)のサポートスタッフとして通訳経験のある二渡一行からリアクションについて学びました。怒涛の英語ラッシュに目が点だった高校生も、グループワーク後には積極的に発言するなど能動的な学びを通じ大きな成長を見せていました。


最後には普及育成委員長の西機真から「もっと周りの人のエネルギーを自分に取り込んでいって、積極的にアウトプットをして、ラグビーだけでなく日本を元気にしてください!半年間楽しんでください。」と激励のメッセージがありました。


受講後のアンケートでは、「ラグビーの知識を深めることができてよかった」「自分と似ているところの発見や気づきがあり、刺激を受けた」「グループワークのメンバーが優しく、楽しく勉強できた」などのコメントが寄せられました。

初めてづくしのラグビー・エンパワメント・プロジェクト。今日から3月まで、半年かけてラグビーを通じて自分を見つめ、大きな気づきと新たな可能性を求めて22名の高校生は全力で取り組みます。



関連リンク

・「ラグビー・エンパワメント・プロジェクト」次世代リーダー育成事業 参加者募集のお知らせ

・「ラグビー・エンパワメント・プロジェクト」次世代リーダー育成事業の参加者決定のお知らせ