今期で3年目を迎えたラグビー・エンパワメント・プロジェクト(REP)。

昨年8月に熊谷から活動をスタート、月1~2回の研修を重ね、12月に福岡で修了式を行いました。



  過去2年、女子高校生が募集対象だったREPですが、男女共同参画の視点から今年度から性別を問わず、男子高校生にも門戸を広げました。書類選考とオンライン面接を経て選ばれたのは女子14人、男子6人の計20人。研修はオプション講義を含め月2回、初回と最終回を除きオンラインで行われました。 

 7月末にオリエンテーションを行い、プロジェクトの進め方を説明。最初の研修は8月上旬、熊谷市にて2泊3日で開催されました。開講式に始まり、ラグビー概論やラグビー憲章、日本協会について理解を深めるところからスタート。REPを担当する普及育成部門スタッフ自身のキャリア講義、研修生たちが実践するインタビューの基本や、熊谷ラグビー場の見学、デフラグビーの講義など、様々な分野での知見を深めました。



 8月19日の第2回、キャリア講義の講師は元女子日本代表の三好はるえさん。2000年代当初、女子ラグビーが現在ほど選手数が多くなかった中での留学や、結婚・出産を経てのラグビーとの関わりなど、先駆者の話に耳を傾けました。続いて「スポーツと社会の関わり」をテーマに慶応義塾大学が大学日本一に輝いた時の主将・高田晋作さんが登場。高田さんは日本代表を応援する「丸の内15丁目PROJECT.」の仕掛人でもあります。ラグビーを通じた街づくりに取り組むビジネス最前線の話は、ワールドカップ前ということもあり、参加者から質問が相次ぎました。



 9月16日、第3回のテーマは「ラグビーとD&I」。トンガからラグビーの留学生として日本大学に入学、近鉄ライナーズに進み、日本代表でも活躍したタウファ統悦さんを講師に招きました。言語も文化も異なる国で、ラグビーを通じて自らのキャリアを築いた統悦さんの経験談は、そのままラグビーの多様性を表していました。続いての登場は長くトップレフリーを務めた加藤真也さん。教員と毎週末のレフリーで全国を飛び回った加藤さんの体験も、将来的にラグビー周辺の仕事に携わりたい参加者にとって、参考になるものでした。



 10月14日、第4回のテーマは「ラグビーと国際交流」。サクラセブンズでリオデジャネイロオリンピック、東京オリンピックに出場した小出深冬さんが講師。セブンズで活躍した小出さんが、日本を代表する選手になるまで、また国際大会でどうやって他の選手と交流を深めたのか、オリンピックでの体験談は、普段知ることのできない貴重な内容となりました。2人目は第5回への準備として、フランス在住のCitlali Cabreraさんにインタビュー。ラグビー好きで、日本を訪れたこともあるCabreraさんは、フランスで開催されたワールドカップの日本戦も観戦。オンラインで初対面の人に英語でインタビューと初めての経験に戸惑う場面もありましたが、彼女の人柄にも助けられて、無事に終了。次回へのレッスンとなりました。

 

 11月18日の第5回はREPのハイライト、世界のラグビー関係者へのインタビュー。この日のためにオプション講義で英語での質問の仕方や、インタビューのマナーなどを学び、いざ本番。今期はバラエティ豊かなインタビュイーが揃いました。元女子南アフリカ代表主将Cebisa Kulaさん、フランスで行われたユース大会「ヘリテージカップ」のマネジャーHervé Françoisさん、RWC2023でレフリーを務めたNic Berryさん、女子ラグビーのレフリーRachel Hortonさんの4人。参加者は事前の希望で4グループに分かれ、まずは質問の順番やリーダーなどを決め、30分のインタビュータイムに突入しました。インタビュイーは、一つの質問に長く答えてくれる人もいれば、短く答えて参加者へ質問を返してくる人など、多種多様です。参加者は英語の訛りや返答に苦労しながらも、堂々とやりきりました。

 REPの参加者がいちばん成長するのが、このインタビュー。グループで助け合うことで、仲間との繋がりが生まれます。何より、10代で海外のラグビー関係者にインタビュー出来る機会は貴重です。事前に準備を重ね、初対面で英語でインタビューと大きな挑戦になりますが、苦労した以上の達成感を得られる回となりました。



 最後の研修は12月16、17日、福岡のJAPAN BASEを舞台に行われました。男子セブンズ日本代表と同宿になり、日本のトップ選手にインタビューする機会にも恵まれました。グループワークのテーマも「JAPAN BASEの活用法」。見学、宿泊しただけに、自らの体験を基にしてのディスカッションとなりました。

 最後に全員が「未来を創る、未来のわたし」のテーマで3分間のスピーチ。現役選手、マネジャー、ラグビーに関連する仕事に就きたい学生、親の勧めで参加した学生と、応募の動機はそれぞれも、多くの参加者が、自分の人生におけるラグビーとの関わり方が見つかったとスピーチ。様々な講義を聞いて、はっきりとした進路を見つけた参加者もいました。前年度に続いて聞かれたのが「同世代で、こんなにラグビーの話が出来たのは初めて」という声。日本全国の同好の仲間と繋がれるのは、オンラインの良さでもあります。

 5つのコアバリューを提唱するラグビー憲章に加えて、3期生が加えたコアバリューは「挑戦」。これからも、REPの仲間と共にチャレンジを続けていきます。



[参加者の声]

▲5か月間で感じたこと

「前よりラグビーが好きになった。見ることが大好きだったけど、見ることが出来るのは。支えているたくさんの方々がいるからということを心から感じた。支え方にもたくさんの種類があることがわかった」

「視野の拡大。ラグビー憲章の内容やデフラグビーから見た多様性、国際交流、インタビュー研修などラグビーをプレーヤー以外でのラグビーの接し方を学べた。それによって視野が広がり、多様性を感じるようになった」

「何でも探究したいと思えるようになりました。前までプランを立てて終わることが多かったのですが、今ではdoが出来るようになりました」

「将来の夢がラグビーとは全く関係無い、定かではない曖昧な時に参加して、新しい発見がありました。このプロジェクトに参加している仲間に共通するのはラグビーが大好きな事。それだけで、こんなに輪が広げられるんだと感銘を受けました。将来ラグビーに携わろうと思っていなくても、ラグビーをしていなくてもラグビーが大好きだという方はぜひ参加してみてください」                          

(森本優子)


■第6回・修了式レポート

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16597/

 

■第5回レポート

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16522/

 

■第4回レポート

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16484/

 

■第3回レポート

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16448/

 

■第2回レポート

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16406/

 

■第1回レポート

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16388/

 

■2023年度「ラグビー・エンパワメント・プロジェクト」参加者決定のお知らせ

https://www.rugby-japan.jp/RugbyFamilyGuide/news-topics/16350/


以上