競技規則につきまして、ワールドラグビーよりこのほど、下記の通りルーリングに関する通達が出されました。日本協会でもこれを受け、ここに通知いたします。
記
明確化の要請:
南アフリカラグビー協会より、「キャノンアーム」と呼ばれる戦術がゴールライン付近での「ピックアンドゴー」の場面で一般的に用いられる傾向の増加についての文書が示された。この戦術は、ボールを保持しているボールキャリアーによるもので、意図的にボールを持っていない方の腕を前方へ伸ばし地面に付くことでコンタクトに入る前の姿勢を低くして有利になろうとするものである。
競技規則の定義にある「立っていない(Off feet)」および「立っている(On feet)」、競技規則13.1と14.9には、プレーヤーが立っていなければならないことが記されている。
競技規則とは、以下の理由から、公平性と安全性を推進するために、ここでは存在している:
- 公平性: ボールキャリアーは、意図的に自分を「立っていない」状態にし、「キャノンアーム」によって体を支えて姿勢の高さで有利となることによって不公平に優位性を得ることになる。
-安全性: 防御側のプレーヤーによってボールキャリアーと同じ高さになろうとする試みはいかなるものも、直接的な頭部のコンタクトにつながる可能性が高い。
コンタクトの前に立っていない状態となる防御側のプレーヤーはとりわけ、安全上の理由から、ペナルティを科される。
上記を考慮して、南アフリカラグビー協会は、このような行為が競技規則の範囲のものなのかどうか、ワールドラグビーによる解釈の明確化を求める。
ワールドラグビーのラグビーコミッティー指定メンバーによるルーリング:
競技規則第13条に記されている通り、ゲームの原則において、ラグビーという競技は立っているプレーヤーによってのみプレーされるものである。それは、議論に上がっている他の競技規則も含め、攻撃側、または、防御側のプレーヤーを区別しない。
競技規則13.1は、ボールを持って地面に倒れたプレーヤーはただちに、ボールを持って立ち上がるか、ボールをプレーするか、または、ボールを放さなければならないと述べている。レフリーは、この点においてボールキャリアーの競技規則の遵守を見ていき、その際、彼らが実際のゲームスピードのなかでスローモーションリプレイの存在を考えずにそのような判断をすることを意識しておくべきである。
これらを踏まえて付け加えると、ワールドラグビー・ラグビーコミッティーの指定メンバーとしては、どのようなものであれなにかしら解釈の明確化の意図せぬ結果が起きてしまうと、判断が非常につきにくいものとなる。
もし、この特定の戦術を競技規則の範疇外だと判断すれば、プレーヤーが頭部と頸部が危険な状態のまま自分の姿勢を安全に、または、自然に安定させることなくゴールラインへ向かってしまうリスクがある。もし、正当だと判断すれば、プレーヤーが腕を地面に付いて、肘や肩にかなりの力が加わり、ウェルフェア上の危険をつくり出すリスクがある。
また、それならばと、マッチオフィシャルに対して、トライを与えるか否かを判断する際に、安定させるための動きと突進するための動きを区別するように求めることにも懸念がある。
ワールドラグビーによる2023年1月の競技規則適用のガイドラインにある通り、「タックル、ラック、および、モールにおいて地面に手を付いたプレーヤーは、明らかに自分のバランスや安定を取るために地面を利用したかどうかではあるが、制裁の対象となる」。
プレーヤーは、地面に付いた手を使う際、適切な競技規則に従っていなくてはならない。それができない場合、プレー中に特定されれば制裁のリスクを伴うこととなる。
■通達対象:加盟協会、競技運営関係者、加盟チーム
■文書作成:日本ラグビーフットボール協会 国際部門・ハイパフォーマンス部門
■本件についてのお問い合わせ先:
(公財)日本ラグビーフットボール協会
ハイパフォーマンス部門審判グループ(referee@rugby-japan.or.jp)
以上