公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(会長・土田雅人、東京都港区)は、2022年3月に始動した「ラグビー競技における脊髄損傷への再生医療適応プロジェクト」として、一昨年度、昨年度に続き、今年度も各専門家(慶應義塾大学医学部、札幌医科大学)による研究機関の取り組みへ協力することとなりましたので、お知らせいたします。

 

■プロジェクト概要

ラグビー競技における脊髄損傷への再生医療の適応を推進することを目的としたプロジェクトチームを構成し、以下の研究機関①②の取り組みに協力いたします。本プロジェクトはラグビーワールドカップ2019日本大会のレガシーを持続させるための取り組みとして、RWC2019レガシー実行特別委員会資金管理等規程に基づき運用しております。

 

①脊髄損傷へのiPS細胞による脊髄再生医療適応条件に関する研究費として

寄付先 : 慶應義塾大学医学部 整形外科学教室 中村雅也教授

寄付金額 : 7,500,000円

入金日 : 2024年3月29日

 

②ラグビー等スポーツ選手における脊髄損傷に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた再生医療の最適化の研究並びに教育研究等の奨励として

寄付先 : 札幌医科大学  山下敏彦学長

寄付金額 : 7,500,000円

入金日 : 2024年3月29日

 

■プロジェクト構成メンバー

メンバー

河野一郎(リーダー)、中村明彦(サブリリーダー)、山本巧(サブリーダー)

赤間高雄、田島卓也、坂根正孝、高澤祐治

 

■土田雅人 公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 会長 コメント

「今年度も各専門家の皆さまのご協力をいただき、本プロジェクトに取り組めますことを感謝申し上げます。コンタクトスポーツのラグビーにおいて、日ごろの安全対策や重傷事故への備えは欠かせません。昨年には本プロジェクトの研究報告会も実施され、最新の研究成果を学ぶ貴重な機会となりました。本取り組みの成果が、受傷した選手たちの光明となりますよう、弊協会としても継続して支援させていただき、脊髄損傷への再生医療適応の可能性とシステム確立へ向け寄与してまいりたく存じます」

 

■玉塚元一  一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン 理事長 コメント

「今シーズン、ラグビーワールドカップ2023で活躍した日本代表や各国代表が集い、多くのお客様に、リーグワンの試合を楽しんでいただいています。試合で選手たちが最高のパフォーマンスを出すためには、プレーヤーが安心して競技に取り組める環境づくりが大変重要であり、本プロジェクトはその意味でラグビー界にとって非常に大切な取り組みです。プロジェクトに関わる皆さまの真摯な研究への姿勢、そして情熱に敬意を表し、今後の再生医療のさらなる進化を期待するとともに、我々リーグワンも事故の撲滅と、ラグビーの安全と安心を支える取り組みを、これからも日本ラグビーフットボール協会と一緒に検討してまいります」

 

■中村雅也 慶應義塾大学医学部 整形外科学教室 教授 コメント

「日本ラクビーフットボール協会から、今年度も私たちの研究にご支援をいただけますことに、心より感謝申し上げます。スポーツ外傷において脊髄損傷は最も重篤な外傷であり、いまだ確立された治療法がありません。私たちは脊髄損傷に対するiPS細胞を用いた脊髄再生医療の実現に向けて長年にわたり研究を継続し、亜急性期脊髄損傷に対する臨床研究を開始いたしました。既に4名の患者様に移植し、現在経過観察を継続しております。本プロジェクトを通して、受傷後早い時期から慢性期まで多くの患者さんに一日も早くiPS細胞を用いた脊髄再生医療を届けるために、チーム一丸となって研究に邁進していきたいと思います」

 

■山下敏彦 札幌医科大学 理事長・学長 コメント 

「札幌医科大学では、2019年より脊髄損傷患者さんに対する自己骨髄間葉系幹細胞製剤(製品名:ステミラック®注)の静脈内投与による治療を開始しています。これは、厚生労働省の条件・期限付き承認に基づくもので、すでに150例以上の脊髄損傷症例に対しステミラック投与を行い、比較的良好な機能回復が得られています。投与症例の中には、スポーツに起因した脊髄損傷も含まれています。2022年より、日本ラグビーフットボール協会のプロジェクトのご支援をいただいており、ラグビーによる脊髄損傷患者さんの救済に一層貢献できるものと考えております。また、今後さらに有効な治療法の開発にも取り組んでいく所存です」

 

【本件に関するお問い合わせ先】

公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 広報室 03-3401-3323

慶應義塾大学医学部 整形外科学教室 03-5363-3812

札幌医科大学医学部 整形外科学講座 011-611-2111(内線33330)

 

ご参考: 2023年度の取り組みについて https://www.rugby-japan.jp/news/52267


以上