朝から冷たい雨の降りしきる国立競技場で23,694人の観客が見守る中、「慶應義塾大学」と「早稲田大学」が大学選手権大会の決勝を迎えた。第4回大会(昭和43年度)での両校同点優勝以来39年ぶりの決勝対決。

早大のキックオフで始まった前半、早大は慶大陣22m付近での(慶大ボール)ラインアウトよりのボールを奪いモールで押し込むが慶大ペナルティ(モールコラプシング)、続く慶大ゴール前5mでの(早大ボール)ラインアウトよりモールを押し込みPR 畠山(4年)が飛び込むもトライならず、その後ゴール前での攻防でのペナルティにおいてもスクラムを選択しFW戦で攻める早大は、前半18分スクラムを押し込みNO8豊田(3年)が先制トライ(ゴール成功)(0-7)。
慶大は前半の風上を利用してキック多用し早大陣に入り込もうとするが早大はしっかりとアタックを繰り返し慶大は低いタックルで対抗した。
慶大は前半終了間近(37分)にFW小田(4年)がペナルティゴールを決めて後半に望みを繋いだものの、後半風上になった早大は慶大陣深く攻め込み試合を優位に進め3トライ2ゴールを重ね慶大をノートライに封じ、早大が2年ぶり14度目の大学日本一に輝いた。(6-26)

慶應義塾大学 6-26 早稲田大学 慶應義塾大学 6-26 早稲田大学 慶應義塾大学 6-26 早稲田大学
慶應義塾大学 6-26 早稲田大学(1月12日、決勝 at国立競技場)

慶應義塾大学の林監督 慶應義塾大学の林監督 慶應義塾大学の中浜バイスキャプテン 慶應義塾大学の中浜バイスキャプテン

◎慶應義塾大学
○林雅人監督
「強い早稲田にチャレンジしようと臨んだのですが、モールなど、相手の強い形を出させてしまう場面がありました。2つ目と4つ目のトライはディフェンスミスとハンドリングエラーからのものでしたので、2トライに抑えていれば、もう少し勝機もあったかと思い、残念です。早稲田は予想通り、FWもセットプレーも素晴らしいチームでした。全体として、プレーの選択ミス、判断ミスが多く、波に乗り切れませんでした。精神的状態を含めて準決勝、決勝と本来持っている力を出せなかったと思います」

――ディフェンスでは?
「前半は雨で早稲田さんはラインを狭くして、こちらは広いままでしたので、インターセプトに象徴されるように、うまく取られたという感じです」

○中浜聡志バイスキャプテン
「試合前は各選手に低い魂のタックルをしようと話して臨みましたが、僕自身も魂のタックルを全うできず、強い早稲田に圧倒され、すごく難しい試合でした。しかし、負けてしまいましたが最高の舞台で試合ができて嬉しかったです」

――ハーフタイムは?
「前回より点差が縮まっていて得点も3点取っていることで、ハーフタイムでは前回とは違うと選手全員が理解していましたが、後半の入りのミスで流れが悪くなったと思います。指がかじかむこともありましたし、FWがモールを止めていましたが、最後は力の差が出たと思います。風は思っていたより強くて、ハーフタイムに徹底しましたが、ミスが多かったです」
――11月の対抗戦のときと比べて。
「早稲田さんは激しさは11月と変わりませんでした。精度は雨もあったので、ミスも多くあったのではと思います。早稲田さんは苦しいときに自分たちの強いプレーができるという精神力の強さを感じました」

慶應義塾大学 6-26 早稲田大学 慶應義塾大学 6-26 早稲田大学 慶應義塾大学 6-26 早稲田大学
 

早稲田大学の中竹監督 早稲田大学の中竹監督 早稲田大学の権丈キャプテン 早稲田大学の権丈キャプテン

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「去年の(大学選手権決勝の)1月13日に負けて、この日のためだけに準備して来ました。完璧な準備ができて送り出しました。今日は『権丈早稲田の正しさを証明すること』がスローガンで、去年の悔しさを権丈中心の早稲田が晴らしてくれると期待したとおりでした。チームを作るプロセスで、決勝で50-0で勝つことを目指してきました。怪我、天候、レフリーのジャッジ、アンラッキーと色々なことがあっても50点の差があれば勝てるとの思いからです。人間のやることですから、見ているほうは『前半、早稲田、危ないじゃないか』と思われたかもしれませんが、僕は一瞬たりとも彼らが負けるのではないかとは感じませんでした。彼らを信じ切れました。よくやってくれました。選手に感謝したいと思います」

――慶應大ということで?
「慶應さんだからということで特別の作戦はありませんでした。相手がどこということでなく、今年のチームは『荒ぶる』を歌うことが目標でしたので」
――関東学院大が出場しないことによるモチベーションは。
「このチームは去年負けたときから『荒ぶる』を歌おうというのが目標で、打倒関東ではありませんでした。もちろん決勝で戦う可能性が高いのは関東だと思っていましたので、多少、選手はモチベーションが下がったかもしれませんが。そもそも、このチームは『ブレない』ことを目指して権丈にキャプテンを託したチームですから、そういうことでも、まったくブレませんでしたね」
――改めて、権丈君をキャプテンにしたのは?
「難しいですね。権丈をキャプテンにした理由を説明するとなると一晩かかる(笑)。すべての要素から来ています。『ブレないチーム』、FWで崩してBKで獲る、悔しさを保ち続ける、激しくやれる‥‥権丈しかいなかった。毎日、毎日、こいつにして良かったと感じていました。権丈組が正しいことを証明してくれと願って送り出し、見事に証明してくれたと思います」
――日本選手権は?
「これ、やばいですね。本当に目標は『荒ぶる』を歌うことだけでしたので。僕の気持ちとしては、この素晴らしいチームで1日でも多く試合をしたいということをモチベーションに社会人に挑みたいと思います」

○権丈太郎キャプテン
「今日の試合に臨むまでに、すべての準備が整ったと感じていました。この天候で、雨風が強いので、まず、敵陣でゲームをすることがゲームプランでした。あとは、今年の自分たちの強みであるブレイクダウンと、セットピースでプレッシャーをかけることを目指しました。前半は相手の厳しいディフェンスに苦しめられましたが、最後はセット、ターンオーバーからトライを獲り、今年のチームを象徴するトライだったと思います。激しくプレーし続けたのが勝因だと思います」

――負けると感じたことは?
「まったく負ける気はしなかったです。スカウティング通り、Bチームが慶應さんを想定して相手になってくれたのが良かったと思います」
――ブレずにできたか。
「目標はこの試合でしたから、まったくブレずにできたと思います」
――『荒ぶる』を歌って。
「本当に、まあ、何と言うか、単純に嬉しかったし、今日の試合に出られない4年生から試合前に一言ずつメッセージをもらって、自分のためだけじゃなくて、4年生や去年の東条組のためにも体を張るという気持ちでしたから、体現できてほっとした気持ちが強かったです。ウィニングランは、いつもイメージでは大歓声の中でしたが、今日は雨ということもあって寂しい中(笑)、イメージしたのとちょっと違ったけど、嬉しかったです」

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