女子15人制の国内最高峰の大会「第12回全国女子ラグビーフットボール選手権大会」の決勝が2月1日におこなわれる。会場はラグビーの聖地、秩父宮ラグビー場だ。この栄えある舞台に立つ2チームは、過去3年と異なる顔ぶれとなった。YOKOHAMA TKMと横河武蔵野Artemi-Starsが頂点を目指して激突する。


◇決勝 YOKOHAMA TKM vs 横河武蔵野Artemi-Stars

 

最終節までもつれる激しい出場争いを勝ち抜いた関東女子大会の2チームが、全国でもそのレベルの高さを証明した。

 

1月17日に準決勝がおこなわれ、関東1位のYOKOHAMA TKM(以下TKM)が関西2位の日本経済大学女子ラグビー部AMATERUS(以下日経大)に勝利。関東2位の横河武蔵野Artemi-Stars(以下アルテミ)は関西1位のPEARLS(以下パールズ)を破り、決勝は関東勢同士の対戦となった。


YOKOHAMA TKMが日本経済大学女子ラグビー部AMATERUSに勝利して決勝へ(1月17日ニッパツ三ツ沢球技場)


横河武蔵野Artemi-StarsがPEARLSに勝利して決勝へ(1月17日神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)


どちらもFWの強さが際立っていた。日本の女子ラグビーではセブンズと15人制、どちらも強化するのが主流。セブンズに出場しないFWの選手たち(主にタイトファイブ)は、来たる15人制の秋冬に向けて黙々と強化を進めているのだ。

 

TKMのキャプテン、FL永岡萌は、「ずっとハードワークを続けてくれた」と仲間に感謝する。敵陣ゴール前でのモールは両チーム共通の武器だが、関東大会での直接対決では36ー19でTKMに軍配が上がった。アルテミがその強みを披露できたのは、点差の離れた終盤と遅かった。

 

ただ、今回の決勝は事情が異なる。アルテミに女子日本代表のPR加藤幸子が復帰しているのだ。加藤はハムストリングの肉離れでシーズン中盤戦を欠場したが、東京山九フェニックス戦で戦列に戻って連勝に貢献。優勝した2021年以来となる全国大会出場に導くと、パールズ戦でもタックルにボールキャリーと獅子奮迅の活躍だった。

 

2年連続準優勝のパールズを36-17で破った準決勝では、ラインアウトも勝因の一つとなった。LOの櫻井綾乃、川村雅未を柱にマイボールを確実にキープ。ディフェンスでは相手にプレッシャーをかけ続け、幾度もスティールに成功した。

 

加藤は「TKMに負けたことが外から見ていてもすごく悔しくて。そこから試合よりも高い強度に感じるほど、練習の質がすごく上がりました」と手応えを語る。「また対戦できる機会を得ることができたので、絶対にリベンジしたい」と続けた。

 

英国・女子プレミアシップのエクセター・チーフスで2季活躍した加藤幸子選手(横河武蔵野Artemi-Stars)


そんな意気込み十分な加藤を、TKMも当然、警戒する。永岡キャプテンは「加藤選手の強さは重々承知しています。それでも私たちの方が強い、絶対に勝つというマインドで試合に臨みたいです」。

 

こちらは元日本代表でラインアウトのスペシャリスト、北川俊澄氏の指導のもと、強化を図ってきた。PR吉田菜美は「的確で簡潔に言ってくれます。教えてもらったことを実践すれば、モールでトライまで持っていける」と存在の大きさを語る。

 

YOKOHAMA TKMの総監督補佐の北川俊澄氏(左)
右は日本経済大学女子ラグビー部長兼監督の淵上宗志氏


吉田自身も注目すべき選手の一人だ。ラグビー歴はわずか4年。柔道で実績を積んだが、日本代表を目指して大学卒業後に転向した。

 

昨年のワールドカップ前には代表合宿にも招集され、同じルースヘッドPRの加藤に多くを学んだ。「スクラムでどう低く組むかは幸子を見て盗みました。去年よりも安定させられるようになった」という。最前線でのバトルも、決勝の見どころとなりそうだ。

 

TKMは準決勝で日経大に64-19と快勝し、初の決勝進出を決めた。前半だけで7トライ、47得点。序盤から猛攻を仕掛けて早々に試合の趨勢を決めた。長谷部直子ヘッドコーチも「落ち着いて試合に入れたことが一番良かった」と称えた。

 

ペナルティを繰り返して失点した後半も、真価を示した。15分にSO山本実が技ありのクロスキックでWTBアカニシ・ソコイワサに繋いで追加点。嫌な流れをワンプレーで断ち切った。

 

「良いタイミングでアドバンテージが出て、前日にキックパスの練習もしていたので、『今だ!』と思いました」と山本は笑顔。武器の一つであるWTBアカニシやフランス代表FBのヨレイン・イェンゴの突破力も生かせるようになってきたという。

 

「エリアを取る意識が強くて、攻めるか蹴るかのバランスはなかなか難しかったんですけど、みんなで同じ絵を見られるようになってきました」

 

山本実選手(YOKOHAMA TKM)はサクラフィフティーンとしてワールドカップ3大会連続出場の実績


対するアルテミも、その展開力の対応策を練る。前回の対戦時はイェンゴに3トライを許して敗れていた。藤戸恭平ヘッドコーチは言う。

 

「前回は外国人選手だと強く意識してしまって、構えてしまうところがありました。もっと自信を持ってやれば止められるはずです。キックオフから身体を当てられるように徹底して準備します」

 

アルテミのBKも準決勝では成長を示した。セットプレーからの組み立てたアタックでパスが繋がり、たびたびロングゲインを勝ち取る。トライも挙げた。藤戸ヘッドコーチも「ようやく結果を出せた」と喜び、「試合を重ねていく中で、練習通りのことを試合でできる選手が増えてきました」と目を細めた。

 

SH津久井萌、SO林かんなの裏へのキックも光った。TKMの司令塔、山本とのエリアバトルも勝敗を左右するキーとなるだろう。

 

FWの肉弾戦。BKの展開。キックによるエリア争奪。そして代表選手同士の直接対決…。TKMの永岡キャプテンは「一人ひとりが目の前にいる相手に負けないことが大事」という。あらゆる局面での攻防も見逃せないファイナルは、2月1日13時キックオフだ。



YOKOHAMA TKMの長谷部直子ヘッドコーチ(左)と永岡萌キャプテン(右)

横河武蔵野Artemi-Starsの藤戸恭平ヘッドコーチ(左)と山本和花キャプテン(右)


(文:明石 尚之)



■ 前売りチケット販売中
決勝 2月1日(日)@秩父宮ラグビー場 13:00キックオフ

YOKOHAMA TKM vs 横河武蔵野Artemi-Stars
>>>https://www.rugby-japan.jp/news/53682


■第12回第12回全国女子ラグビーフットボール選手権大会 

当日情報>>> https://www.rugby-japan.jp/news/53719

大会概要>>>  https://www.rugby-japan.jp/news/53604


以上