『太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2026』が6月20日、21日の熊谷大会から始まる。今季も昨季同様全4大会。熊谷、栃木、北九州の各地大会に12チームが参戦し、最後は札幌でグランドファイナルを実施して優勝を決める。日本の女子ラグビーを活性化し続ける大会のミニヒストリーと魅力を知れば、大会を、より楽しめる。


 


◆駆け足で成長の階段を昇る大会。

 

 日本の女子ラグビーを照らす、文字通り太陽のような大会になった。

 

 2014年から始まった太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの初年度、第1回大会のことを覚えている。茨城・龍ヶ崎の流通経済大学のラグビーグラウンドが戦いの舞台だった。


12年前に初めて開催された「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2014 龍ケ崎大会」でのキャプテンズフォト


 

 5月17日と18日、参加した8チームがグラウンドを囲むようにテントを張り、ご当地グルメ『龍ヶ崎コロッケ』を販売する出店もあった。

 手作り感の強かった当時の大会だが、コンセプトは明確だった。

 

「日本代表の強化につながる大会に」

「代表を支える選手層を厚く」

「国際セブンズ大会のフォーマット、各チーム1日3試合×2日間で実施しよう」

 

 最初から世界を意識した大会にしたから、2025年シリーズまで11大会を重ねて(2020年大会はコロナ禍で実施されず)、サクラセブンズは常に世界の上位8位に入る力をつけた。

 太陽生命ウィメンズセブンズシリーズがなければ、日本の女子ラグビーのいまはなかった。

 

 大学のグラウンドで始まった大会は、歴史を重ねるごとに女子ラグビー、そしてセブンズの存在を広め、価値を高めていった。2025年シリーズから採用されたシリーズ優勝決定戦(札幌大会)、グランドファイナルの舞台はドーム球場(大和ハウス プレミストドーム)だった。

 「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2025グランドファイナル札幌大会」
2025年大会の年間総合優勝はながとブルーエンジェルス

 

2026年シリーズも、熊谷大会(6月20日、21日)、栃木大会(7月11日、12日)、北九州大会(7月25日、26日)と3大会を戦った12チームが、8月9日に札幌に集まって、大和ハウス プレミストドームでシリーズ優勝を争う。

 

 また、ここには5月、6月にチャレンジャートーナメントを戦い、上位の日本経済大学女子ラグビー部 AMATERUS、早稲田大学ラグビー蹴球部女子部、BRAVE LOUVE、神戸ファストジャイロも参加する。この4チームが挑む入替戦も絶対に熱い。

 

【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2026】

【第1戦】熊谷大会

日程:2026年6月20日(土)~21日(日)

場所:熊谷スポーツ文化公園ラグビー場Aグラウンド

 

【第2戦】栃木大会

日程:2026年7月11日(土)~12日(日)

場所:ホンダヒート・グリーンスタジアム

 

【第3戦】北九州大会

日程:2026年7月25日(土)~26日(日)

場所:ミクニワールドスタジアム北九州

 

【グランドファイナル】札幌大会

日程:2026年8月9日(日)※一日開催

場所:大和ハウス プレミストドーム

 

【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2026 出場チーム】(12チーム)

・ながとブルーエンジェルス(2025シリーズ総合1位)

・PEARLS(2025シリーズ総合2位)

・YOKOHAMA TKM(2025シリーズ総合3位)

・ナナイロプリズム福岡(2025シリーズ総合4位)

・日本体育大学ラグビー部女子(2025シリーズ総合5位)

・東京山九フェニックス(2025シリーズ総合6位)

・北海道バーバリアンズ ディアナ(2025シリーズ総合7位)

・自衛隊体育学校PTS(2025シリーズ総合8位)

・横河武蔵野Artemi-Stars(2025シリーズ第1戦~第3戦9位)

・ARUKAS QUEEN KUMAGAYA WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB(2025シリーズ第1戦~第3戦10位)

・追手門学院大学女子ラグビー部VENUS(2025シリーズ第1戦~第3戦11位)

・チャレンジチーム(2025シリーズ第1戦~第3戦12位)

 

 

◆サクラセブンズの選手たちが伝える世界のスタンダード。



サクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)は来シーズンも世界トップディビジョンで戦う権利を獲得している

  

世界で戦える選手やオリンピアンを輩出すること、女子ラグビーの普及を目的に生まれた大会は、そこから巣立ち、インターナショナルの舞台で活躍する選手たちのパフォーマンスを目撃できる大会になった。

 

 世界の強豪上位8か国が戦う『HSBC SVNS 2026』の第1回、ドバイ大会で史上最高位の3位となり、全6大会の総合順位で7位に。続いておこなわれた『HSBC SVNS 2026 ワールドチャンピオンシップ』の3大会では総合6位となったサクラセブンズの選手たちも、それぞれの所属チームに戻り、国内最高峰のセブンズシリーズではライバル同士として戦う。

 

『HSBC SVNS 2026』の全日程を終え、ワールドチャンピオンシップの最終大会、ボルドー大会から6月9日に戻った須田倫代主将は、帰国したばかりの成田空港で取材対応し、サクラセブンズの充実を伝えるとともに、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズへの意欲も口にした。今季からPEARLSでもキャプテンとしてチームを引っ張る。

 

「サクラセブンズでこだわってきたことを(国内でも)体現します」の言葉には、自分たちが大会のスタンダードを引き上げる存在という意識の高さが見える。そして、「どんなことをするか分からない、見ていてワクワクするようなラグビーをしたい」と続けた。

 個人としても、いろんな局面で「(何かを起こす)きっかけになるようなプレーをしたいです」

 

 須田主将以外のサクラセブンズのメンバーも、それぞれのチームのジャージーを着て各地の大会で躍動する。

 ワールドチャンピオンシップ最終大会に出場した選手で言えば、同主将と同じPEARLSには、大内田夏月がいる。『HSBC SVNS』を初めてシーズンを通して経験した。「取り切る、ラストパスを通すなど、(世界で)学んできたことを出したいです」。

 

 昨年の国内シリーズ王者、ながとブルーエンジェルスに所属する大谷芽生は、決定力ある走りも抜群だが、迷いのない猛タックルに注目を。激しいプレースタイルで何度も鼻を痛めるため、いつもフェイスマスクをしてプレーする梶木真凜は、自衛隊体育学校PTSでプレーしている時も見つけやすい。他のサクラセブンズ組も、誰もが秀でたプレーを持っているから、世界レベルを感じさせてくれる。

 

◆進化は続く。ワールドクラスの選手たちもたくさん。


155cmのスピードスター、タリア・コスタ選手(PEALS)はブラジル代表
東京五輪とパリ五輪に出場し、2025年にはワールドラグビー年間最優秀選手に選出された

  サクラセブンズ 大谷芽生選手(ながとブルーエンジェルス)のタックルは必見


ながとブルーエンジェルスの大谷の武器、タックルを絶賛するのはラグビー中継などで活躍する、元日本代表の大西将太郎さんだ。6月11日におこなわれた『太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2026 本戦開幕前プレスカンファレンス』の場で、大会前のワクワク感を伝えた。

 

 大会の歴史が浅い頃、選手が個人名を挙げられて、プレーを高く評価されることはあまりなかった。

「どこどこのクラブの、あの背の高い選手のステップ、いいよね」

 そんな会話が多かった草創期を経て、いま、特に代表選手たちの存在は広く知られ、プレーのクオリティを語られるようになった。大西さんは、「須田さんはキックが上手ですよねえ」とも言った。

 

 プレスカンファレンスには、サクラセブンズを率いる兼松由香ヘッドコーチの姿もあった(初年度の第1回大会では、日体大女子と名古屋レディースの混合チーム、Unigonsでプレー)。かつての太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ選手は、大会の進化について、こう語った。

 

「昔は、ひとりスペシャルな選手がいたら、その選手が抜けてトライ、というケースが多かったですね。いまは、お互いのチームがボールを継続して攻めるし、粘り強く止めるので、1回のプレータイムが長い。なかなか笛で試合が途切れないですよね」

 

 昨季シリーズの年間MVPで、王者となった、ながとブルーエンジェルスの共同主将、サクラセブンズのキャップを55持つ平野優芽も、プレスカンファレンスに参加していた。

 同選手は高校1年生だった2015年シリーズの東京大会でMVPに選ばれるなど(当時の所属はRugirl-7)、大会の成長をピッチの上で体感してきた。

 

 この大会でプレーし始めた頃と現在を比較し、「コンタクトの強度、スピード、各選手のスキル。すべてにおいて、当時とはプレーレベルが全然違います」。選手個々だけでなく、各チームの組織力も飛躍的に進化していると言い、だからこそ楽しいと感じていることが、言葉の端々から伝わった。

 

「海外からたくさんのトップ選手がきてくれて、ワールドクラスの経験ができる大会」

 それは、選手にとっても観客にとっても幸せなことだ。

「ワールドシリーズで、サクラセブンズの選手が他国代表の選手と話しているのを見ると、あ、あの選手、今年はあそこでやるのかな、なんて思ったりして、楽しんでいます」

 当事者たちの胸が躍る大会。応援のしがいがある。

 (敬称略)左から河原 美沙都(大会MC)、大西 将太郎(ラグビー解説者)、平野 優芽(ながとブルーエンジェル)、満永 悟(太陽生命保険株式会社 執行役員)兼松 由香(女子セブンズ日本代表ヘッドコーチ)、山神 孝志(公益財団法人日本ラグビーフットボール協会CEO)


(文:田村一博)



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