4月4日(日) シンガポールセブンスの最終日。Japanはボウル・トーナメント初戦でまずマレーシアと対戦しました。開始1分の小吹のトライから勢いづき、前半だけで22-0と一方的な展開となりました。後半はややもたつきながら、終了間際に正面が絶妙のサポートからトライを奪い、結果27-0と快勝しました。なおこの試合の前、Japanは怪我人多数のため、IRB指定の補充選手であるイズマイル選手(シンガポール)にリザーブに入ってもらいました。出場はほんの数分でしたが、しっかりとチームに貢献してくれました。 次の準決勝は当面のライバルであるカナダ。試合途中から激しく雨が降り出すコンディションの中、Japanはオツコロと吉田尚史のトライで前半を12-10とリードして折り返しました。このままいけると誰もが思ったハーフタイムでしたが、後半に入って一瞬の隙をつかれ、終了間際の正面のトライも及ばず、17-22で敗れました。香港セブンスではカップトーナメントに進出したカナダに、先週は水を空けられた感がありましたが、この試合はほぼ互角。ゲームを重ねるごとに手ごたえを感じていただけに、ここで終わるのは本当に残念な思いでした。しかし結果がすべての勝負の世界。次への誓いを胸にJapanはこのツアーの全日程を終了しました。 ところでカップ・トーナメントは南アがアルゼンチンを2度の延長の末に破り、ツアー2勝目を飾りました。安定した実力を発揮する両チームに比べ、今まで決勝の常連だったNZとフィジーが今大会ではカップ初戦で敗退するなど、セブンスの勢力図に変化が起きているようです。またアジアではやはり韓国の充実ぶりが目立ちました。特にフィットネスに関しては相当な準備が感じられ、9月のW杯予選時には最大のライバルとなるので、この面だけでもJapanは追いつかなければならないと実感させられました。 国内合宿から通算して本当に雨にたたられたこのツアーでしたが、現地での応援も含め数多くの方々に支えられてきました。特に国内合宿で総務として頑張ってくれた山下修平君、ツアーには参加しませんでしたが、同じく国内合宿に参加してチームを盛り上げてくれた山崎選手、藤戸選手、事務的に何かと支えてくれた日本協会の山形さん、香川さん、そしてその他大勢の方にお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。 ◎本城監督 「初ツアーを終え、負傷者続出したことを考慮しても、実力通りの結果と受けとめています。しかし我々が目指すところはもっと高いレベルでなければなりません。W杯に向けてターゲットとなるカナダ、イタリア、フランスが捉えられる範囲内にいると選手が実感したことは収穫だったと思います。セブンスは15人制と異なり、番狂わせが充分に起こりえる競技特性があります。現状の実力を真摯に受けとめつつも、あきらめずにチャレンジし、チーム一丸となって壁を乗り越えていきたいと思います」 (コーチ兼チームマネージャー/佐野 順) 4月3日(土) シンガポール・セブンス1日目。初戦の相手は香港大会カップトーナメント優勝のイングランドです。 最高気温34度、おそらくピッチ上ではそれをはるかに上回り、意識が朦朧とするような環境の中、前半Japanはイングランドを2トライに抑えましたが、後半に入り徐々に離され始めました。3分には吉田大樹がドリブルからインゴールで抑えたかに見えたプレーも、判定は惜しくもノッコン。またスィーパーの吉田尚史の再三にわたるトライセービングタックルも及ばず、0-28で敗れました。 続くフランス戦、この試合でも吉田尚史のタックルが冴え渡りましたが、相手の沸いてくるようなサポートプレーヤーにコミットできず、トライを中央ポスト下に献上してしまいました。アタックでは三木が何度もラインブレイクするが、そこへの寄りの遅さがトライに繋がりませんでした。 3戦目の相手は香港。このままでは終われないJapanは最初から攻め続け、三木のブレイクからオツコロのサポートでトライを量産し、結局27-12で快勝しました。 この結果、予選Bグループで3位となり、4日のボウル・トーナメント1回戦ではマレーシアと対戦します。初戦で波に乗り、あとに控えるカナダ、韓国、スコットランドとボウル優勝をかけて戦います。 ◎本城監督 「England戦では再三ゴールラインに迫るなど健闘を見せましたが、フランス戦も含め格上のチームに一泡吹かせることができず、額面通りの結果となりました。手の届くところにチャンスがありながらものにできない。コンディション、疲労との戦いの中で100%の力を出し切る。格上のチームに対し、けたぐりでも良いから勝ちにいくという意気込み。若く経験の少ないチームにそこまで求めるのは酷なのかもしれないが、それができて初めて壁を突き破れることになる。明日のゲームではカナダ、スコットランドなどの対戦が想定できるので、チャレンジし今後のチーム作りのステップとしていきたい」 (コーチ兼チームマネージャー/佐野 順) 4月2日(金) 今日は大会前日。午前中で最終調整を行い、国内合宿から通じて最後のトレーニングを終えました。相変わらず高い気温と湿度に悩まされていますが、昨日の午後の練習あたりから、かなりの手応えを感じることができました。あとはやってきたことをゲームで実践するのみ。日本のセブンスラグビーを代表する12人+スタッフ4名は、応援してくれている方々のため、日本ラグビーのため、そして自分たちのために全力で戦います。日本から遠く離れた地ではありますが、是非応援よろしくお願い致します。 さて選手紹介の"とり"を飾るのは、国際経験豊富な"成熟トリオ"です。 ●吉田選手 「こんにちは。吉田尚史です。今回のツアーでは最年長として参加させて頂いてますが、かなり練習等ハードなツアーを行っています。シンガポールは気温35度以上とかなり暑く、外に立っているだけでも汗をかき、目まいのするような暑さですが、選手・スタッフ一体となり頑張っています。明日の試合ではイングランド、フランス、香港という厳しいグループですが、全てのチームにチャレンジし、9月のW杯アジア予選につながるようなゲームをしたいと思っています。個人的には体調もシンガポールに来て良くなっているので、明日はブレイクできるように頑張りたいと思います」 ●三木選手 「おつかれ様、三木亮平です。え、ラグビーの話題をしたい所ですが、今回は私のルームメイト、"カトニ・オツコロ"のエピソードを話したいと思います。あれは暑いシンガポールの夜、ふと僕のとなりから声が聞こえたかと思えば、"すいません、ちゃんとやります。"とカトニ・オツコロが日本語で寝言を言っていました。夢でも日頃の練習と同様に本城さんに怒られているのだなあと思いました(笑)。彼はもう心も体も(ちょっと日焼けし過ぎだが)日本の代表選手です」 ●四宮選手 「こんばんは。明日、試合を控えて虎視眈々とイングランド、フランス、香港からの勝利を狙っています。香港ではBawl Final で敗れました。自分たちの目標であるカップ出場、はたまた優勝はおあずけになりました。チームのムードやセブンスへの意識は間違いなくUPしています。チーム全員、そして自分はめちゃくちゃ負けるのが嫌いで、勝つ楽しさを知っています。シンガポールでは最後に笑えるよう頑張ります」 (コーチ兼チームマネージャー/佐野 順) USAとの練習試合 左から、吉田、三木、四宮の各選手 4月1日(木) シンガポール入りして4日目となりました。日中は30度を超えしかも蒸し暑い気候に、選手の疲労度はかなり高くなってきました。これはJapanだけでなく他国も条件は皆同じなので、いかにこの気候に慣れしかもタフさを身に付けるかが、シンガポール・セブンスの鍵となりそうです。 そのような中、昨日は午後の練習が終わった後に現地の日本人学校へ出向き、短い時間ながらも子供たちにラグビーを教えてきました。低学年と高学年・中学生に分け、高井コーチを中心に選手も一緒に交じりながら、楽しくメニューをこなしました。子供たちの中には普段からラグビーをやっている子も少なくなく、高学年は最後にタッチラグビーまでこなし、低学年は選手によるデモンストレーション等で締めくくりました。 さて土曜日から始まる予選プールでは、香港セブンスの優勝チームであるイングランド、同プレート・トーナメント準優勝のフランス、そして香港が相手となります。Japanは課題を一つ一つクリアしながら、全力でチャレンジしていきますので、応援よろしくお願い致します。 最後に選手紹介の第3弾、今回は"フロントロークラブ"です。 ●キャプテン 山口選手 「コカコーラWJの山口智史です。毎回SEVENSの遠征・合宿はいい刺激になっていますが、特に今回はチームのムードも良く、練習もしんどくていい刺激になっています。明日からシンガポール・セブンスが始まりますが、香港以上の成績を残せるよう頑張りたいと思います」 ●山本選手 「九州のマーライオン、山本です。シンガポールでは香港大会でいい成績を残しているイングランド、フランスとの対戦となっているので、チャレンジする気持ちで、セブンスを楽しみたいと思います」 ●キリベ選手 「このチームはとてもいいチームであり、若くて何事も吸収しようとする姿勢を持っています。もしもっと多くの合宿や練習試合をこなせば、チームは必ず強くなると私は思います。ゲーム経験はセブンスラグビーの知識と個人スキル等の必要なもの全てを与えてくれます。これらは選手がお互いをよく理解しなければ得られないものであり、またそれらを身に付けるには、よりゲームを経験することが唯一の道です。そうすればもっとオプションが増えるだろうし、スキルやゲームの理解度も増していくことでしょう」 (コーチ兼チームマネージャー/佐野 順) 現地の日本人学校へ 最後に記念撮影 左から、山本、キリベ、山口の各選手