背番号24番の鉄腕アトムも後押しした日本代表は香港に41-0で快勝。W杯での飛躍を予想させるパフォーマンスとなった
photo by RJP Kenji Demura
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WTB山田は2トライを奪う決定力だけではなくボールによく絡む仕事量でも存在感を見せつけた photo by RJP Kenji Demura
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ラグビーワールドカップ(RWC)2015の初戦、対南アフリカを想定した面もあった香港戦。
「韓国戦ではワールドカップに向けて20%だったのが、今日は21%に上がった」
わずか1%の進歩。選手たちに気を抜かせない意図もあったのかもしれないが、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチが「1%」と評価した進歩の中に多くのポジティブな要素が見られる試合となった。
「アタッキングのバリエーションをつけること。セットピースを避けること。エネルギッシュにプレーすること」
試合前にジョーンズHCが“仮想・南アフリカ”戦のポイントとして上げていたのは、その3点。
立ち上がりこそ、ミスが多く出たこともあって、なかなかトライラインを越えられなかった日本だが、15分に敵陣22m内の相手ボールラインアウトを奪ってアタック。FWのダイレクトプレーから左展開してCTBカーン・ヘスケス、WTB山田章仁とつないで先制トライを奪った後は、2週間前の韓国戦からは見違えるような攻撃の多彩さを感じさせながら計7トライ。
立ち上がりに多かったミスも、韓国戦後、イングランド視察も行いながらもハードなトレーニングを続けたコンディション面なども影響したことは否めず、アタックバリエーションに関しては手応えを感じさせる内容になった。
SO立川と共にゲームをしっかりコントロールしたCTB田村は後半3分にはトライも記録した photo by RJP Kenji Demura
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ラインアウトからの攻撃はテンポが良かったがブレイクダウンでの2人目の寄りあたりには課題も photo by RJP Kenji Demura
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「(次週)韓国戦でも1%の進歩を」(ジョーンズHC)
1週間前にオーストラリアから戻ったばかりながら先制トライを奪ったWTB山田は「トライは回りが生かしてくれたボールで走るだけだった」と謙遜したが、立ち上がりからトライシーン以外でも積極的なプレーでチャンスメイク。
ジョーンズHCも「とてもエネルギッシュでボールを自分からもらいに行っていた」と高い評価を与えていた。
山田は後半8分にもトライを奪い、さらに「リザーブにもしっかり時間を与えたい」(ジョーンズHC)との意図もあり前半39分から途中出場したWTB藤田慶和も「リザーブからの方がいいんじゃないか」(同HC)と山田同様に持ち味を十分出すプレーで、後半32分に7本目のトライで試合を締める活躍を見せた。
一方、山田の先制トライをアシストしたアウトサイドCTBのヘスケスも同27分には自らの突発力を生かして縦に香港DFを突き破るかたちで2トライ目を奪うなど、韓国戦に続いて「ボールタッチが増えるので楽しい」という慣れないポジションでの役割を十分果たすプレーぶり。
「現状、いかにヘスケスにいいボールをあげるかということを考えている。ああいう強いボールランナーが走ってきて、ループすると相手が止まる。そういう状況でスキルの高さを見せて行くと、どの相手でも通用する」
CTB田村優と共に、パスとキックをうまく混ぜながら、しっかりゲームをコントロールしたSO立川理道がそんな手応えを語るように、間違いなく13番ヘスケスと両WTBの決定力を生かすアタック力は可能性を感じさせるものだった。
試合後、PR畠山健介キャプテンが「もっとレフェリーと積極的にコミュニケーションを取るべきだった」と反省点を語ったスクラムに関しては、スクラムトライは取ったものの、対南アフリカを想定した「セットプレーを避けて」早い球出しという部分では難しい面もあった。
そんなふうにスクラムがきちんと組めなかった点、ミスが多かった点を差し引いても、わずか1%の進歩ながら「いい方向にステップが切れた」(ジョーンズHC)ことを確認できた香港戦を乗り切った日本代表。
1週間後に、福岡でも「再び1%」(ジョーンズHC)ながら、引き続きRWC2015での8強へ続くビクトリーロードを確認できるようなパフォーマンスを見せてもらいたいところだ。
前半27分にトライを奪ったCTBヘスケスも再び13番として迫力のある走りで勝利に貢献した
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