イキのいい若手と経験豊かなベテランが融合
「あと1個の歯車を噛み合わせて」世界8強へ

(text by Kenji Demura)

今季のSWSでは善戦するケースも多いアルゼンチンとの対戦で東京セブンズの戦いをスタートする日本
photo by RJP Kenji Demura

1年前に香港で行われた昇格大会を勝ち抜き、見事コアチームとして今季のHSBCセブンズワールドシリーズ(SWS)9シリーズすべてに参戦する権利を勝ち取った男子セブンズ日本代表。

第1ラウンドの豪州大会(10月11-12日)から第5ラウンドのアメリカ大会(2月13-15日)まではいずれもシールド準決勝で敗退し、得られたトーナメントポイントは各大会1点ずつ。
1週間前に行われた第6ラウンドの香港大会ではシールド準決勝で招待チームであるベルギーに勝利して同決勝戦に進出。ケニアに敗れてシールド制覇は逃したものの、初めてトーナメントポイント「2」を獲得した。
内容的にも、「1戦、1戦、コアチームをあと一歩のところまで追い詰めた部分はあった」(坂井克行主将)と、チームの成長に手応えを感じて東京セブンズを迎えることになる。

SWS6戦を終えて、日本のシーズン総勝ち点は7。15コアチーム中最下位という厳しい戦いが続いている。
14位のポルトガルとの総勝ち点差は15。東京大会も含めて残り3大会でコアチーム中最下位から脱出できなければ、来季コアチームの一角としてWS全大会に参戦する権利を失うことになる。

「東京は正念場。(トーナメントポイント)勝ち点10以上を取るために、プール戦で2勝以上して、必ず世界のトップ8に入るようにしたい」
瀬川智広ヘッドコーチが語るとおり、地元開催の東京セブンズでは予選プールで2位以内となり、カップトーナメント出場(=8強以上かつ勝ち点10以上が確定)を果たすことが絶対的な目標となる。

日本がプールDで戦うのは対戦順にアルゼンチン、サモア、フランス。
現在のシーズン順位で言えば、6位(=アルゼンチン)、9位(サモア)、10位(フランス)。
15位の日本にとっては強豪揃いではあるものの、今季各大会でカップ優勝を果たしている南アフリカ、フィジー、ニュージーランドの3強が含まれていないこともあり、日本にとって、チャンスの多いプール戦と言っていいだろう。

実際、アメリカ大会のアルゼンチン戦では終了間際のPGで12―15で敗れたものの、互角の戦いをしてみせた。
また、南アフリカ大会(12月13-14日)ではサモアに17―14で勝ってもいる。
フランスはこの2チームよりもシーズン順位が下ということを考えてみても、日本がプール戦を勝ち抜いたとしても不思議はない条件が揃っているのは間違いないだろう。

香港大会を終えて、瀬川HCは「一番の成果は過去の5大会に比べて失点が少ないこと」と、ディフェンスの面では確実に成長していると評価した。
その一方で、「競った試合になると、相手のディフェンスも堅くて得点が取れない。自分たちのミスで終わってしまうケースがほとんど。もっと継続の意識を高めていく。つないで違うスペースにボール運ぶのか、一回ブレイクダウン作ってから動かすのか、そこの判断の正確性を統一したい」と、ミスなく正しい判断を共有しながら粘り強くアタックしていくことが、東京で上位進出を果たすための鍵となるという認識を示す。

「あと1個の歯車が噛み合えば、トップ8に入れるところまで来ているのは感じる。選手も自信を持ち始めた部分」(坂井主将)と、選手たちも確実に世界トップに近づいていることを実感している。

「(相手のディフェンスを)崩すまではできてきた。一番の差は仕留めの部分。あと1本のパスが通らなかったり、そういう部分。崩しも良かったし、尚かつフィニッシュもという感じになれば、トップ8に行けるはず」(同主将)

香港大会では、いずれもトライを記録した合谷和弘、松井千士、彦坂匡克、後藤駿弥など、若手のイキのいいプレーがチームを活性化した面もあった。東京大会では、高井迪郎、藤田慶和、豊島翔平が新たにメンバーに名を連ねた。

坂井主将、桑水流裕策、レメキ ロマノ ラヴァ、吉田大樹といった経験豊富な選手たちが若手の成長に刺激を受けている面もある。
「お互いが切磋琢磨している。練習でのコミュニケーションの質も変わってきた。アタックでもディフェンスでも細かい要求が出るようになっている。若手がのびのびプレーするためにも、ベテランは違うと思われるようにならないと」(坂井主将)

香港大会前の国内合宿も含めて、準備期間をしっかり取ることができた成果を出して、初の世界トップ8を実現する大会としてもらいたい。

成長著しい若手と経験豊かなベテランが一体感を増して、プール戦2勝=カップT進出を目指す
photo by RJP Kenji Demura