昨季の覇者フィジーは2大会カップ優勝中で絶好調
東京でシリーズ4強へ弾みをつけたいイングランド

(text by Kenji Demura)

アメリカ大会、香港大会(写真)に続いて東京でもフィジーは再び頂点に立てるか
photo by RJP Kenji Demura

ディフェンディングチャンピオンのフィジーが快進撃を続けている。
2月13-15日のラスベガス大会に続いて、先週末に行われた香港セブンズでも優勝。
これで、今季のHSBCセブンズワールドシリーズでは、豪州大会(10月11-12日)と合わせて3大会を制覇。
シーズンポイントでも首位を行く南アフリカに2と迫っており、実に9季ぶりとなるシーズン王者奪還も現実味を帯びてきた。
「6大会で敗戦は4試合のみ。個別に見てもニュージーランドに5連勝。南アフリカに対しても3試合連続で勝利。選手たちは自分たちのプレーに自信を持ち始めている」と、ベン・ライアン監督はチームが正しい方向に進んでいることを強調する。
特に、香港セブンズでもっとも苦しい試合だったと言っていいカップ準々決勝のイングランド戦で終盤ゴール前まで攻め込まれながらも粘り切った(14―12)ことに象徴されるように、「ディフェンス面での成長」(同監督)がこの快進撃を支えていると言っていい。
シーズン総得点で首位に立つオセア・コリニサウ主将、同トライ数で2位につけるサヴェナサ・ラワサなど、元々アタック力は優れているフィジーだけに、今季で2シーズン目となるイングランド出身のライアン監督の下、規律あるプレーを身につけていることで鬼に金棒状態に近づいているのかもしれない。

前述どおり、その乗りに乗っているフィジーを香港であと1歩のところまで追いつめたのがイングランドだった。
逆転トライまであと数センチのところまで迫りながらの惜敗。
プール戦でのフィジーの最大も当然、このイングランドということになる。
今季まだカップ優勝はないが、ニュージーランド大会(2月6-7日)ではカップ準優勝。この時はフィジーをカップ準々決勝で破っている。
「チームは確実に成長している。香港ではあと一歩のところでフィジーからの勝利を逃したが、自分たちのテクニックも進歩しているし東京では結果を逆にできると思う」
すでに日本のファンにもお馴染みで、今季も12トライを奪ってチームの稼ぎ頭の活躍を見せているダン・ノートンはそんなふうに東京でのリベンジを語る。
現在、シーズンポイントで4位の豪州と6点差の5位につけるイングランドにとって、東京で好成績を残してリオデジャネイロ五輪出場権を獲得できるシーズン4位以内へ弾みをつけたいところだ。

現在、シーズン順位で11位のウェールズは開幕シリーズの豪州大会(10月11-12日)、第2ラウンドのドバイ大会(12月5-6日)こそカップトーナメント進出を果たしたものの、その後はボウル準決勝進出が最高成績という寂しいシリーズが続いている。
香港大会でもボウル準決勝でスコットランドに0―34で完敗して5ポイントしか挙げられなかったが、プール戦ではイングランドと19―26と接戦を繰り広げてもいる。
また、アメリカ大会ではフィジーに対しても24―28という好勝負も演じており、プールAの2強に対しての相性は悪くないだけに、ひと波乱起こして5大会ぶりとなるカップトーナメント進出を果たしたいところだ。

地元香港で行われた昇格大会でロシアに敗れて来季のコアチーム入りを逃した香港にとっては、トップチームと戦う唯一と言ってもいいチャンス。
今秋五輪予選を控えることもあり、日本のファンにとっても香港の実力をチェックするまたとないチャンスであることも確かだ。

NZ大会ではカップ決勝に勝ち進んだイングランド。シーズン4強入りのため東京でも上位進出を果たしたい
photo by RJP Kenji Demura