男子セブンズ日本代表 ベルギーに勝利もコアチームには全敗
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若手の成長や互角に戦える部分も多くあったがコアチームからの勝利はならず。東京での飛躍を目指すことに
photo by RJP Kenji Demura |
後半1分にトライを奪った松井などの活躍もあったが、プール戦初戦のフランスには7ー24で敗戦
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金曜日に行われたプールC初戦で対戦したのはフランス。
「ポゼッションが大事になる。フランスはどちらかというと波があるチーム。ただ、向こうのペースでアタックをされるとイケイケになる可能性もある。守りに関しては、フランスは割と待ちのディフェンス。ゆっくり流してくる。日本としては積極的に自分たちでまずボールを動かしていきたい。アングル変える動きだったり、一回後ろに下げたり。違うスペースにボールを動かしていくことができるかどうか」
そんなふうにフランス戦のポイントを語っていたのは、坂井克行主将。
当然、先攻してペースをつかみたかった日本だったが、開始1分、3分、6分とフランスにトライを重ねられ、ハーフタイム時点ですでに19点のビハインドを背負う最悪と言っていい展開となってしまう。
後半1分に坂井主将、鈴木貴士などのチャンスメイクから20歳のスピードランナー松井千士が走り切って1トライを返し、逆転に望みをつないだが、結局、日本のトライはこの1本のみ。
「準備してきたことはできた。ただ、プレッシャーかかったところでミスが出た」と松井が振り返ったように、肝心な場面でのミスが響いて、7―24で敗れた。
自らフランスゴールに迫るシーンもあったが、サポートプレーヤーがいなかったためにトライに結びつけられなかった坂井主将は「誰かが抜けても簡単にはトライにならない。もう1枚、極端な話、3枚くらいのサポートがないと。サポートの意識をもっと徹底して、もう少し継続したい」と、反省点と課題を語っていた。
翌日、プール戦2戦目で対戦したのは現在シーズン総勝ち点で首位に立つ南アフリカ。
キックオフからいきなり内側のスペースをパワフルに破られて先制されたのを皮切りに計5トライを重ねられて、0―27。
「ボールを持っている時間が短すぎる。アタックの時間長くしないと、どうしてもスコアされてしまう。裏に抜けたところでサポートにつき切れずにその後のブレイクダウンでターンオーバーされてばかり。何とかブレイクダウンでボールを出さないといけない。」(桑水流裕策)
抜擢された若手が積極的にプレー
続くプール戦3試合目のアルゼンチン戦。日本は思い切った選手起用で臨んだ。
「ディフェンスをしっかりできる選手を選んだ」(瀬川HC)
ここまで2試合連続で先発していた坂井主将、鈴木といったベテラン勢に代わって合谷和弘、山下楽平の若手を起用。
3試合連続での先発出場となった松井、彦坂匡克なども含め、イキのいいメンバーの積極的なプレーが光った日本は、いきなり開始1分にPKから攻めて彦坂のトライで先制。
「(トライは)前を見たら空いていた。3大会目なので、感触はつかんできた。若いメンバーで勢いがあって、入りも良かった」(彦坂)
アルゼンチンに対しては2月のラスベガス大会でも接戦を繰り広げていた(終了間際に決勝PGを決められて12―15で惜敗)だけに、今度こそ勝利への期待が高まった。
追加点のチャンスもあったが取りきれなかった日本。一方、アルゼンチンは前半5分に自陣深くで日本アタックをターンオーバーして、トライを取り切り同点で前半終了。
後半に入ると、「いまの現状だと、14分間持つかと言ったら、正直、持たない」(山下)という日本の攻撃時間が少なくなる一方、アルゼンチンは着実にチャンスをものにして2トライ。
終了間際にレメキ ロマノ ラヴァがトライを返したものの、14―19で敗れラスベガス大会のリベンジを果たせなかった。
「期待して投入した選手たちが粘りを見せてくれたし、基本的には良かった。ただ、アタックが単調になった時とかサポートが少なくなった時にターンオーバーされて、そこから一気にトライまで持っていかれた」(瀬川HC)
「3試合目でここで勝たないといけないというのがあったし、2試合目までよりいい面が出た。ディフェンスはよくなってきている。アタックでちょっとしたミスで取りきれなかった。そこを修正すれば勝てる」(合谷)
3戦3敗に終わったものの、若いメンバーを中心にそんな手応えもつかんだプール戦を終えて迎えた最終日。
日本はボウル準々決勝でスコットランドと対戦。
若手中心で臨んだアルゼンチン戦と同じ7人が先発メンバーに名を連ねた。
いきなりスコットランドに先制トライを奪われたものの、3分にPKからトゥキリ ロテ ダウラアコから合谷とつないで同点に。
その後も日本がリズムよくスコットランド陣に攻め込んだが、あと一歩のところで慌てたようなプレーが出てしまい、仕留められなかった。
同点に追いついた後は、日本がいいリズムで攻めていただけに、何とかリードして折り返したかったが、逆に前半終了間際にスコットランドがしっかりフェイズを重ねてトライを奪って7-14。
後半は攻めるチャンスがなく、スコットランドに2トライを重ねられて7―28で敗れた。
「(前半同点に追いついた後)あそこで14―7になっていると、もう少し余裕を持って戦えたはず。トライのチャンスで慌てて、ミスが出てターンオーバー。ボールを丁寧に扱っておけばトライだったのに、無理につなごうとして前にこぼれたり。そういうのが多い。
すごいプレッシャーや相手のフィジカルの強さでできていないのもあるが、そこの部分は急に強くはならない」(瀬川HC)
続く、敗れた時点で日程終了となるシールド準決勝では、招待チームでコアチームに比べると力が劣るベルギーから6トライを奪って42―7で大勝。
何とか1勝を挙げたものの、続くシールド決勝戦ではケニアのスピードについて行けずに7―26で敗れて、全日程を終了した。
「大会を通してみれば、1戦、1戦あと一歩のところまで追い詰めた部分はあったがコアチームには勝てなかった。これが現実。あと1本のパスが通らなかったりそういう部分が勝負の綾のところを左右した。
一番の差は仕留めの部分。崩しも良かったし、尚かつフィニッシュもという感じにならなければ、トップ8にはいけない。
ただ、あと1個の歯車が噛み合えば、トップ8に入れるところまで来ているのは感じる。選手も自信を持ち始めた部分。東京では自信を持ってトップ8を狙いたい」(坂井主将)
香港大会を終えての日本の総勝ち点は7でコアチーム中最下位の15位。残り3大会で14位のポルトガルとの勝ち点差=15点をひっくり返すためにも、まずは東京大会でカップトーナメント進出を果たし、最低でも勝ち点10を獲得したい。
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