中国、カザフスタン、香港などを抑えて
アジア競技大会初の金メダルを目指す

9月19日から韓国・仁川で行われている第17回アジア競技大会。
男女セブンズ日本代表が参加する7人制ラグビー競技は9月30日にアジア王者を巡る戦いがスタートする。

計10チームが参加する女子は5チームずつに分かれたプール戦が2日間に渡って行われた後、3日目となる10月2日に準決勝、決勝などが予定されている。

初のアジア競技大会制覇を目指す日本のプール戦(プールA)での対戦相手は初日の9月30日がウズベキスタン(11時)、韓国(15時02分)、シンガポール(18時42分)の3試合。翌10月1日がプール戦最大の山場の中国戦(14時40分)となっている。

プールAで1位になった場合は、3日目(10月2日)の準決勝でプールBの2位と対戦(15時34分)、同2位になった場合は準決勝ではプールBの1位との対戦(15時56分)となり、決勝は同日の19時14分に行われる予定だ。

※ ()内の時刻はすべてキックオフ予定時刻

(text by Kenji Demura)

ブレイクダウン回りの課題を修正して、初のアジア競技大会王者を目指す女子セブンズ日本代表(サクラセブンズ)
photo by RJP Kenji Demura
男子セブンズ日本代表・坂井主将らと写真に収まるサクラセブンズ中村主将と竹内(右)。アジア競技大会は女子ラグビー知名度アップの好機でもある
photo by RJP Kenji Demura

9月12、13日に香港で行われた「IRB女子セブンズワールドシリーズ コアチーム昇格決定大会」で、フランスに敗れて、惜しくも同シリーズ2014-2015シーズンのコアチーム入りを逃した女子セブンズ日本代表。
今回のアジア競技大会では、同・昇格決定大会で、昇格を勝ち取った中国がプール戦での最大ライバルとなる。
同・昇格決定大会では直接対決はなかったが、「ひとりひとりがランナーでロングパスも放れるチームでアタック面では脅威」というのが、中村知春主将の中国に対する印象だ。

昇格のかかったカップ準々決勝でフランスに敗れて5位(プレート優勝)に終わり、コアチーム入りがかなわなかった日本だが、その戦いぶりに関しては「実力を出し切れた」と、浅見敬子ヘッドコーチは一定の評価をしている。

ただし、コンタクトエリアで後手に回った印象は拭えず、今回のアジア競技大会でもブレイクダウンでいかに戦えるかがひとつのポイントになるのは間違いないところ。

「昇格決定大会のプレーぶりを分析してみても、ブレイクダウンのところでボールを奪われている確率が高い。具体的には3本中1本はアタック時のブレイクダウンでボールを取られている。
激しさ、いい1対1を作り相手の懐に入らないこと、そして2人目と3人目のサポート、というあたりを意識している」と、浅見HCが修正点として言及するのも、やはりブレイクダウン回りに関して。

ボールキープさえできれば「中国にも自分たちのアタックは通用する」(中村主将)という感触はチーム全体で共有。
「タックルシチュエーションで1対1に追い込んだところでのインディビジュアルなレベル。追い方だったり、最後のヒットだったり」というディフェンス面での課題をクリアしつつ、いかに自分たちのボールキープ時間を長くしていくか。
「クイックで速いテンポのラグビーを徹底して、強みであるフィットネスで勝負していく。どちらにせよ圧勝ということはできない。いかに自分たちの攻撃の時間を長くして、中国にアタックの時間を与えないかが重要になる」(同主将)ことは間違いないだろう。

前回大会を知る山口は「女子ラグビーの未来につながる、現時点で一番ベストなことを出していきたい」と抱負を語る
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27日の仁川入り直前まで行われた国内合宿では個々のタックルのスキルアップをはかるためのメニューなども取り入れられていた
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準決勝はカザフスタンか香港?
決勝で中国と再戦の可能性も

各プール上位2チームが準決勝に進むだけに、プール戦で勝っても負けても中国と決勝で再戦する可能性はあるが、もう一方のプールBで準決勝に勝ち上がってきそうなのは、ディフェンディングチャンピオンのカザフスタンと、前回4位の香港。
「カザフスタンも香港も体の大きなチームでフィジカルな戦い方をしてくるチーム」(浅見HC)で、今季のARFUアジアセブンズシリーズ第1戦の香港大会ではカザフスタンには19対5で勝ったものの、香港戦は5-10で敗れている。

本来、キッカーを務める大黒田裕芽をケガで欠き、中村主将を筆頭に今回が初のアジア競技大会となる若いメンバーも多い、女子セブンズ日本代表(サクラセブンズ)。

数少ない4年前を知るメンバー山口真理恵は「アジア競技大会はW杯と同じサイクルでやっている大きな大会。一番は結果を出すことだが、中身も大事にして、次につながるように、女子ラグビーの未来につながるような、現時点でのベストを出せるようにしていきたい」と、アジア競技大会という大舞台で活躍を見せることが、女子ラグビー全体の未来につながることも強調する。

「FW陣で伸びているプレーヤーもいるし、得点を取りにいかなきゃいけない時には、セットプレーは置いておいて、足の速いメンバーを揃えたり、バランスを考えながらその状況でのベストメンバーを起用」(浅見HC)しながら、初のアジア競技大会制覇を目指すことになる。