一戦ごとに成長を実感しながら迎える大一番
プール最終戦で「ビート・ウェールズ」達成を

イタリア時間の10日(日本時間11日未明)、ワールドワグビーU20チャンピオンシップ2015 日本—ウェールズ戦が行われる。

2日に開幕した同大会はすでにプール戦2節が終了。

チームスタート時から「ビート・ウェールズ」を標榜してきた中竹竜二ヘッドコーチ率いるU20日本代表にとっては、世界で戦えることを証明する一戦となる。

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勢揃いしたU20代表主将。左端が「大会期間中に一番成長したチーム」を目指す日本の堀越主将

 

初戦のイングランドに7—59、2戦目のフランスには7—47。

「ずっと『ビート・ウェールズ』と言ってきたが、いまは『ビート・イングランド』に照準を合わせている」

大会開幕前にそう語っていたのは中竹HC。

3月の「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ(WRPC)2015」、5月の「オセアニアラグビージュニアチャンピオンシップ2015」という2度の海外遠征も経験し、チームが大きく成長した手応えをつかんで迎えたプール戦だったが、結果だけ見れば最初の2試合はいずれも大敗。

ただし、5月28日に日本を離れる時点で「最終的にここまで行きたいと思っているところからすると、まだ4割程度。この年代のチームは劇的に変わる。本番で厳しい試合を経験することで、あと6割成長することは可能だと思っている」と語っていた中竹HCの思惑どおりに、大敗の中にもチームの成長を感じさせる戦いを続けているのも確かだ。

 

イングランド戦では、ディフェンディングチャンピオンのパワフルかつスピーディーなプレーの前に前半だけで7トライを奪われ、ハーフタイム時点で0—45と大きくリードされたが、今季の6カ国対抗王者でもある大男たちの圧力に慣れた後半は「基本的にずっとボールを支配して、エリアも支配することができた」(中竹HC)というように自分たちのペースで戦える時間を増やして、7—14と善戦。

「後半はFWでラインアウトとスクラム、チーム全体ではアタックとディフェンスをしっかりやろうと確認して、自分たちのペースをつくることができた」と、HO堀越康介キャプテンが手応えを語ったとおり、王者との対戦の中でしっかりと成長を感じた初戦となった。

フランスからペナルティトライを奪うなどFW陣はスクラムなどのセットには自信を深める(写真中央はLO加藤) のコピー

フランスからペナルティトライを奪うなどFW陣はスクラムなどのセットには自信を深める(写真中央はLO加藤)
photo by RJP Kenji Demura

スクラムトライを奪うなどセットプレーは大きく成長

イングランド戦から4日後に行われたプール戦2試合目のフランス戦でも、チームは着実に成長を続けていることを印象づけるパフォーマンスを見せた。

「イングランド戦の反省を踏まえて、我慢することを意識した」(中竹HC)というゲームプランどおりに、特にFWのセットプレーでの頑張りを軸に前半は互角の戦いぶりで7—14。

日本のトライはスクラムに自信を持つフランスからペナルティトライを奪ったものだっただけに「スクラムにはこだわっていきたい」と遠藤哲FWコーチが目指してきた強固なセットプレーが確実な成長を遂げていることを証明。

 

「キツい時にどれだけやれるかが、今年のチームにとっての勝負になる。(国内最終合宿でも)走り込んだ状態でのスキルトレーニングをしっかりやった」(中竹HC)と、勝負どころでのプレーにも自信を持って臨んだ後半だったが「大事なところでタックルミスが目立って」(同HC)、フランスに5トライを奪われ、最終スコアは7—47での敗戦となった。

 

「ディフェンスをコネクトしながらアタックは素早く、広く展開するというのがまだできていない。一つひとつのプレーは良くなってきているので、スコアにつなげて勝利したい」(中竹HC)

 

「スクラムなどセットプレーは通用した。改善すべきとことは攻守の切り替え。ボールが相手に渡った時にしっかり対応し、一人ひとりのタックルの精度を上げていく必要がある」(HO堀越キャプテン)

 

3年前に7—119と大敗を喫した相手に対して、あえて「ビート・ウェールズ」を掲げてきた今季のU20日本代表。

「大会期間中に最も成長したチームになる」(中竹HC)自信を持って、予選プール最終戦の大一番に臨む。

text by Kenji Demura

3戦連続で指令塔として先発するSO金井。まだトライのないBK陣をうまくリードできるか のコピー

3戦連続で指令塔として先発するSO金井。まだトライのないBK陣をうまくリードできるか
photo by RJP Kenji Demura

アタック面で「ビート・ウェールズ」のキーとなるのはカウンター攻撃の精度(写真はWTB尾崎副将) のコピー

アタック面で「ビート・ウェールズ」のキーとなるのはカウンター攻撃の精度(写真はWTB尾崎副将)
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「ビート・ウェールズ」を目標にチームをつくってきた中竹HCにとっても意義の大きな試合となる のコピー

「ビート・ウェールズ」を目標にチームをつくってきた中竹HCにとっても意義の大きな試合となる
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