リポビタンDチャレンジ2013 対ウェールズ代表 第2戦(東京・秩父宮)レビュー

2万人超の大観衆のサポートを大きな力に
世界5位のウェールズから歴史を変える勝利

「リポビタンDチャレンジ2013 日本代表 vs ウェールズ代表」第2戦が15日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、後半8分のCTBクレイグ・ウィングのトライで再逆転した日本が23―8で快勝した。双方がキャップ対象試合として認めたテストマッチでホームユニオン(ウェールズ、イングランド、スコットランド、アイルランド)に勝つのは史上初めて。前週の大阪・近鉄花園ラグビー場に続いて2万人を超える大観衆で埋まった秩父宮ラグビー場に歓喜の輪が広がった。

(text by Kenji Demura)

photo by H.Nagaoka
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日本代表としての最初のキャップ対象試合が行われた1930年から83年。エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いる日本代表が新しい歴史の1ページを記した。1週間前、11―6で折り返しながら、悔しい逆転負けを喫した日本。「フィジカルで上回り、試合のスタートから真っ向勝負をものにして勝つ」。ジョーンズヘッドコーチの言葉通り、立ち上がりから日本は世界ランキング5位のウェールズに一歩も引かない攻防を繰り広げた。

序盤はウェールズが日本陣に攻め込む時間帯が多かった。しかし「組織でしっかり守れた」(バイスキャプテンのFB五郎丸歩)という堅守で、ウェールズに先制を許さない。14分、敵陣深くに攻め込んだ後、一度はウェールズにボールを奪われたもののブレイクダウンで粘って反則を誘い、五郎丸のPGで先制した。

前半は決定的なトライチャンスはなかった日本。21分にウェールズSOダン・ビガーにPGを返された後、25分にはウェールズWTBハリー・ロビンソンに大きくゲインされたが、HO堀江翔太、FLのマイケル・ブロードハーストとヘンドリック・ツイ、五郎丸らがよく戻って、トライラインは死守。34分に再び五郎丸がPGを決めて、6-3でハーフタイムを迎えた。

「前半はとにかく我慢しようと(言っていた)。相手は体力があるうちに(得点を)取って乗っていこうと考えていただろう。そこで何とか止められたのが大きかった。自分たちの自信になり、後半の仕掛けにもつながった」。バイスキャプテンのNO8菊谷崇が振り返ったとおり、しっかり我慢して守れたことが、後半の日本ペースにつながっていく。

photo by H.Nagaoka
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「後半、スクラムで勝った」(ジョーンズヘッドコーチ)

後半最初の得点はウェールズ。5分にSOビガーとCTBジョナサン・スプラットのコンビネーションからWTBトム・プライディーに飛ばしパスが通って左中間にトライを許した(SOビガーのゴール失敗で6-8)。しかし、日本も直後の8分に敵陣15m付近のスクラムからキャプテンのWTB廣瀬俊朗、CTBマレ・サウ、FB五郎丸らがゲインし、最後はCTBクレイグ・ウィングが相手選手を引きずりながらウェールズゴールになだれ込んだ。SO立川理道は「取られた後、すぐにトライ取れたのは大きかった」と振り返る。第1戦でチャンスを作りながらトライを取り切れなかった反省から、立川は「もっとバックスがリードすることが大事。チャンスにバックスが要求していく」ことを修正点のひとつに挙げていた。

ウイングのトライのゴールキックは、五郎丸が完璧な当たりで成功。第1テストでは、キックに安定性を欠いた面もあった五郎丸バイスキャプテンだったが、この日は最終的に5本のプレースキック(2ゴール、3PG)を全て決めて、チームを勝利に導くかたちになった。

試合後の記者会見で「後半、スクラムで勝った。大事なスクラムからクリーンな球出しができたし、そこが一番の勝因」と語ったジョーンズヘッドコーチ。再逆転トライの直前に早くもPR山下裕史→畠山健介、LO伊藤鐘史→真壁伸弥の選手交替を断行していた。「山下とショージ(伊藤)は前半いい仕事をしていたが、先週もタフな試合をしていたので、ハタケ(畠山)と真壁のコンビネーションが必要だった。フィールド上のワークレートが上がるし、120kgあるビッグガイの真壁が入ることによって、スクラムもさらに良くなる」という判断が、すぐにトライという結果につながった。

「セットピースは頼もしかった。ヨーロッパ勢を相手にあそこまでできたのは凄い」と、FW陣を絶賛したのはFB五郎丸。いきなりビッグスクラムを組んだ畠山も「前半から山下がいいスクラム組んでいたので、セットプレーのクオリティを落とさないこととテンポ上げることに気をつけた。セットプレーは良かった。いい仕事ができました」と胸を張った。

19分、日本はCTBウィングのラインブレイクの後、きれいなシェイプを維持してCTBサウ→FLブロードハーストとつないで加点。五郎丸が1ゴール、1PGを重ねた。「もっと接戦になるかなと思っていた」とHO堀江。後半は圧倒して世界ランキング5位のウェールズに快勝した。「もちろん、暑さは厳しかったが、それよりも日本のプレーが素晴らしかった。我々も先週よりいいプレーをしたが、日本はもっと良くなった。時間の経過ともにどんどん強くなっていった。世界のベストチームのひとつのようだった」と、ウェールズ代表ロビン・マクブライドヘッドコーチが脱帽するほどの強さだった。

「一番の勝因はファンの後押し」。166cm、75kgの小さな体でウェールズの大男につかみかかっていくファイティングスピリッツを見せたSH田中史朗は、大観衆による大声援が力になったことを強調した。廣瀬も「先週の花園でもたくさんのお客さんの前で試合ができ、今週はそれを勝利で返したいと思っていたので、本当に幸せ」と同調する。

セットプレーを安定させ、フィジカル面でも対等以上に渡り合って、世界ランキング5位のウェールズを倒した。ただし、ここがゴールではないのは紛れもない事実ではある。「今日はいいカウンターアタックラグビ―ができた。粘りつよくDFをして、ターンオーバーからブレイクする。今後はもっとアタックで仕掛け続けることをやっていかないといけない。間違いなくチームは正しい方向に進んでいるが、まだ世界のトップ10入りしたわけではない。ハードワーキングを続けて、理解を深めていく。本当にいま日本ラグビーは変化のチャンスを迎えている。代表チームがいいパフォーマンスをする使命がある」とジョーンズヘッドコーチ。日本ラグビーの歴史を変えた勝利の翌日からハードワークを再開することを宣言した。「明日も練習する。短期間で次のテストマッチに臨むのは難しいが、いいチームになっていくためにはこういう状況に慣れていかないといけない。次の試合が凄く重要になる。カナダは3試合勝っている。大きくフィジカルに強いチーム。短い時間での準備だが、名古屋で勝ちに行く」
 ウェールズ代表戦の勝利をより意義深いものにするためにも、中3日で迎えるIRBパシフィック・ネーションズカップ2013のカナダ代表戦(19日、名古屋・瑞穂ラグビー場)が重要になる。

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