第53回全国大学ラグビーフットボール選手権大会は5大会ぶりにトーナメント方式が採用され、3回戦2試合が東大阪花園ラグビー場で行われた。同志社大学は関西大学Aリーグでは最終戦に天理大学に敗れたものの2位で大学選手権出場枠を獲得。一方の中央大学は、関東大学リーグ戦1部4位で出場枠を得た。

前半、中央のキックオフで試合が開始される。風上を選択した同志社は、立ち上がりから効果的なキックで相手陣内に入る。中央は同志社の堅いディフェンスを破ることができず自陣での試合を余儀なくされる序盤の展開。試合が動いたのは11分、中央のドロップアウトの球を同志社、FB安田卓平がハーフウェイ中央付近でキャッチし、そのまま中央のディフェンスの真ん中を崩し、22m中央付近でフォローしたNO8末永健雄に繋ぎトライを奪う。SO永富健太郎のゴールはポールに嫌われ不成功(5-0)。

トーナメント戦を意識した戦いの同志社は、PGを狙える25m中央での反則を得ると16分にSO永富(健)が着実に決め8-0とリードを広げる。なおも同志社は、20分には22m中央ラックから右展開しSH大越元気からSO永富(健)につなぎNO8末永がライン参加。中央のディフェンスを崩して、最後は男子セブンズ日本代表の右WTB松井千士に繋ぎ、右中間にトライを奪った。俊足BKがトライを奪うとスタンドからは大きな拍手が起こった。この後も同志社の一方的な試合展開で、28分10m中央付近のラックでのこぼれ球を右PR海士広大が拾いそのままゴールまで40mを走り切るトライなどで28-0の大差をつけた。
一方、このままでは引き下がれない中央。前半終了のホーンが鳴った後、同志社大学の反則に対し、35m中央からキャプテンSO浜岸峻輝がゴールを返し28-3で前半を終える。

後半、風下の同志社は、前半の勢いをそのまま保ち、11分にはFW・BKがゴール前で執拗に攻撃を繰り返し、最後はキャプテン左LO山田有樹が中央にトライ。25分にも右FL野中翔平がトライを加え42-3の大量リードで勝利を手中にほぼ収める。一矢報いたい中央はノーサイド直前に、SH住吉藍好が左中間にトライかと思われたが、インゴールノッコンでノーサイド。

中央大学は、最後まで同志社大学のディフェンスを崩せずノートライで3回戦敗退となった。一方、勝利した同志社大学は、17日(土)に対抗戦Aグループ2位でシードCの早稲田大学と準々決勝で対戦することとなった。


■中央大学

○松田雄監督

「関東大学リーグ戦1部の4位チームとして、リーグを代表して戦うという意気込みで今日の試合に臨みましたが、情けない結果となってしまいました。また、選手たちも浜岸キャプテンを中心に頑張ってくれたのですが思うような結果が出せず、申し訳ないと思っています」

 

○浜岸峻輝キャプテン

「同志社大学を相手に自分たちのラグビーができずに、それがこの結果につながってしまいました」

――思うようなラグビーができなかった原因は?

浜岸キャプテン

「ロースコアのゲームに持ち込んで、自分たちの強みであるモールドライブで攻めたかったのですが、自陣に釘付けにされてしまいました」

松田監督

「同志社は素晴らしいBK陣を持ち、また一人ひとりの選手も強いチームです。色々と策は練ってきたのですが、エリアのやりとりで思ったとおりのことができませんでした」

%e4%b8%ad%e5%a4%ae%e4%bc%9a%e8%a6%8b

■同志社大学

○山神孝志監督

「先週、関西大学リーグでの最終戦で天理大学に勝てませんでした。そこで、チームの在り方を見直して、それがいい準備となりました。また、中央大学に対抗するための対策も練り、それに対して学生達もよくやってくれたと思います。その反面、今日の試合ではミスが出て思うようなことができないといった局面もありましたが、それもこれからの糧として次の試合に備えていきたいと思います」

○山田有樹キャプテン

「確かに先週、天理大学に負けはしましたが、リーグ優勝だけが目標ではありません。大学選手権に向けて、チームとして目標を一つにして今日の試合に臨みました。その結果、いい準備ができたと思うし、特にいいディフェンスが出来ました」

――次の相手は早稲田大学だが。

山神監督

「早稲田大学とはこの春に一度対戦しています。その頃からもうスクラムが強かったことを除くと、今はすっかり別のチームになっていると思います。今日の相手の中央大学の方が体重では同志社よりはるかに上でしたが、同志社は低いスクラムで十分に対応できました。早稲田の力強いスクラムに対してもひたむきに対抗していきたいと思います。今日の結果によるとベスト8の内、関西大学リーグは3校とも残っており、今、関西には追い風が吹いています。この勢いに乗って、新たに挑戦権を得た我々は関西の先陣を切って来週以降の戦いに臨んでいきたいです」

山田キャプテン

「早稲田大学の強いスクラムを十分見据えた上で、我々としては、得意の展開ラグビーに持ち込めるような準備をしていきたいと思います。何とか早稲田を倒し、ベスト4として正月を迎えたいと思っています」

%e5%90%8c%e5%bf%97%e7%a4%be%e4%bc%9a%e8%a6%8b