今年1月2日に行われた「第52回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」準決勝と同じ顔合わせ。
雪辱を狙う大東文化大学は、ゲームプラン通り立ち上がりからトップギアの立ちあがり。
帝京大学も「大東文化大学のキーマン」としていたWTBホセア・サウマキが、左タッチライン際を快走し場内を湧かせ、先制したのは大東文化大学。
前半5分、帝京大学陣内10mのマイボールラインアウトから、SH小山大輝がスピードを活かしサイドを抜け左隅にトライ。SO川向瑛のゴールも成功し7-0とした。
シードのため2週間ぶりの試合となった帝京大学は、徐々にボールを支配。前半18分にSO松田力也のPGで3-7とした後、大東文化大学のオフサイドのペナルティからラインアウトモールで押し込み、HO堀越康介が抜け出しトライ。ゴールも成功し10-7と逆転。
その後も帝京大学ペースで大東文化大学陣内での展開となるが、大東文化大学も厳しく前に出る低いタックルで応戦し、帝京大学の追加点を許さない展開。
帝京大学の追加点は前半35分、初トライと同様に大東文化大学ペナルティから、ラインアウトモールを押し込み、これもHO堀越が抜け出しトライ。ゴールも成功し17-7とした。
38分に帝京大学は大東文化大学のシンビンで数的優位となると、ペナルティからのラインアウトがオーバーしたボールをLO飯野昇司がカバーし、そのままゴール中央に持ち込み、最後はPR西和磨が大東文化大学ディフェンスを引きずりながらゴールポスト真下にトライ。ゴールも決めて24-7とし前半を終了した。

エンドが変わった後半も、帝京大学ペースが続き大東文化大学陣内での試合展開が続く。
後半5分には大東文化大学陣内22m付近中央での帝京大学大学ボールのスクラムから、大東文化大学ディフェンスが開いた内側をNO.8ブロディ・マクカランがボールを持ち出し、そのまま中央にトライしゴールも成功して31-7。
11分にはラインアウトモールからまたしてもHO堀越がトライ。
16分にはFW・BK一体となりボールを繋ぎ、最後はSO松田から内側にリターンをもらったLO飯野が左中間にトライ。ゴールも成功し43-7とほぼ試合を決めた。
意地を見せたい大東文化大学は、帝京大学陣内22mでペナルティを得るとスクラムを選択し攻め続け、最後はWTBサウマキがラックのボールを拾いそのまま中央にトライ。ゴールも成功し43-14とした。
一方帝京大学は、32分に大東文化大学のペナルティからラインアウトを選択し、この試合4本目のラインアウトモールでのトライ。
大東文化大学も試合を諦めず、帝京大学陣内22m付近のマイボールラインアウトから、CTB戸室が抜け出しゴール左にトライし48-19とするが、最後は39分に帝京大学WTB竹山晃暉が左タッチライン際を駆け抜けトライし、ゴールも自ら決めて55-17でノーサイドとなった。
帝京大学の8トライのうち、5トライがペナルティからラインアウトを選択したトライ。
大東文化大学のペナルティが少なければ、さらに拮抗した試合展開になっていたかもしれない。
(児玉隆一郎)


■大東文化大学

青柳勝彦監督

「今日はありがとうございました。今日の試合は、『勝ちに行こう』と臨みました。『出足の10〜15分をしっかりやろう』として試合に入り、うまくスタートできたと思いましたが、ある程度はうちのペースでできても、ラインオフサイドの反則をとられ、ラインアウトのモールプレーで帝京大学にやられて、また、シンビンも取られて、自分たちのラグビーのペースをつかめませんでした。帝京大学の激しいブレイクダウンが強かったですが、自分たちのやりたいことも少しはできました。しかし、帝京大学が強かったと思います。悔いはありません」

——ミスからトライをとられる場面がいくつかあったが、選手に気負いがあったのか?

「特にFWがゴール前に攻め込んでのミス、ジャッジも非常にフェアであったが、やはり気負いからバランスが崩れた点があった。そこが非常にもったいないところだった」

——今年の4年生は、1年生・2年生の時から試合に出ていた年代で、今年が勝負の年だったと思いますが、今日の敗戦でシーズン終了となりました。この1年間を振り返っていかがですか?

「昨年度まではスクラムが安定しておらず苦しいところがありましたが、今年はスクラムがかなり安定してきました。ラインアウトも安定してボールを獲得できていました。モールディフェンスは今後の課題になると思います」

川向瑛ゲームキャプテン

「監督が仰っていた通りです。前半、うちのペナルティが多く、帝京大学のフィジカルが強く、コンタクトプレーでうまくやられてしまいました」

——今年の4年生は、1年生・2年生の時から試合に出ていた年代で、今年が勝負の年だったと思いますが、今日の敗戦でシーズン終了となりました。この1年間を振り返っていかがですか?

「セットプレーの安定が良かったと思います。ディフェンスでは帝京大に差し込まれるところがあり、良くなかったと思います」

——試合中、ラインディフェンスでペナルティを再三とられるなどしましたが?

「一人一人が前に出る意識が強くあったと思います。ディフェンスの意識が強すぎて、立ち位置でペナルティを取られました。その意識が強すぎたことが反則につながってしまったと思います」

——昨年の大学選手権でも帝京大学に敗戦(準決勝、帝京大学 68-33 大東文化大学)しており、この1年、「打倒帝京大学」を目標にしてきたと思いますが、やはり帝京大学は厚い壁でしたか?

「帝京大学を意識して、フィジカルや強力なFWを予想していました。帝京大学の強さを予想はしていましたが、止められませんでした」

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■帝京大学

岩出雅之監督

「今日は、大東文化大学はかなり強力だと分析していたので、気合を入れて臨みました。学生も気合の入ったプレーをしてくれて、引き締まったゲームをやってくれたと思います。大東文化大学の強み・弱みを押さえたうえで、『厳しくいこう』と試合に臨みましたが、しっかりやって結果を出せたと思います。選手たちが試合の中で成長できていると思います。トーナメントの試合が続きますが、今日は今日と考えて、目の前の1試合をしっかり戦っていきます」

——FW周辺での堅い試合運びが多かったと思いますが、これは意識的にやったのでしょうか?

「大東文化大学のそこが弱いと見て、やりました。この結果、大東文化大学が後半には走れなくなることを狙いました。後半、大東文化大学のディフェンスが崩れてくれたのは、ゲームプラン通りでした」

——1月2日の準決勝の相手は天理大学になりましたが。

「選手たちの体を休ませて、それから、天理大学のプレーを確認し、選手たちがそれを十分理解できるように準備したいと思います。2週間以上時間はありますが、緊張感ある時間になると思います。学生は授業もなくなる時期なので、冬期休暇のペースに合わせてベストコンディションにしていきたいと思います」

亀井亮依キャプテン

「今日は帝京大学として、アタック・ディフェンスで前に出て行こうと、試合に臨みました。そのうえで、チームのキーマンに走るチャンスを与えて、堅い試合運びをしようと臨みました。チームとしてのコミュニケーションも取れて、ディフェンスからチャンスにつなげることができたと思います。次の試合につながる内容になったと思います」

——序盤には大東文化大学に勢いがありました。「入り」の部分は少し、硬さがあったように見えましたが?

「試合前のアップの時に、少し硬さがあったようにも感じましたので、声掛けを務めました。スタート時はコミュニケーションミスもあり、大東文化大学のチャンスにつながってしまいました」

——次の準決勝は天理大学との対戦になりますが、天理大学の印象は?

「天理大学とは今年、春シーズンに1試合やっています(6月5日、帝京大学 66-24 天理大学)。天理大学はいいチームだと思います。留学生の選手をうまく機能させているチームです。これから約2週間でいいコンディションを作って、いい試合をしたいと思います」

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