大学選手権決勝(1/9)マッチ&会見レポート(帝京大学 33-26 東海大学)

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時計は後半22分となっていた。スコアは帝京大19-19東海大と、両チーム一歩も譲らない接戦が続く。

試合開始直後から帝京大の選手に突き刺さるタックルを繰り返していた東海大CTB鹿尾貫太が帝京大CTB矢富洋則にタックルに入ったところで、起き上がれなくなった。心配する東海大ファンが注目する中、鹿野は起き上がりジャンプしてケガは何もないことをアピール、帝京大のラインアウトでプレーが再開した。

このラインアウトを帝京大LO姫野和樹がクリーンキャッチすると、FWでラックを繰り返し、アタックを継続する。ラックから出たボールを受けたSO松田力也に東海大LO李昇剛が突き刺さるが、松田はボールをFL飯野晃司にパス。鹿尾が再び飯野に突き刺さるが、ボールはNo.8ブロディ・マクカランにつながれ、さらに左サイドにフォローしたWTB吉田杏につながった。FW出身のWTB吉田は馬力ある走りでそのままインゴールに飛び込んだ。松田のゴールキックも決まり、帝京大26-19東海大と、後半24分に初めて帝京大がリードした。

その後、30分には、ラインアウトからの攻撃から帝京大SO松田が左コーナーへ大きくキックをすると、帝京大WTB竹山晃暉と東海大FB野口竜司がボールをチェイス。インゴールで2人が競り合いながらボールを押さえたが、戸田京介主審は竹山のトライを認定。ゴールも決まり、残り10分でリードを14点差に拡げ、帝京大の勝利が見えてきた。

しかし、最後まで勝利をあきらめない東海大は、最後の10分間、ゴール前に進むとスクラムでの攻撃にこだわり、35分にスクラムトライを取り、7点差まで詰める。 残り5分、観客席からの「トウカイダイ!」の応援の大歓声の中、同点のトライをめざし、東海大フィフティーンが敵陣に攻め込むが、帝京大も集中したディフェンスを見せ、東海大の追加トライを許さず、ノーサイドとなった。

この日、東海大は試合開始直後からFWでのスクラム勝負にこだわり、前半6分、17分と敵陣ゴール前スクラムからFWが2トライを連取。スコアを0-14とし、今年の帝京大に勝つには、この戦い方しかないだろうという思い通りのスタートを切っていた。しかし、帝京大フィフティーンはこれで決して下を向くことなく、SO松田の好判断によるキックを使ったアタックでトライチャンスをつかみ、34分にマクカランがトライ。39分には帝京大の好ディフェンスからターンオーバーで得たボールをフェイズを重ねてゴール前に持ち込み最後は矢富がトライ。ハーフタイムには「とても元気に帰ってきた」(岩出監督)フィフティーンに、岩出監督から「ダメージを楽しもう。しんどい時間を楽しもう」と声を掛け、その選手たちが「楽しみがチームの行動を変える」ことを実行できるメンタルな強さが、この試合の勝利につながったのだろう。

両チームとも突き刺さるタックルを繰り返し、無駄な反則はせず(反則数:帝京大6、東海大2)、素晴らしいラグビーを見せてくれた80分間だった。東海大にとっては残念な結果となってしまったが、この日13,776人の観客は80分間、気を緩めないプレーを続けた両チームのフィフティーンに大きな拍手を送りつづけていた。
帝京大はこれで、大学選手権8連覇。「短い練習時間の中で、スクラムの練習には時間をあまりかけていなかったが、来年はスクラムも強くする」(岩出監督)という帝京大に対して、他の大学チームの挑戦がまた1年続く。
(正野雄一郎)


■東海大学

○木村季由監督

「本日はありがとうございました。日々鍛錬して来たことを100%出してくれて、最後まで諦めず、力一杯ゲームできたと思います。結果敗れたことは現実として受け止めなければなりません。帝京さんは素晴らしい力で、日々迫ったが追いつかなかったと思います。こちらの強みを出せる時間帯もあったが、ミスから相手に流れを渡してしまいました。選手たちには感謝したいと思います。勝たせてやれなかった監督としての私の責任も感じています」

――少ない点差で負けた点は?

「感情的な話ではなく、隙を見せたところで畳み掛ける、逃さない帝京さんの集中力が素晴らしく、強いと分かっていたが、そこで上回られたと思います」

――帝京を上回る展開力だったが?

「そういう風に見られるなら、劣っていた自分たちの強みを80分間出し切れたということでしょう」

――後半、トライが決まった後のペース配分については?

「前半、ちょっと内側のディフェンスが閉じ切れていなくて、修正したが、若干足場が悪くて獲られました。タックルミスのシーンもありました。攻め疲れていたわけではないが、脚が止まり出して、キャプテン含めて選手交替しなければなりませんでした」

――相手の微妙なトライについては?

「(レフリーが)トライと言ったらトライでしょう」

――眞野選手のSOでの起用は?

「帝京大学さんはFWが強く、当然スタンドオフをどう封じ込めて来るかを考えて、タックルが非常に強い彼の良さを生かそうとしました。経験は少ないですが、ここに来て成長を遂げています。アタックで良い動きもでき、今日は自信になったと思います」

(最後に自ら立ち上がり)「1年間ありがとうございました。また、頑張ります」

 

○磯辺裕太キャプテン

「本日はありがとうございました。今日は1年だけでなく、東海として積み上げて来たものを出せたと思います。強みであるセットプレーであったり、FWプレーで良いアタックができた時間帯もありましたが、ここぞという場面の集中力で帝京さんが上回ったと思います」

――14-0になった時点では?

「相手のミスから自分たちの強みをぶつけて、2つのトライを獲りました。自信をもって良いと、春から積み上げて来たディフェンスで相手の縦の攻撃を止めようと言いました。また、浮き足立たないように、ディフェンスからペナルティーをしないようにと伝えました」


■帝京大学

○岩出雅之監督

「よろしくお願いします。良かったです。ホッとしました。昨日もあるメディアの方から、メディアの総意として東海大学さんの力が上ではないかとお聞きして、それを学生に伝えて奮起を促しました。東海大学さんはこれまでになく完成されたチームで、試合態度は気持ちを込めて臨みました。ウチはこれまでの連覇のスクラムと違って、強力なスクラムではなかったです。あまりスクラムばかりに時間をかけられなかったのは、展開力を求めたからで、スクラムがウィークポイントになるのは覚悟の上でやって来ました。最後はメンバーチェンジして、スクラムトライを獲られましたけど、FW陣が奮起してくれて、最後まで応えてくれました。東海大学さんにも我々の強いアタックディフェンスを出せたのではないかと、僕はとても嬉しくて、学生の逞しくしぶといところを見せてもらって、指導者としてとても嬉しく思います。8連覇はラグビーではとても長い記録です。我々の実力は、様々な大学と切磋琢磨して加味していただいたものでありますが、何とか見本となるチームを作れたと思います」

――ビハインドの場面では?

「前半、半ば近くから仕掛けられた結果、ハーフタイムで元気になっていたので、 もうこれで大丈夫と思いました。学生たちはビハインドの時はスクラムでやられて、気持ちはダメージがあったと思いますが、痛いのもしんどいのも、タックルもスクラムも楽しもうと送り出しました。前半の流れの中で、学生のしぶとさが増して、勇気も出て 、野球で言えば『隅イチ』、大東大戦でも先行されたのですが、終わった過去のことにとらわれず 、ゲームの今に集中する学生のメンタル面の素晴らしさを感じました」

――スクラムに時間をかけなかったのは?

「30分でチーム全体をユニットで動かしています。1時間もスクラムに時間をかけていたら、当然バランスが悪くなります。ケアもしなければ疲労もたまります。胃袋もそこまでやると内臓疲労が強くなる、という理由でやっていないのですが、やってなくてもこれでスクラムが組めるのは、指導のプロがいるからです。色々な意味で色々なコーチがアシストできるプレーヤーになってほしいし、バランス良く能動的にチームに貢献できるようになってほしいという願いからです」

――トップリーグチームとの試合は?

「特別なことはやっておりません。目の前の試合はどれも簡単ではありませんし。大学選手権に入ってから精度は高くなってきたと思いますが、スクラムが安定すれば、キチっとプランも機能した試合になります。しっかりと挑戦することに意義があると思います」

 

○亀井亮依キャプテン

「ファイナルでは、この1年間積み上げて来たものを出し続けようと言ったのですが、スタートから2本立て続けにミスが出て獲られました。しかし、常に相手ボールのディフェンスから流れをつかもうと良いコミュニケーションがとれ、試合を通じて縦のフィジカルを出して、相手の脚が止まったところでトライできた試合でした」

――ミスが多かったが?

「気合い十分で空回りしました。ノックオンして少し緊張がほぐれたように思いました」

――14点差をつけられた場面は?

「最初のミスからトライを獲られても、皆、非常に落ち着いて臨めていました。相手のFWもスクラムやっていて息が上がってきたのも分かり、ボールキープして敵陣でゲームしようとまとまっていました」

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