男子セブンズ日本代表 「HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2018-2019 コアチーム予選大会」レビュー

準決勝、決勝ともロスタイムの劇的なトライで決着

東京五輪に向けて意義の大きいコアチーム復帰を達成

1年でのコアチームへの復帰を果たした男子セブンズ日本代表。東京五輪に向けても大きな1歩に
photo by Kenji Demura

 

4月6〜8日、香港でHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ(以下、ワールドシリーズ) 2018-2019 コアチーム予選大会が行われ、決勝戦でドイツに19—14で劇的な逆転勝ちをした男子セブンズ日本代表は、2年後の東京オリンピックに向けた強化という面からも意義の大きいコアチーム返り咲きを決めた。

 

「厳しい戦いになるのはわかっていた」

 

セブンズの聖地、香港スタジアムでカップを掲げた後、小澤大キャプテンがそう振り返ったとおり、プール戦3試合、ノックアウトステージ3試合を戦った日本にとって、いずれもタフな試合ばかりが続く厳しいトーナメントとなった。

 

初戦の対戦相手は、同キャプテンが「デカくて、フィジカルが強い」と警戒していたジョージア。

 

日本は開始2分に相手のキックをうまく処理した小澤キャプテンが独走トライを決めて先制。

4分にジョセ・セル、6分に坂井克行とトライを重ねて、いきなり21−0とリード。幸先いいスタートを切った日本だったが、試合後、カラウナHCが「5分間はゲームプランどおりプレーできた」と語ったとおり、ハーフタイム前に副島亀里 ララボウ ラティアナラがシンビンとなったあたりから試合の流れはジョージアに傾いた。

前半終了間際、後半3分とジョージアに連続トライを許したあと、試合終了直前にシオシファ・リサラがトライを返して、26—10で初戦をものにした。

 

続くチリ戦では、前半1分に小澤キャプテンのブレイクからリサラ→合谷和弘とつないで先制トライを奪った後、「『フィフティ・フィフティのプレーは絶対やめよう、パニックにならないでおこう』という話をあれだけしたのに、ゲームプラン通りにラグビーができなかった。自分たちのミスが原因。力が出し切れなかった」と、ベテランの坂井が憤慨気味に語らざるを得なかった自滅とも言える内容で10—19で敗れた。

 

今大会はプール戦、ノックアウトステージと勝ち上がっていけば、1日=2試合ずつ3日間にわたって試合が行われるスケジュールだったが、2日目以降に不安を残すかたちでの初日のパフォーマンスとなった。

 

「アタックでは無理にオフロードパスをせず、フェイズを重ねればトライをとれる。ディフェンスでもアタックでも我慢しながらプレーしよう、フィフティ・フィフティのプレーをしないように言った」

 

もう一度、自分たちのゲームプランを遂行することを確認して臨んだ2日目。日本のパフォーマンスは確実に上昇傾向が見られるものとなった。

 

プール最終戦となったウガンダ戦では、「ぐちゃぐちゃの個人技」(橋野皓介)の相手に対して、前半2トライを奪われたものの、慌てずに我慢強く戦って後半3トライを奪い24—10で逆転勝ち。

大会初日にチリに敗れたが、2日目以降は自分たちのゲームプランを遂行。粘り強く戦い、結果を出した
photo by Kenji Demura

 

この結果、プールEで2位となった日本は、準々決勝でウルグアイと対戦。

開始直後のリサラのトライで先制した後、2分にウルグアイにトライを返されたものの、6分に坂井、後半に入っても1分にジョセ・セル、2分にジョセファ・リリダムとトライを重ねて、大きくリード。終盤追い上げられたものの、「今日はとてもいい内容での2勝できた」と、カラウナHCを喜ばせる内容で、最終日の準決勝に駒を進めた。

「勝つために重要なのは14分間、自分たちのゲームプランを遂行すること。今日はそれをやってくれた。ハッピーだ。ディフェンスが良くなり、試合開始からゲームをコントロールできた。選手たちは求めていたプレーをしてくれた」(同HC)

 

 

「最後まで諦めず勝ち切れた。試合ごとにレベルアップできたし、ファミリーにもなれた。スタートラインに立てた」(小澤主将)

 

 

翌日の最終日に行われた準決勝の相手はここまで4試合で得点141に対して、失点が10と、圧倒的な強さを見せて4強入りを果たしていたアイルランド。

 

「フィジカルな試合だったが、3回攻めた時に3回ハンドリングエラーがあった。それでも、自分たちが試合をコントロールしていた。ディフェンスも良かった。ユニットで守っていた」

カラウナHCがそう振り返ったとおり、立ち上がりから日本のボールキープ時間が長かったものの、チャンスにミスが出て得点には至らず、息が詰まるような緊張感を漂わせたまま、0−0で前半が終了。

後半に入ると、日本がボールをワイドに動かすアタックでアイルランド陣へ。「セブンズの世界で前半0−0って、なかなかない。お互いディフェンスが良く、ジャパンも粘っていた。どっちが先に取るか。先制点がほしかった」と、前日に足首を痛めた合谷に代わって先発出場していたベテランの橋野皓介が、右サイドへのオープン攻撃の中でできたDFギャップを突いて、タックルを受けながらもアイルランドゴールに飛び込み、とうとう日本が先制(後半1分)。

その後、アイルランドも日本陣深くのスクラムで日本ボールのスクラムにプレッシャーをかけて同点に。

途中、2度のトライチャンスをノックオンで逃したアイルランドの拙攻にも助けられたものの、最後まで粘り強く戦った日本は、最後は中央付近のラインアウトから右、左とワイドに振るプラン通りのアタックから最後は副島が60mを走りきって、息詰まる熱戦に決着をつけた。

準決勝のアイルランド戦で貴重なトライを決める橋野。ベテラン勢の活躍も目立った
photo by Kenji Demura

 

決勝の相手はドイツ。昨年に続いての同大会での決勝進出。フィジカルな戦いを得意とする大型チームだ。

いきなり開始1分のリサラのトライで先制。2分にはドイツにシンビン退場者が出たこともあり、日本が試合の流れを完全にものにするチャンスが訪れたが,

攻め込みながらもボールを力づくで奪われてのカウンター攻撃でショートハンドトライを決められて逆転を許し、さらに前半終了間際にもドイツにトライを重ねられて、立ち上がりの流れかは考えられなかった9点のビハインドを背負っての後半入りとなった。

 

「仲間を信じて戦おう。絶対勝てる」

ハーフタイムでは、ドイツの反撃を許すきっかけをつくった小澤キャプテンが自らの気持ちの切り替えも含めて、チームをもう一度リフトアップするかのように、そんな言葉をチームメイトに投げかける。

「攻撃には自信がある。自分たちがやってきたシーケンス守って、粘り強く戦えた。後半、最初に取り返せたのが大きかった」(同主将)

 

カラウナHCは「ダイナミックなプレーができる」と評価する中野将宏を後半開始と同時に投入。後半1分に自陣からのフェイズアタックの仕上げをするかたちでその中野がトライを決めて2点差に追い上げ、最後はロスタイムにPKからなんとかボールをつないで、リサラが右隅に飛び込み、劇的な逆転勝利をものにした。

決勝戦でコアチーム昇格を決めるトライを決めたリサラ。若手メンバーも最後は忍耐強く戦った

photo by Kenji Demura

 

「もっと楽に勝てる。相手にシンビンが出たところで得点できなかった。あそこで確実にスコアしないと、ワールドクラスのチームには勝てない」という課題をのぞかせながらも、「タフな試合になると思っておたが、最後まで諦めずに勝ち切れた。試合ごとにレベルアップできたし、この大会でファミリーにもなれたと思う。スタートラインに立てた」(小澤キャプテン)と、2年後に控える東京オリンピックに向けて、意義あるコアチームへの復帰を決めた。

 

text by Kenji Demura

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