手の内見せずに勝利を目指すW杯前哨戦
生き残りを狙うメンバーのプレーも注目
米国太平洋時間の24日(日本時間25日)、アメリカ西海岸カリフォルニア州サクラメントでワールドラグビー パシフィック・ネーションズカップ(PNC)第2節、日本—アメリカ戦が行われる。
9月に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)のプールBで直接対決する同士の前哨戦。
18日に行われたPNC第1節のカナダ戦で20—6で快勝を収めた日本代表は6日前とは先発メンバーを8人入れ替え(2試合連続先発出場の藤田慶和はポジションがWTBからFBに変わる)て、敵地での戦いに臨む。
カナダに20ー6で快勝スタートの日本はPNC第2戦のアメリカとのW杯前哨戦を迎える
photo by Kenji Demura
「アメリカでアメリカに勝ってもワールドカップには何の影響もない。彼らに我々の情報をまったく与えない戦いをしていく」
RWC開幕まで56日に迫った時点での直接対決。
エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは10月11日にグロスターでの対戦時とは全く異なるアプローチで前哨戦を乗り切ることを宣言している。
「それでも十分アメリカに勝てる」と、同HCは日本代表のベースが上がっていることに自信を持つ。
先発メンバーはFW第1列が総入れ替えとなるのをはじめ、カナダ戦でプレーチャンスのなかった選手を中心に半数以上が6日前とは違う顔触れになる。
5月9日の韓国戦以来の日本代表での試合となるPR畠山健介ゲームキャプテンは、チームとして、個人として、どのようにアメリカと戦っていくかを以下のように語る。
「個人的には久々の試合なので、みんながやってきたことに追いつけているかのチェックという意味も込めてしっかりやりたい。スクラムもそうだけど、フィットネスの部分、ボールキャーリーなど感覚的な部分もどれくらいなのか確かめたい。戦術の部分はコーチ、スタッフに任せて、選手としてはフィジカルな部分ではしっかり戦っていくんだということをプレーで意思表示することが大事」
PR稲垣啓太、HO木津武士はカナダ戦での途中出場から、今回は先発へ。
スーパーラグビーのシーズンを終えて日本代表に加わった稲垣はカナダ戦での自らのプレーに関して、「感触は悪くなかった」と評価。
「ロータックルを低くは低くなんですが、少しだけ、具体的には数十センチだけ、当たる場所を上げて、相手の真芯に入るようにしてみようかと思っている」と、自らの得意なプレーとの認識を持つタックルをさらに進化させるための個人的なトライアルにしたい考えも語る。
FW第2列、第3列では、NO8ホラニ龍コリニアシが先発復帰。
「セレクションだと思っているので、どれだけフィジカルに行けるか」というホラニにとっては、膝の状態をチェックしながらのプレーにもなる。
カナダ戦では前半10分で退いたSO立川は再び先発して若いメンバーが並ぶBK陣を引っ張る
photo by Kenji Demura
「W杯で違ったプランを持って柔軟に戦っていくためのいいチャンス」(立川)
BKに目を移すと、SH内田啓介にとっては日本代表として2度目の先発出場となる。
「ワールドカップまでに長い時間プレーできる最初で最後の試合になるかもしれない。まず楽しみたいが、最初は向こうも元気だし、前に出てくるので、余裕とか隙とかもないので、最初は先に放って、突破させていく。
フィットネスでは絶対、ジャパンが勝つので、そこで相手がバテてきたなとか、順目に多くなってきたなとなったら、自分が行ったりして賢く戦っていかないと」と、スマートなゲームコントロールを心がける。
その内田とハーフ団を組むのはカナダ戦で目を強打して、前半10分しかプレーしなかったSO立川理道。
「今回は意図的にアタックでワイド、ワイドを使っていくと思う。それをワールドカップでやるとは思わないが、ワールドカップでいろんなチームと戦っていくには違ったプランも持って柔軟に対応していく必要がある。それを試せるいいチャンスになる」と、ワールドカップでの対アメリカ戦を想定した戦いはしないものの、ワールドカップで勝ち抜くためのシュミレーションにはしたい考えだ。
CTB陣は13番はカナダ戦で攻守にスケールアップした姿を見せた松島幸太朗が2試合連続で先発する一方、インサイドには日本代表として初先発となる山中亮平が入る。
「DFのところをしっかりと。相手はデカいと思うので、しっかり止められるようにやっていきたい」と、キックや突破力など得意なプレーを生かすためにも、課題であるDFでどれだけ体を張れるかがポイントになる。
バックスリーはカナダ戦ではWTBで先発してトライを上げた藤田慶和が本来希望するFBに下がり、WTBにはスーパーラグビーから戻った山田章仁、コンディションが良くなったカーン・ヘスケスが入る。
「WTBの2人ともゲームから遠ざかっているので、しっかりコミュニケーションをとって、自分もしっかりリードするかたちで、後ろでワークして、いいカウンターをしていきたい」(藤田)
「フィジカルなプレーができるようになった。スーパーラグビーでの経験を生かし、しっかりコミュニケーションを取って責任のあるプレーを心がけたい」(山田)
RWCへ生き残りをかけた、若いメンバーの激しいプレーにも期待が集まる。
text by Kenji Demura
「フィジカルが強くなった」(ジョーンズHC)との評価を受けるPR稲垣スーパーラグビーの経験を生かしたプレーで貢献したい
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フィジカルの強さ、コミュニケーションの重要さを学んだWTB山田のプレーにも注目だ
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