来秋のイングランドでの前哨戦
「世界一大きなチーム」に臨む

30日、東京・秩父宮ラグビ―場でリポビタンDチャレンジカップ2014第2戦の日本 - サモア戦が行われる。
日本代表は25日に現・国立競技場での最後のテストマッチとなったアジア五カ国対抗2014最終戦で香港を49-8で破り、8大会連続となるラグビ―ワールドカップ(RWC)出場を決めたばかり。
中4日という厳しい条件ながら、来秋のイングランドでの前哨戦となるサモア代表とのテストマッチに臨む。
現在、日本代表キャップ数=81でWTB小野澤宏時と並んでいるLO大野均は4試合連続となる先発メンバー入り。歴代記録を更新する公算が大きくなった。

(text by Kenji Demura)

サモア戦で歴代の日本代表最多キャップ数を更新することになるLO大野
photo by RJP Kenji Demura
進化した日本のスクラムがフィジカルなサモアにどう挑むのか注目だ
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日本がRWC2015のプールBで対戦するのは、南アフリカ、スコットランド、サモア、アメリカの4チーム(対戦順)。
「準々決勝へ行きたい」(FB五郎丸歩バイスキャプテン)という目標達成のため、現在世界ランキング12位の日本としては同18位のアメリカはもちろん、同10位のスコットランド、そして同8位のサモアを倒すことが現実的なターゲットとなる。

「フィジカル面では世界で一番大きなチーム」
エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)は、サモア代表に関してそう表現する。
同HC率いる日本代表がサモア代表と対戦したのは、2年前のパシフィック・ネーションズカップ時(12年6月17日、秩父宮)だけだが、その時は「FWで平均11キロ、BKも平均8キロ重かった」(同HC)というサモアに対して、トライ数では上回りながらも1点差で惜敗(26-27)。
敗れたとはいえ、新体制でスタートしたばかりのチームとしては、手応えを感じる試合ともなった。

ちなみに、2年前のサモア戦でプレーして、今回もメンバー入りしているのは、HO木津武士、PR畠山健介、LO大野均、同・真壁伸弥、FLヘンドリックス・ツイ、SH日和佐篤、SO立川理道、FB五郎丸歩(以上、先発メンバー)、PR山下裕史、LO真壁伸弥、伊藤鐘史(以上、リザーブ)。

その11人中、2年前にすでに121kgの体重を誇っていたPR山下、そしてFLツイ(109kg)の2人を除いた9人の体重が増えていることからもわかるとおり、日本が前回対戦時よりもパワフルなチームになっていることに疑いの余地はないだろう。

「一番、成長したのはセットピース」
ジョーンズHCはA5Nでの戦いを終えて、そう語った。
世界的にみてもフィジカル面ではトップクラスにあるサモアこそ、個々がワンオンワンで負けなくなり、セットも強化された日本代表が成長した姿を披露するかっこうの相手であることは間違いないだろう。

ジョーンズHCは「100%直感」で松島をアウトサイドCTBとして起用する
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サモア戦ではA5Nとは入れ替わるかたちで10番に立川、12番に田村(右端)が入る
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期待の松島はアウトサイドCTBで先発

「ワールドカップでは、ポセッションがキーになる。相手を後ろに下げることも必要だろう。アジアではキックを蹴らなかったがが、ワールドカップを見据えた戦いではキックも重要になる」
ジョーンズHCは「RWCではお互い別のチームになっている」との認識を示しながらも、サモア戦以降はよりキッキングゲームを進化させていく必要も語る。

サモア戦では、SOに立川、インサイドCTBに田村優と、これまでとは10と12を入れ替えた配置となるが、同HCはその意図に関しては「戦術的な入れ替え」と語るのみ。
それでも、「ずっとアタックするというのも大事だが、いいところではキック使っていきたい。蹴って、それが帰ってくればチャンスになるケースも多いし、優(SO田村)さんもゴロー(FB五郎丸)さんも蹴ることができるので、うまくコミュニケーションをとりながら、効果的なキックを使っていきたい」と立川が語るとおり、そこにはより洗練されたキッキングゲームを進めていくためのポジションの入れ替えと見るのが妥当ではあるだろう。

また、マレ・サウ不在のアウトサイドCTBには松島幸太朗を先発起用。
こちらに関しては、「100%直感で決めた」と、同HCは言う。
「いいランングスキルを持っていて、低いタックルも得意。テストマッチレベルで13番ができるかテストしたい」

イングランド行きを決めた香港戦で3トライを奪うなど活躍して、再び14番として先発起用されるWTB藤田慶和は「アジアからパシフィックに移る時に、いつもいい試合ができていない。過去の歴史を断ち切って、新しい歴史をつくりたい。ジャパンに入ってスピードの部分ではすごく上がった。そこの部分では、これからの相手に対しても自信を持ってプレーしていきたい。これから相手はレベルが上がるので、しっかりDFしていくことが課題になる」と、抱負を語る。

パワーアップしたFW陣がフィジカルなサモアに対してどんな戦いぶりを見せるかの一方で若いBK陣がどんなチャレンジをして、どう洗練されたゲームコントロールを見せるのかにも注目だ。

再び14番に入るWTB藤田のトライ量産なるか…
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