RWC優勝候補に匹敵する強豪に対して
「国のために死ぬ」覚悟で臨む日本代表
15日、東京・秩父宮ラグビー場でリポビタンDチャレンジカップ2015初戦の日本代表—世界選抜戦が行われる。
ラグビーワールドカップ2015開幕まで1ヶ月強。
22、29日に予定されているウルグアイ代表戦も含めて、世界ベスト8入りを目指す日本代表の最終セレクション、そして仕上がり具合を最終確認する絶好の機会が続く。
世界選抜戦はRWC2015で着用する日本代表新ジャージーのお披露目機会ともなる
photo by Kenji Demura
「国のために死ねるか」
北米で行われたワールドラグビー パシフィック・ネーションズカップ(PNC)2015から帰国後、24時間を経ないで再び39人のスコッドが発表された日本代表第四次候補選手。
8月7日に行われた、その発表記者会見にて、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチはRWCで戦う選手に必要な要素として、そんな言葉を強調した。
「フィジカルな部分、スキルの部分、タクティカルな部分。そして、感情的な要素もワールドカップで勝つためには大きくなる。どんな状況でも勝ちにこだわるどん欲さが必要になる」
もちろん、それは現在39人に絞られている日本代表候補選手たちに求められる要素であり、それぞれがRWC2015に向けた最終セレクションのチャンスであるリポビタンDチャレンジカップ2015でイングランド行き切符を確かなものにするため、最大限に体を張ったプレーを見せてくれるはずだ。
RWC2015への最終セレクションという位置づけもあるため、3試合とも異なるメンバー構成となることが予想されるリポビタンDチャレンジカップ2015。
初戦の世界選抜戦に関して、ジョーンズHCは「今まで我々が練習してきた成果を日本のみなさんに見せることができるチャンス」と位置づけている。
先発メンバーには、7月中旬から8月上旬にかけての北米での4試合でも主力としてプレーした選手たちが並ぶが、ケガのためPNCではプレーしなかった2人も先発入りしている。
PR三上正貴にとっては、途中出場した5月9日のリポビタンDジャパンシリーズ(アジアラグビーチャンピオンシップ2015)対韓国代表戦以来の実戦。
「チームは PNC でレベルアップしていて、セットプレーもレベルアップしているので、自分もその フォワードの一員としてさらに勢いをつけるようなプレーをしたい。相手は大きいし経験もあるので、ジャパンは低くまと まった強いスクラムを組んでいきたい」と抱負を語る。
一方、CTBマレ・サウにとっては、今年初の日本代表でのプレーとなる。
「厳しい試合になるだろうが、チームメイトもサポートしてくれるはず。世界選抜という 相手にも自分たちのゲームプランを遂行してミスを少なくできれば、十分チャンスがある」と、あくまでも勝利を目指す姿勢を強調する。
photo by Kenji Demura
“仮想・南アフリカ”の側面も
「ワールドカップの優勝候補になれるほど強いチーム」
これが、すでに来日を果たしている世界選抜に対するジョーンズHCの評価だ。
いやはや、本当によくここまで揃ったものだと感嘆をせざるを得ない豪華メンバーで日本代表に対峙してくることになる。
ポジションごとにそれぞれ先発メンバーを紹介していくと、FW第1列は豪州代表72キャップを誇るベン・ロビンソンに、それぞれ元オールブラックスのHOアンドリュー・ホア(83キャップ)、PRカール・ハイマン(45キャップ)の3人。
FW第2列には元スプリングボクスのバッキース・ボタ(85キャップ)と元NZ代表アリ・ウィリアムズ(77キャップ)の巨大LOが並び、FW第3列も11年RWC優勝メンバーで日本のファンにもお馴染みのFLアダム・トムソン(NZ代表29キャップ)と豪州代表15キャップで同U20代表では主将も務めたリアム・ギル、スプリングボクスとして53キャップを誇るピエール・スピースと全く隙のない布陣。
BK陣も日本のトップリーグでプレーしている選手だけを挙げても、SHアンドリュー・エリス(元NZ代表28キャップ)、SOベリック・バーンズ(元豪州代表51キャップ)、WTBニック・カミンズ(元豪州代表15キャップ)と、そのままのチームでRWCに出場しても上位進出を果たしそうな豪華すぎる顔触れが並ぶ。
また、常に世界トップの座を争ってきたと言っていいオールブラックス、スプリングボクス、ワラビーズが並ぶ布陣だけに、RWC2015での日本の初戦の相手である「南アフリカ代表を想定して戦うには最高の相手」(SH田中史朗)ともなる。
前述どおり、先のPNCで間違いなく大きな成長ぶりを印象づけた日本のスクラム、そしてラインアウトが、仮想・南アフリカでもある世界選抜に対してどこまで通用するのか。
「DFシェイプは良くなった」とジョーンズHCが評価し、実際にPNCでも最も被トライ数の少ないチームとなった日本のDFが、世界トップクラスの才能集団と言っていい世界選抜のアタックをいかに止めるのか。
そして、PNCでは「まだアタッキングゲームは時間をかけていなかったのでできなかった」(同HC)という日本の攻撃力はどこまで進化したのかもチェックポイントとなる。
1ヶ月後のイングランドで日本がどんなラグビーをしてくれるのか。
8月15日の秩父宮のナイターは、世界最高峰のプレーを堪能しながらも、同時に日本代表のRWC2015での飛躍を感じられる、そんな最高の舞台となりそうだ。
text by Kenji Demura
CTBサウにとっては昨秋のジョージア代表戦以来の日本代表でのプレー。松島とCTBコンビを組み12番を着ける
photo by Kenji Demura
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