平林泰三
日本協会公認A級レフリー
大会名称: タイ・トラディションマッチ
大会会場: SCGスタジアム(タイ・バンコク)
開催日: 2013年12月7日
宿泊: ノボテル サイアムスクエア

【マッチオフィシャルズ】

レフリー: 林泰三(日本協会)
アシスタントレフリー: イチチャイ(タイ)
タワチャイ(タイ)
バンディット(タイ)
ビデオレフリー: ポンチャイ・プラチャニオン(タイ)

【スケジュール】

12月5日 PM 羽田空港からバンコクに移動
12月6日 AM バンコク空港に到着、タクシーでホテル移動、チェックイン、リカバリーセッション
PM スタジアム視察
タイ協会ディナー、バンコクスポーツクラブ
12月7日 AM タイ協会とミーティング
PM プレマッチミーティング、 試合
ポストマッチディナー
12月8日 AM リカバリーセッション
PM タイ協会とミーティング
12月9日 AM タイ協会とミーティング
PM チームコーチとミーティング
バンコク空港より東京へ出発
12月10日 AM 帰国

【担当試合】

ワチェラウッド 27-22 キングスカレッジ

【まとめ】

タイ協会から日本協会へ要請があり、トップリーグシーズン中であったが、タイ・バンコクへ遠征してきた。今回の試合は、タイ国内で最大の試合という位置づけで、タイのラグビーとしては非常に重要な1戦であった。ワチェラウッドとキングスカレッジは、それぞれが非常に古くからラグビーをやっている学校で、小学校から高校までの一貫教育をしている大きな学校である。トラディションマッチと名付けられている当試合については、それぞれの学校を卒業した大学生とシニアの選手から編成しており、両チーム共に、タイ代表選手を多く擁したチーム編成となっている。
この試合は、日本で言う早稲田大学対慶応大学の伝統の一戦に近い格好で、ワチェラウッドはタイでラグビーが発祥した学校でもあり、対抗戦形式で毎年当番校を交互に担当し運営している。

これまでの過去戦歴は、キングスカレッジが8連勝をしており、2年前には同点の年もあったが、その時にもペナルティーキック合戦でキングスカレッジが勝利している。

試合は、SCGスタジアムという名前のタイサッカープロリーグに加盟するプロチームの所有する立派なスタジアムで行われた。約12000人の観客収容が出来るスタジアムは、8割ほど観客が埋め尽くし、非常に熱気のある大歓声の中での80分間となった。

試合背景が非常に複雑で、プレースタイルもラグビー自体がアップデートされていない、その反面、期待度や理想イメージが非常に高いギャップがあり、とても難易度の高い試合であったが、積極的にコミュニケーションを取り、出来るだけ良いテンポでゲームを止めずに試合を進行し、現在のゲームトレンドの部分の指針を強く示すように心がけて試合をレフリングした。

ゲームの雰囲気も含め、非常に高い強度でラグビーが出来たのは自分にとっても、タイラグビーにとっても良い事であった。

タイ協会に限らず、アジアのセカンドティアの国々の国内ラグビーは同じ傾向であると思うが、現代ラグビーのゲーム構造やレフリングがアップデートされておらず、未だに以前の解釈やプレー傾向が強く残っている。自分の今回の求められる役割を考えた時に、ラグビーをレフリーの視点からアップデートするという事に価値があると思い、遠征期間中に多くのミーティングがあったが、終始、現代ラグビーの情報アップデートに努めた。

今回、タイ国内でも1年に1度しかない非常に貴重な経験を頂き、タイ協会へは多大な感謝を致します。アジアンスクラムのプロジェクトの一部として今回の活動を寄与させて頂くと共に、同様のアジアラグビーへの貢献の機会を再び増やして、アジアトップレフリーとしてアジアの強化普及を継続して行きたいと思います。