RWC2015プールC展望
王者NZ、アルゼンチンが2強か


  • ・ニュージーランド(前回優勝)
  • ・アルゼンチン(同ベスト8)
  • ・トンガ(同プール戦敗退)
  • ・ジョージア(同プール戦敗退)
  • ・ナミビア(同プール戦敗退)

前人未到のRWC2連覇を狙うニュージーランド(1位)と先のラグビー・チャンピオンシップで初めて南アフリカを破ったアルゼンチン(8位)という南半球の雄が2強。
その一方で、今年7〜8月のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)で日本をブレイクダウンで圧倒したトンガ(11位)、強力スクラムのジョージア(16位)も自分たちの強みを生かした戦いを徹底すれば、ダークホースになる可能性を秘めている。

8月15日にシドニーで豪州に敗れたNZだが、翌週に地元オークランドで行われたリターンマッチ(ブレディスロー杯2)では、41—13で豪州を返り討ちにしてみせて、圧倒的な修正能力の高さを見せつけた。

長らく、NZのみならず世界ラグビーの顔として君臨してきたFLリッチー・マコウ主将にとっては、イングランドW杯がオールブラックスとして最後のプレーの場となる公算が高い。
史上初のW杯2連覇を2大会連続主将として成し遂げられるのか。
前回W杯では太もものケガのため、大会途中で無念のリタイアを経験したテストマッチ世界最多得点記録保持者のSOダン・カーターにとっても、自らの手でエリスカップをものにする最後のチャンスになるだろう。
FLジェローム・カイノ(元トヨタ自動車ヴェルブリッツ)、CTBマア・ノヌー(元リコーブラックラムズ)、同ソニー・ビル ウィリアムズ(元パナソニック ワイルドナイツ)など、日本のトップリーグでプレーした経験を持つ選手たちも再び主力としてプレーしそうだ。
また、昨秋、マオリ・オールブラックスの一員として来日し、迫力ある走りで日本のファンの度肝を抜いた13人制リーグラグビー出身のWTB/FBネヘ・ミルナー・スカダーの存在も見逃せない。

史上初めて南アフリカを破った試合では、ベテランSOフアン・マルティン・エルナンデスの完璧なゲームメイクが光ったアルゼンチン。その一方で、前回大会以降、主にプーマスの10番を着けてきた、自らが仕掛けるのが得意なSOニコラス・サンチェスもおり、RWC2015本番ではどちらが主に指令塔でプレーするのかによってチームの戦い方も変わってきそうだ。
南ア戦でWTBフアン・イモフが3トライを挙げるなど、3位となった07年大会よりもBKのトライ能力が高い印象。
もちろん、HOアグスティン・クレビィやPRマルコス・アジェルサなど、長らく欧州のトップチームでプレーしてきた世界有数のFW第1列を擁するスクラムも相変わらず強力だ。

どんな大会でも序盤戦で苦しむ傾向のあるニュージーランドと初戦で対戦するのは、ある種のアドバンテージかもしれない。
07年大会開幕戦でいきなり地元フランスを破ったようなアップセットを起こすか、そうでなくとも王者を追いつめるようなパフォーマンスを見せて勢いに乗りたいところだ。

4年前は日本に完勝し、フランスも退けたトンガは8月3日のPNC最終戦でまたも密集でのボール争奪戦で日本を圧倒。
コンタクトエリアの攻防では2強を苦しめそうだ。

主力がフランスなど欧州のトップチームでプレーするジョージアの強みはもちろん強力スクラム。
NO8マムカ・ゴルゴゼ主将が「自分たちのPRはトップ14(フランス1部リーグ)でベスト」と豪語するFW第1列がスクラムで相手を追いつめれば、勝機が見えてくる。
RWC未勝利のナミビア(20位)だが、イングランドのプレミアシップで長らくベストバックローの評価を受けているサラセンズ所属のベテランFL/NO8ジャック・バーガーの激しいプレーは再び注目を集めそうだ。

text by Kenij Demura

DSC_4757

史上初のRWC2連覇を狙うNZ。マコウ主将は再びオールブラックスを頂点に導けるか
photo by Kenji Demura

※()内は9月14日付のワールドラグビー世界ランキング