競技規則につきまして、ワールドラグビーよりこのほど、下記の通りルーリングに関する通達3件が出されました。
日本協会でもこれを受け、ここに通知いたします。
関係者各位へ周知徹底いただけますようよろしく願い申し上げます。


ルーリング5 (「競技規則第3条 プレーヤーの人数 – チーム」について)

ワールドラグビーの15人制ハイパフォーマンスマッチオフィシャルマネージャー、Joel Jutge氏が、以下のような競技規則の明確化を求めた。

質問:

  1. あるチームのスターティングメンバー23名の中に、タイトヘッドプロップ(以下、TH))をプレーできるプレーヤーが2名しかいなかったとする。そのチームの先発のTHが負傷して交替要員のTHが出場、その交替要員のTHも一時的交替となった(出血、もしくは、HIAのため)。このチームには、次にスクラムが行われる際に適切に訓練されたTHがもういないのだが、交替のプレーヤーを出すことはできるのか?
  1. もしこのチームが交替のプレーヤーを出すことができるのなら、次のスクラムはどのように行われるべきか?
  1. もしこのチームが交替のプレーヤーを出すことができるのなら、一時的交替が正式な交替となったとき、どうなるのか?

ラグビー委員会の指定メンバーによるルーリング:

各質問に対する回答:

  1. はい。そのチームは、交替のプレーヤーを出すことができる。
  2. 15名によるアンコンテストスクラム。
  3. 一時的交替が正式な交替となった場合、試合はアンコンテトスクラムによって続行されますが、人数は14名である。

完全を期すため、以下、参考までに記す:

競技規則の定義より:

「交替のプレーヤー Replacement」負傷した味方のプレーヤーと交替するプレーヤー。
「入替えのプレーヤー Substitute」戦術的理由で味方のプレーヤーと入替わるプレーヤー。

例1:       3番が負傷し、18番(THの交替要員として申告されている)と交替した(上記の定義を参照)。その後、18番が負傷したら、チームは14名で試合を続け、スクラムはアンコンテストスクラムとなる(競技規則3.5 (h)、(m)、および、(t))。

例2:       3番が18番(THの交替要員として申告されている)と入れ替わった(上記の定義を参照)。その後、18番が負傷したら、3番が戻ることができ、試合は、コンテストスクラムで続行される(競技規則3.5 (r)、(s)、および、3.3)。

例3:       3番が負傷し、18番(THの交替要員として申告されている)と交替した。その後、18番が出血による一時的交替(競技規則3.10)、または、頭部外傷のための評価(HIA)のため一時的交替(競技規則3.11)となったら、スクラムは18番が戻るまでアンコンテストスクラムとなる。18番が戻らない場合は、チームは14名で試合を続け、スクラムはアンコンテストスクラムとなる(競技規則3.5 (h)、(m)、および、(t))。

例4:       3番が18番(THの交替要員として申告されている)と入れ替わった。その後、18番が出血による一時的交替(競技規則3.10)、または、頭部外傷のための評価(HIA)のため一時的交替(競技規則3.11)となったら、3番が戻ることができ、試合はコンテストスクラムで続行される(競技規則3.13)。

この手順を推進して競技規則3.5 (g)を適用するため、チームは、各プレーヤーがフロントローのどのポジションにおいて適切に訓練され、プレーする経験を持っているのか、試合前に(出場チームシート上で)明確に申告しておくこと。これらのプレーヤーは、フロントローの複数のポジションでプレーするように言われる場合がある。


 

 

ルーリング6 (「競技規則第3条 プレーヤーの人数 – チーム」について)

ウェールズ協会は、以下のシナリオについて、明確化を求めた。

シナリオ1

3番のプレーヤーが負傷し、18番と交替した(18番は、タイトヘッドプロップの交替要員として申告されていた)。もし、その後、18番のプレーヤーが出血による一時的交替(競技規則3.10)、または、頭部外傷の評価(HIA)のための一時的交替(競技規則3.11)となったら、そのチームは15名で試合を続けることはできるが、スクラムは18番が戻るまでアンコンテストスクラムとなる。18番が戻らない場合は、チームは14名で試合を続け、スクラムはアンコンテストスクラムとなる(競技規則3.5 (h)、(m)、および、(t))。

上記のシナリオにおいて、もし18番がフィールドオブプレーに戻らず、そのチームが14名にしなくてはならない場合、フィールドを離れるのは誰なのか、明確化を求める。

  1. a) アンコンテストスクラムのために18番と代わったプレーヤーなのか
  2. b) チームの人数を14名にするために、主将/監督が、フィールドオブプレーを離れるプレーヤーを選ぶことができるのか

ラグビー委員会の指定メンバーによるルーリング:

ラグビー委員会の指定メンバーがこのルーリング要請を検討した結果、フィールドオブプレーを離れるのは、アンコンテストスクラムのために18番と代わったプレーヤーである。


 

 

ルーリング7 (「競技規則第15・16・22条」について)

アイルランド協会による上記競技規則の解釈に関する明確化の要請。

質問:

アイルランド協会では、ボールを拾ったプレーヤーがいて、そのプレーヤーの手の中にあるボールを相手プレーヤーが蹴る行為が増えていることに、懸念を抱いている。

この行為は主に、ブレイクダウン/タックル/ラックでボールが獲得され、一人のプレーヤーがそのボールを拾った時に行われている。その際、相手プレーヤーがボールを拾ったプレーヤーの手の中にあるボールを蹴りに行っている (この相手プレーヤーは、競技規則に従ってブレイクダウンに入ってきている、または、ブレイクダウンの中に留まっている)。

アイルランド協会では、この行為が以下のどちらでもないと考えている:

(i)             公正なボールの争奪

あるいは

(ii)            競技規則に従った形でプレーヤーから取り上げる手段とみなすことができる

また、この行為は負傷が起こすことも予測ができる。レフリーは、解釈と一貫性の面で難しくなる。
プレーヤーの手によってコンタクトが生じた場合、不正なプレーとみなすこともできる – これについては、きちんと見て判断することが難しい。
ボールが落ちた場合、ボールを保持していたプレーヤーがボールを失ったわけでも、前に落としたわけでもないのに、レフリーがノックオンの判断をしている。

アイルランド協会では、フィールドオブプレーの中でボールを保持しているプレーヤーがトライをしようとしているときに、そのプレーヤーが持っているボールを蹴る行為について扱っている以下の競技規則(第22条、および、第16条)にいくつかの解釈のヒントを見出した(ただし、タックルされたプレーヤーに関するものであるが):

競技規則22.4

(e)          ボールライン近辺でタックルされた場合: ボールキャリアーがゴールライン近くでタックルされた後、直ちに手を伸ばしボールライン上もしくは越えてグラウンディングした場合、トライが得られる。

(f)           この状況では、防御側プレーヤーは、立っているのであれば、タックルされたプレーヤーからボールを奪いトライを防ぐことができるが、ボールを蹴ってはならない。

競技規則15.6 (j)       - この条文は、上記の競技規則22.4 (f)と酷似している。

アイルランド協会では、競技規則の論理的根拠のためにも、ブレイクダウンにまつわる上記に述べたようなシナリオについて取り扱い、競技規則ではいかなる状況においてもボールを保持していたプレーヤーの手の中にあるボールを蹴ることは規則に反することになる、ということを記しておくべきと考える。

ラグビー委員会の指定メンバーによるルーリング:

指定メンバーは、いかなる状況においてもボールを保持していたプレーヤーの手の中にあるボールを蹴ることは違反であることに同意する。このような行為の例が、以下のリンクで閲覧可能である: https://www.youtube.com/watch?v=4mONaLz6Ry4&feature=youtu.be.

この行為に対する制裁は、違反したチームに対するペナルティとするべきである。