早稲田大学 29-11 筑波大学【ファイナルステージ 2014年1月2日(木)/東京・国立競技場 】 早稲田は大学選手権初出場のSO小倉が復帰。一方の筑波もWTB竹中がスタートメンバーに名を連ね、風上の早稲田のキックオフで第50回大学選手権準決勝の第一試合が始まった。 先制は筑波。前半6分に早稲田10mライン付近から風下の難しい状況下、SO山沢がPGを成功させた。 勢いに乗る筑波は、早稲田22mラインで早稲田のノックオンからのターンオーバーを素早く右に展開。SO山沢からFB山下と繋ぎ、山下が早稲田WTB深津を振り切り右隅にトライ。ゴールは不成功となるがスコアを8対0とし試合序盤を優位に進める。 しかしFWのセットプレーに優る早稲田は、筑波ボールのラインアウト・スクラムにプレッシャーをかけ続け、徐々に早稲田ペースの試合展開とし、14分には早稲田SO小倉がドロップゴールを狙うが僅かに外れた。 更に早稲田は筑波陣内で試合を進め、20分に筑波ゴール前中央のラックから右に展開し、FL金、CTB飯野と繋げ最後はFB藤田が右中間にトライ。ゴールも成功し7対8と追い上げが始まった。 26分には筑波ボールのスクラムを早稲田FWが厳しいプレッシャーをかけ、筑波のコラプシングの反則を誘い、SO小倉が簡単にペナルティゴールを成功させ10対9と逆転。 その後は一進一退を繰り返すが、セットプレーで優位の早稲田が、ほぼ7割のボールを支配し2点のリードでハーフタイムとなった。後半は風上となる筑波のキックオフで始まり早稲田陣内での試合が続く。 筑波は、マイボールラインアウト・スクラムを修正し、確実にBKにボールを供給出来るようになり、試合を優位に進める。 試合は早稲田陣内で進み、後半17分には早稲田ゴール前で、筑波FWがしぶとくラックサイドを突くが、最後はペナルティを犯しハーフライン付近まで戻される。 早稲田は後半20分となっても、筑波陣には全く入れず辛抱のディフェンス時間が続く。 しぶといディフェンスを続けた早稲田は、後半25分に筑波のインゴールノックオンのボールを拾い、大きく右に展開し筑波ゴール前迫るがノックオンとなる。 チャンスを逸したかと思われたが、早稲田FWはこの筑波ゴール前の筑波ボールのスクラムを押込み、SH岡田がスクラム内のインゴールにあるボールに手を伸ばし押えてトライ。ゴールも成功しワンチャンスを物にし、15対8と点差を広げた。 その後早稲田は、筑波にペナルティゴールを許すが、34分には筑波陣内でフェーズを重ね、ゴール中央ラックからのボールをSO小倉がフラットに内に返し、FB藤田が真直ぐに走り込みトライ。ゴールも成功し22対11。 38分には左サイドに大きく展開し、最後はWTB深津が左隅にトライを取り試合を決めた。 筑波は風上の後半25分間早稲田陣内に攻め込んだものの、早稲田の堅いディフェンスを崩せず無得点に終わった事が逆転に繋げられなかった要因。 逆に早稲田は、25分間ゴールラインを背にしながら、ゴールを割らせず且つノーペナルティで乗り切ったしぶといディフェンス、強力フロントローのプレッシャー、6番金と7番布巻の両フランカーの働き、SO小倉が戻ったBK陣等完成度が上がったチームとしての試合となった。 (児玉 隆一郎) photos by RJP H.Nagaoka 早稲田大学の後藤監督と垣永キャプテン 早稲田大学 ○後藤禎和監督 「筑波大学さんの最大の強みはブレイクダウンとディフェンスですので、早稲田は真正面から受け止めて正攻法で打ち勝とうと臨みました。やはり、筑波さんはブレイクダウンに力を掛けてきましたので、前半は思うようにゲームできませんでした。風下の後半、若干、エリアマネジメントをもう少しうまくやってくれよというところもありましたが、選手はあの厳しい時間を耐え、最後の10分で3つトライを獲り、勝つことができました」 ──藤田選手は? 「あれだけスケールの大きいプレーヤーです。ボールを持ったら自由に動いていいよと言っています。あいつにボールを持たせて、他がサポートするイメージです」 ──決勝戦に必要なのは? 「精神力です」 ○垣永真之介キャプテン 「筑波さんのブレイクダウンを練習から想定してきましたが、前半、予想を上回ってかなり苦しめられました。後半、かなり攻め込まれたが、抑えることができて課題を克服できたかなという気がします。とはいえ、他の課題もありますので、しっかり準備して決勝に臨みたいと思います」 ──スクラムの手ごたえは? 「対抗戦から筑波さんはスクラムを修正されて、簡単に押せませんでした。堅いという印象です。後半のスクラムトライだけは、うまく押せました。選手間では、毎回、あんな風に押せないものかと声が出ました」 ──スクラムの収穫は? 「まず、一つもペナルティがなかったことです。よく修正できたと思います。フロント3が話し合って、一本、一本試行錯誤して、結果、最後はうまくはまってくれました。誰一人、手を抜かず、最高の形づくりができ、セットで押し込みまくることができました」 ──藤田選手の出来は今一つだったが? 「一度もミスしないプレーヤーなどいません。合流したのは11月でしたが、真摯に早稲田のラグビーを受け止めてくれて、一生懸命やってくれています。信頼できる素晴らしいプレーヤーです」 ──終了後、内田キャプテンと交わした内容は? 「必ず優勝してほしいとの一言だけでした」 ──決勝戦に必要なのは? 「気合と根性です」 photos by RJP H.Nagaoka 筑波大学の古川監督と内田キャプテン 筑波大学 ○古川拓生監督 「本日はありがとうございました。素晴らしい環境で多くの人の前で試合できましたことを嬉しく思っております。前回、早稲田さんに負けた分析から、ボール確保とディフェンス、2つのことに絞って練習してきました。まず、いかに自分たちがボールを確保するかでしたが、ここは早稲田さんもこだわっている部分で、思うようなラグビーをさせてもらえませんでした。ハーフタイムにしっかり確認したが、結果としてスコアを積み上げられてしまいました。選手は終始、ディフェンスをやり切ってくれましたが、ボールを持つ時間が少なかったと思います。最終的にここを超えれば、また、一歩前へ進めるチームだっただけに残念です。しかし、1年間、成長し続けてくれたチームに感謝したいと思います」 ──セットピース全体では? 「ラインアウトはしっかり外せていて、フィードまでやることは確認できていました。しかし、球出しまでがマイボールセットですので、取れていなくはなかったが、生かしきれなかったと思います」 ○内田啓介キャプテン 「本日はありがとうございます。対抗戦で負けたところ、今回リベンジしようと臨みました。1年生からのターゲットである日本一を獲るシナリオを描いていましたが、達成できず悔しいです。しかし、結果がすべてです。下級生につなげるものをつなげていきたいと思います」 ──スクラムは? 「対抗戦では、スクラムのすべてがうまくいかず、セットプレーを見直して、もう一回、磨きをかけて前回より勝負できていたと思います。球出しもうまくできました」 ──自陣ゴール前で押されたのは? 「…強かったです」 ──後半、FWで近場を狙ったのは? 「FWで前に出て、しっかりタックルも外せていましたし、時間もあり風上ということもあり、しっかり前へ出ようとしました」 ──後半最後のミスは? 「焦り自体はまったくなく、アタックしていてプレッシャーは感じなかったが、ああいうキツイ状況でスコアできませんでした」