マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

帝京大学 45-14 慶應義塾大学
【ファイナルステージ 2014年1月2日(木)/東京・国立競技場 】
新年2日、正月の風物詩、国立競技場から全国大学ラグビーフットボール選手権大会ファイナルステージ準決勝の第2試合は帝京大学vs慶應義塾大学の一戦。
12月1日の対抗戦では75対0と帝京が圧倒しただけにこの1ヶ月で慶應がどれだけ立て直してきているか、伝統の魂のタックルで活路を見出すことができるか。

慶應のキックオフで試合が始まった。

4分、帝京の左右への速いパス回しに慶應も必死のタックルでディフェンスをするが、最後はついていけずにWTB磯田泰成が左側から回り込んでトライをあげ、5-0。

15分、慶應モールを帝京は早い集散から押し勝ち、帝京のSH流大が右側へ持ち出し素早く相手の裏へゴロキックで右WTBを走らせる。タッチラインを走った帝京WTB森谷圭介がキャッチしてそのままインゴールへトライ。10-0とする。
36分、慶應は帝京ゴール前で再三ラックを作り少しずつ押し込んでLO白子雄太郎が潜り込んで中央にトライをあげ、FB児玉健太郎がGを決めて10-7。

両チームともにパスミスやノックオンが多く、不必要なペナルティーによっていい流れを完全に止めてしまっている。後半、どちらが早く立て直して自分達のペースに持ち込めるのか。まだ試合の行方は分からない。

後半は帝京のキックオフで始まった。

3分、慶應の早い出足のディフェンスを帝京SO松田力也がかわして中央にトライをあげCTB中村亮土がGを決めて17-7。
10分、帝京はゴール前で慶應ボールのスクラムを押し込んでボールを奪い、HO坂手淳史がラックから潜り込んでインゴール右へトライをあげ、CTB中村がGを決めて24-7。
13分、帝京FL杉永亮太が反則の繰り返しのシンビンで10分間の一時的退出。
16分、帝京ゴール前のノックオンでもらった右ゴール前のスクラムから慶應は、No.8森川翼が右サイドをついて右隅へトライをあげ、FB児玉がGを決め24-14。
24分、帝京ゴール前のスクラムからFLマルジーン・イラウアが飛び込んでトライをあげ、CTB中村がGを決めて31-14。
31分、帝京のラックから左への展開に慶應ディフェンスは一か八かの飛び出しでパスカットを図るが及ばず、帝京FB竹田宜純に渡り、左側へトライ。CTB中村がGを決めて38-14。
40分、帝京はゴール前の右ラックから出たボールを左へ展開してCTBからSOへポジションチェンジした中村から走り込んできた22番CTB野田滉貴へボールが渡り、中央へトライをあげGを中村が決めてノーサイド。
対抗戦での対戦よりも点差は縮まったが、両チームともにミスが目立つ試合。しかしスピード、スキルそして体格で上回る帝京が後半に入ってジワジワとボディーブローのような攻撃で慶應から5トライを奪って勝負が決まった。

これにより1月12日の大学選手権ファイナルステージ決勝は帝京大学vs早稲田大学に決まった。
帝京大学の前人未到の5連覇か、早稲田大学の16回目の優勝なるか。
果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのか?1週間後の決勝が待ち遠しい。

 

(奥山禎晴)
試合写真 試合写真 試合写真 試合写真

 

photos by RJP H.Nagaoka
会見リポート
 

監督・キャプテン
帝京大学の岩出監督と中村キャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督

「よろしくお願いします。ゲームの内容は見ての通りで、素晴らしい慶應義塾大学さんのファイトあふれるプレーに、久しぶりに受けに回る選手を見ました。とても良いゲームだったと思います。次のステージに進めることを前提に、願わくば、厳しいゲームになってくれればと思っていました。これまで、あまり厳しいゲームがなかったので。学生が、ここで、我慢して積み上げる厳しさを学んでくれればと思っていました。少し、つまずきそうになるゲームを経験することによって良い火を点けてもらって、慶應義塾大学さんの素晴らしい気持ちの入ったタックルを我々が引き継いで、しっかり決勝で出していきたいと思います」

──うまく行かない時間帯の不安は?

「ありませんでした。前半は選手がいらいらしないように、そこをコントロールするようにと観ていました。ゲームなので、ラッキーバウンドだったり、相手の良いプレーだったり、キックだったり、うまく行ったことが重なるとスコアされます。クロスゲームだと相手も元気回復します。若い選手だと、ちょっと不安を感じたりもします。ハーフタイムにポジティブな選手を見て、ぶれるとは思いませんでした。自信があり、やることが分かっていても、リアルなストレスを感じるのは選手たちです。しかし、我慢強く切り返すだろうと。後半は安心して見ていました」

──早稲田との決勝戦では?

「1年間の積み上げを双方出せるように。相手の監督もキャプテンもインタビュー等で「帝京」の名前を出してくださっていますが、相手に対して成長が感じられるような、圧倒した、充実感ある、80分間集中し切って終わるゲームをしたいと思います」

○中村亮土キャプテン

「よろしくお願い致します。あけましておめでとうございます。今日の試合のプレーヤーは慶應義塾さんのすごい気持ちを見せ付けられました。タックルもそうですが、試合が一時止まっている時も、コミュニケーションをとっていらっしゃって、勉強になりました。悪い時間帯も自分たちの流れの時間もありましたが、すごく反省点が見つかる良いゲームでした。この経験を生かして、早稲田戦に向けてしっかり準備していきたいと思います」

──反省点とは?

「ペナルティ、そこに尽きると思います。自分たちの基準とレフリーの基準が一致しなかったのに、修正ができませんでした」

──決勝で勝敗を分けるのは?

「お互い、どちらが強みを出せるかだと思います。今日のウォームアップは、今シーズンで一番良かったと思います。しかし、コントロールしていく部分と熱くなる部分の使い分けがうまく行きませんでした。ここまで来たら、一年間やってきたことを出したいと思います」

──流れを良くするために?

「ペナルティで流れが崩れているのは各自明確で、焦りもなかったですし、一言で変わるということもなかったです。チームとしてペナルティを止めようと、BKもFWも時間が止まった時にコミュニケーションをとっていました」

──決勝では?

「最後に、もう1試合、国立で試合できる幸せを感じています。最後は勝ち負け関係なく、笑顔で終われるような試合にしたいと思います」

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photos by RJP H.Nagaoka
 

監督・キャプテン
慶應義塾大学の和田監督と濱田ゲームキャプテン

慶應義塾大学

○和田康二監督

「本日はありがとうございました。王者帝京大学さんに、どれだけチャレンジできるかと臨みましたが、我慢できませんでした。選手は本当によく頑張ってくれました。相手にこれだけトライを獲られたのは、相手が上だったとしか言いようがありません」

──チャレンジのイメージは?

「ディフェンスで、反則しないで、止め続ける意識です。守ってばかりでなく自陣からも回そうと。ラインアウトは相手をよく研究してマイボールにしていたと思います」

──対抗戦から修正できたところは?

「対抗戦の時より、組織で守ることができていたと思います。規律の面で、徹底してきました。アタックでは積極的に回したが、最終的にスコアできていません。そこが帝京さんとの大きな差です。うまさだったり、強さだったり」

──監督1年目として?

「まず、選手は、今年、国立でベスト4として戦うことを目標にしてきて、そこに立てました。選手がよく頑張ったと思います。私としては、帝京さんとの差を埋めることができなかったことが課題です。アタックも、ディフェンスも、修正が必要です。ただ、選手も3年生が多いチームですので、来年に向けて良い経験になったと思います」

○濱田大輝ゲームキャプテン

「本日はありがとうございます。慶應義塾として、ディフェンスを80分我慢しつつ、80分アタックし続けることがテーマでした。選手は、それを実行できましたが、王者帝京さんには勝てませんでした。しかし、慶應義塾が成長できる部分も教えていただいたので、さらにチームとして成長していきたいと思います」

──チャレンジのイメージは?

「アタックの継続です。自陣からもずっと回して継続するイメージです。自陣からも外へ回して外で保持するラグビーをやりました。ラインアウトは夜遅くまで研究していた成果が出たと思います」