マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

帝京大学 76-19 大東文化大学
【セカンドステージ 2013年12月22日(日) /東京・秩父宮ラグビー場 】
第50回 全国大学ラグビーフットボール選手権大会 セカンドステージ(プールA)最終戦、晴天の秩父宮ラグビー場での第2戦は2大会ぶり21回出場し3回の優勝実績のある大東文化大学と15大会連続211回出場し4年連続優勝し強豪揃いの関東大学対抗戦Aを1位通過の帝京大学が戦いました。両チームの大学選手権大会での戦いは36回大会(H11)で大東文大が30-15で勝利しています。2ndステージは両チームここまで2勝しており勝者チームが1月2日開催のフィナルステージに駒を進めます。

前半のキックオフは風上サイト(北スタンド)に陣を取った大東文化大からのが風上(北風5m/s)を利用し前半どれだけ帝京から得点を奪う事が出来るかが大きな鍵となります。
試合は大東大の風上からのキックで開始されました。開始早々の1分に帝京はキックをキャッチしたボールを右オープンに早い転回で展開し大東陣22m付近まで攻め込んだ。大東陣22m付近での大東ノックオンより1stスクラムより出たボールを左サイドに展開し(11)磯田選手がトライ(GK成功)を奪い7-0と先制、その後も帝京はリスタートも速いテンポでアタックを続けワイドに大東陣に攻め込む。前半6分には大東陣ゴール前15M付近でラックよりボールを繋ぎ(6)マルジーン選手がトライ(GK成功/12-0)を奪い大東大を突き放す。対する大東は前半9分に自陣22m付近で帝京の落としたボールを(14)ホセア選手が帝京陣10m付記まで持ち込み(9)小山選手にボールを繋ぎトライ(GK成功)し14-7とした。その後も帝京は大東陣に深くまで攻め込み大東大の必死の攻防が続く。帝京大は前半21分大東陣22m付近でのスクラムでの相手ペナルティ(コラプシング)を誘いペナルティゴールを確実に決めて17-7としたが続く21分に大東は帝京陣15m付近で相手選手のパスを(11)浅井選手がインターセプトしトライを奪う(GK成功/17-14)と反撃、大歓声の大東応援団。しかし帝京はその後も積極的に攻め続け自陣10m付近から敵ディフェンスの隙を突いて(13)牧田選手が敵陣20mまで走り込みラックから出たボールを(12)中村選手→(2)竹井選手と繋ぎトライ(GK成功/24-14)、続く33分にも敵陣ゴール前10m付近ラックから出たボールを(8)大和田選手がトライを奪い(GK成功)し31-14と帝京大ペースで前半を折り返した。
後半は、風上から攻める帝京は大東陣に積極的に攻め続け後半6分には(14)森谷選手がトライ(GK成功/36-14)。大東も必死の攻防の中で自陣10m付近ラックよりボールを左オープンに転回し(14)ホセア選手が相手選手を引き付け(11)浅井選手へと絶妙なパスで繋ぎトライ(GK失敗/36-19)とするが反撃もここまで。帝京は大東のスクラムからの(8)長谷川選手のサイド攻撃をマークし確実に潰し相手に攻撃のチャンスを与えず、バックス攻撃も相手ディフェンスの裏を狙うグラバーキックを有効に使いその後6トライ4ゴールを奪い結果76-19と勝利した。
帝京大は勝点「6点」を確実に取り総得点を「21点」とし年明け1月2日に国立競技場で行われるファイナルステージ(準決勝2試合目/14:00Kick off)で慶應義塾大学と決勝進出を懸けて戦う。

(佐藤克則)
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photos by RJP H.Nagaoka
会見リポート
 

監督・キャプテン
帝京大学の岩出監督と中村キャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督

「今日の試合では3本獲られましたか。インターセプトなど、良い体験ができたのではないでしょうか。正直、選手たちの心情は、どこかで反対の誘惑との戦いがあったのでは。厳しさに欠ける、少し楽観したゲームに入る心配がないとは言えないと思っていました。一生懸命やっているが、原因を自分たちでつくってしまう。インターセプトは、相手のディフェンスが崩壊しているときにやってしまいます。心の隙と、言葉は妥当でないが、相手の破れかぶれみたいな部分にはまったところが2,3本ありました。ハーフタイムに学生の前向きな面を感じて、良い経験になったと感じました。暮れの最終戦は、毎年、選手の微妙な部分とチームの成長が感じられます。次戦はベスト4で、対抗戦は大勝したが、慶應義塾さんのここまで来たプロセスの厳しいところを踏まえ、帝京としての厳しい思いをぶつけていきたいと思います」

──今日のプロセスに感じたことは?

「全然ありません。ただ、監督として、常に、万が一の手を考えています。学生にはそういう方向へ行かないよう言うのですが、より良くしたいための厳しさと受け止めてほしいです。注意しなくても、学生たちが反省を含めて感じてくれています。想像するに、自分たちのファイティングスピリットを出す試合となり、大切な経験の場となったと思います」

──ハーフタイムの指示は?

「すでに学生たちが話し合っていました。僕は彼らの気持ちを整えるだけで、リスタートの心構えだけを言いました」

──慶應義塾戦は?

「Cグループからどこが来るのか、今日の結果待ちでしたので、これから慶應義塾さんを分析します。25日に慶應義塾さんとB,C,D戦を組んでいたので、喜んで相手できます。帝京としては、今日のゲームのとおり、良い意味でボールを動かしたいが、そこだけにこだわらない、FW,BKの強みを生かして慶應義塾さんのウィークを突いていきたいと思います」

○中村亮土キャプテン

「よろしくお願いします。今日の試合は満足する試合でもなく、悲観する試合でもない、次のゲームに続く良い試合だったと思います。大東文化さんは、試合前から勢いのある良いチームと感じました。自分たちも受けてしまうシーンがあったし、試合中、思い切って自分たちがやれることをやっていこうと言って、修正できました。これからも一歩一歩上がっていきたいと思います」

──1対1のタックルを外されていたが?

「大東さんのアタックは、これまで戦ってきた相手とはちょっと違って、ワイドラインでした。そのため、こちらの一人一人のディフェンスが広がって、そこにスピードを付けて走ってくるので、着いていけなかった部分がありました。その変化に早く対応できず、トライされました。ディフェンスは1対1でやるのでなく、組織的にできるはずです。修正したいと思います」

──次は大勝している慶応義塾だが?

「対抗戦とは、選手も違うし、まったく違うチームだと思います。トーナメントで環境も違います。自分たちはしっかりと戦いたいと思います」

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監督・キャプテン
大東文化大学の青柳監督(左)と高橋キャプテン

大東文化大学

○青柳勝彦監督

「本日はありがとうございました。お疲れ様でした。勝つためにはディフェンス、タックルで勝負と選手には伝えてきました。大東の前へ出るタックルを遂行しましたが、帝京さんの激しいアタックに負けたと思います。しかし、大東の持てる力は出せたと思います」

──相手の中村キャプテンも素晴らしいチームと言ったが?

「常に、アタックもディフェンスも攻撃的に行こうと、ほとんどキックもなしでやっていこうとしてきました。結果は大差だが、選手は攻撃し続ければ前へ出られることが分かったでしょう。そこを評価したいと思います。昨シーズンに比べれば、前半、負けてはいたが、かなり良い勝負をしていました。結果、負けたのは、もう一歩足りない部分があるからだと思います」

──去年は入れ替え戦だったが?

「高橋キャプテン中心に、あきらめない気持ちを植え付けられたからだと思います。春からフィット、ウェイトを徹底的にやってきたことが出せました」

○高橋洋丞キャプテン

「春からやってきた攻撃的なディフェンスを、チャレンジャーとしてやり続けました。前半は良いラグビーができましたが、帝京さんの激しいラグビーに一年間やってきたことを崩されて、強さを押し出せませんでした。勝てなかったのは悔しいが、もてる力をすべて出せたので、今はすっきりした気持ちです」

──身体を当ててみて?

「最初の元気なうちは、身体を当ててアタックすれば同じ人間ですので、すごいとは思わなかったが、後からボディブローのように効いてきました」

──勝てば国立だったが?
「今日の試合では、とにかく勝ちにこだわると。国立うんぬんでなく、目の前の相手を倒すことだけ考えてやりましたが、負けたのはキャプテンである僕のせいです」

(*) 高は正しくは「はしご高」