流通経済大学 11-36 筑波大学【セカンドステージ 2013年12月22日(日) /東京・秩父宮ラグビー場 】 筑波大、山沢、福岡らがしっかり役目を果たし、対流経大に快勝。準決勝進出を決める。 昨年度大学選手権準優勝の筑波大に対し、今季リーグ戦優勝の流通経済大。どちらのチームにとっても大きな目標である正月の準決勝進出のためにはこの試合は必勝である。秋はケガ人で苦しんだ筑波大がベストの布陣で臨み、バックスの山沢拓也、福岡堅樹らの活躍で5トライの快勝。準決勝進出を決めた。 試合開始直後は流経大が筑波大陣内でボールを支配し続けアタックを繰り返し、6分には筑波大のオフサイドを誘い、流経大SO合谷和弘がPGを決め、流経大ペースで試合は始まった。しかし、筑波大は前半10分、スクラムからフェイズを重ねてアタック、最後にはSO山沢が流経大のタックルを3人かわしてインゴールへ(ゴール不成功)。すぐに筑波大が3-5と逆転した。 筑波大は16分にもラインアウトからFW、バックスが一体となりフェイズを重ねてアタック、WTB福岡、HO村川浩喜らのいい突進でゴール前に迫ると、最後は右ラインに回しWTB山下一がトライ(ゴール成功)、3-12とリードを広げた。さらに、30分には中央スクラムからの左ラインアタックでCTB亀山宏大が抜け、タッチ際をいいスピードで走り込んできたWTB福岡にパス、福岡がそのまま走り抜け、ゴールポスト下にトライ(ゴール成功)、筑波大はリードを3-19とした。流経大もラインアウトでは優位に立ち、よくボールを確保しアタックするが、攻め込むと筑波大の好ディフェンスに反則でチャンスをつぶすことが多い。流経大のFW選手はバックスラインに並んでも、上手にボールを扱い、また、FLリサレ、No.8高森らのサイドアタックを起点に敵陣に攻め込むが筑波大もよくタックルし、トライは許さない。 しかし、後半11分に、流経大はアタックを繰り返し、筑波大のピックアップの反則を誘い、PGでの3点を返した。さらに、17分には、筑波大ボールのラインアウトで流経大がボールを獲得、流経大FWが押し込んだモールから出したボールを、CTB木村海斗がWTB桑江健一郎に大きく飛ばしパス、桑江がトライ。流経大が得点を11-19まで返し、残り20分余りでの逆転へ望みをつないだかに思えた。しかし、その直後、筑波大はキックオフからのカウンター攻撃でフェイズを重ね敵陣に攻め込み、LO目崎啓志の突進から最後はFB片桐康策→WTB山下一とつなぎ、ノーホイッスルトライ(ゴール成功)。筑波大は11-26と流経大を引き離した。筑波大は、28分にPGで3点加点した後、35分にもスクラムサイドをSO山沢が抜け、最後はWTB福岡がトライを決め、11-36として、そのままノーサイドとなった。 秋シーズンはケガ人も多くメンバーも固定できず、対抗戦4位に甘んじた筑波大だが、ここへ来てケガ人の多くが復帰、得点力のあるバックスプレーヤーがしっかり仕事を果たし、準決勝進出を決めた。しかし、まだ、反則の多さや不安定なラインアウトなど、課題も残る。準決勝では、これらの課題を修正し、昨年以上の活躍をすることを期待したい。 (正野雄一郎) photos by RJP H.Nagaoka 流通経済大学の内山監督と高森キャプテン 流通経済大学 ○内山達二監督 「...どうでしょうかね...(と、言葉にならず)。この3週間、本当に良い緊張感を持って練習してきました。学生たちはベストを尽くしてやってくれました。それだけです」 ──流れがつかめなかったが? 「今週は特にタックル、ディフェンス、ブレイクダウンに力を入れてきて、その通りできたと思います。そのあとの攻撃がつながらず得点できませんでした。練習からやってきたことを選手はやりきってくれました」 ──リーグ戦との違いは? 「まったく、接点での攻防のプレッシャーのレベルが違うと思います。一人一人のタックルとダブルオンタックルの精度が高いです。リーグ戦であれだけのプレッシャーを掛けてくるチームはありません。スピードの差と体格差、フィジカルの内容も考えなくてはなりません」 ○高森一輝(*)キャプテン 「前半からチャレンジし続けたのですが、1対1の個人の差と、ミスとかプレッシャーで後手に回ってしまったのが敗因です。しかし、チャレンジし続けることができました。敗戦しましたが、出し切ったと思います」 (*) 高は正しくは「はしご高」 ──筑波の強さは? 「タックルからのブレイクダウンで、一人目、二人目のリアクションとボールへの身体の寄せ方、スピードが違いました。流通経済大はタックラーのリアクションに負けて安定した球出しができませんでした。ブレイクダウンのところが一番大きかったです。試合中から声を掛けて、サポートを早くしたかったのですが、筑波さんはダブルで良いタックルをしてきて、サポートが間に合いませんでした」 photos by RJP H.Nagaoka 筑波大学の古川監督と内田キャプテン 筑波大学 ○古川拓生監督 「本日はありがとうございます。このゲームはいくつかのテーマに取り組みました。ひとつは選手権でのペナルティについてで、規律を守りながらファイトできなかった部分です。今日は結果として課題は残りましたが、接点で選手は受けることなく、前へ出たのでスコアできたと思います。選手は力を持っていますので、さらにステップアップしていきたいと思います」 ──準決勝では? 「3年連続の国立だな、と感慨があります。昨年までは勢いだけでしたが、積み上げ、積み上げ、このチームがまた昨年と同じところまで来ました。また一つ、チームとして合ってきたものがあると思います」 ──成長した部分は? 「バックスのメンバーが固定できてきました。あうんの呼吸でチームとして精度が上がってきたと思います」 ──スクラムのルール変更は? 「これは何とも言えません。シーズン頭はうまく戦えなかったのですが、今日はすべてスクラムが安定して、選手の成長を感じます。秋からものすごい成長を積み上げてきたと思います」 ──ブレイクダウンは? 「常に、チームの中で最優先事項です。二人目、三人目の寄りと、寄った人間の判断です。ブロックするか、ピックしてもう一つ前へ出るのか、状況によって判断しています。今日は、流通経済大さんはブレイクダウンに人数を掛けてきましたが、あの圧力の中で自分たちのテンポを維持できるかが、これからも課題です」 ○内田啓介キャプテン 「本日はありがとうございます。筑波としてこの試合にすべてをかける覚悟で臨みました。ディフェンスでずっと我慢できて、アタックの時間はきっちり攻めることができ、ターンオーバーもしっかり生かせたのがスコアにつながりました。これから、絶対に抜かれないディフェンスをつくって準決勝に臨みたいと思います」 ──山沢選手の成長は? 「走れるし、蹴れるし、味方を活かせるし、バックスをずらす能力も、前へ出る力もあるし、継続する力があり、すごい長所をもった選手です。自分はチャンスがあれば走りますが、今のファーストチョイスはパスです。パスする側としてすごくやりやすいです」 ──3年連続の国立だが? 「このシーズンに入って、色々な経験をしてきました。勝てなかったり、勝てそうな試合を落としたり。その経験を1月2日に出して、あと一つ、去年取れなかった日本一を取りたいと思います」