マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

日本大学 0-66 筑波大学
【セカンドステージ 2013年12月15日(日) /東京・秩父宮ラグビー場 】
12月15日、秩父宮の第一試合は筑波大学と日本大学。

天気に恵まれ日陰は風が冷たいものの、グラウンドの大半は暖かい日差しに覆われていた。

筑波大学は前半10分までにバックスで2トライ、SO山沢拓也のキックも決まり14-0とし、日大は密集で反則をせざるを得ない状況が続いた、また筑波大学は20分と24分にはフォワードでトライ、特にHOの村川浩喜は山沢のスピードによくついていってのトライだった。

その後前半26分頃からは筑波陣内でのゲームとなる、日大は筑波大22m陣内まで攻め込みラインアウトからフォワードがラックでじわじわとゴールラインに迫る。

試合後の記者会見で日大の大窪遥バイスキャプテンが「フォワードなら押せると思った」と話していたが、このチャンスに何度か密集サイドを突いたり、相手の反則時にはスクラムを選択したりと徹底的にフォワード戦を仕掛け、筑波もこの攻撃には反則を繰り返した。

しかしその後日大がバックスに展開したタイミングで筑波はしっかりタックルに入り、結局ラインを22mラインまで押し戻した。

その後も筑波陣での長い攻防は続いたが、日大がスクラムから出したボールをキックしてバックスを走らせたものの、結局筑波にボールを押さえられ前半は終了。

日大は前半最後の粘りを後半は出すことができず、筑波自慢のバックス陣によるトライラッシュとなった。

日本代表として活躍するWTB福岡堅樹だけでなく、後半18分から登場した控えの竹中祥も後半だけなら福岡に並ぶ2トライをあげた。

竹中については客席もその登場を待ちわびていて、アナウンスで名前が読み上げられた時には大きな歓声があがり、その期待を裏切ることなく持ち味の強い走りと突破を見せてくれた。

試合後の記者会見、勝った筑波の古川監督と内田啓介キャプテンは次の流通経済大学に対して「切れないディフェンス」「強みのディフェンス」をポイントにあげた、そして流通経済大学に対しては「広い攻撃をするイメージ」と。
筑波大学のバックスによる攻撃力はディフェンスが安定しているからこそ生きるもの、破壊力も持ち合わせる流通経済大学との全勝対決はこのプールで最も注目すべき試合となりそうだ。

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photos by RJP H.Nagaoka
会見リポート
 

監督・キャプテン
日本大学の加藤監督と大窪バイスキャプテン

日本大学

○加藤尋久監督

「お疲れ様です。ありがとうございました。2戦して、今年のチームは得点力が高いチームではないので、良い選手を揃える筑波大学さんに、ディフェンスでどれだけ粘れるか、わずかなチャンスをどれだけ得点に結び付けられるかにチャレンジしようとやってきました。選手は頑張ったのですが、完敗です。男の子から漢(おとこ)にならないと、ああいうチームに勝てないと感じました。一日も早く、一人前の漢(おとこ)になってほしいものです。何か、ほんのちょっとしたキッカケがあれば。ハーフタイムにも、戦えてないね、と選手には伝えました。選手には、本当の意味で『戦う』ということを、もう1試合でやらせていきたいです」

──筑波大学のポテンシャルは高いが?

「こちらが優位に立てるとすれば、テリトリーとかボールキープとかしかない。しかし、テリトリーを取るためのロングキッカーがどちらに居ますか。後半、筑波さんはハイパントばかりだが、そこで前へ出られない。優位に立てる可能性は厳しいと認識していました。あそこで、相手のミスを誘うディフェンスをしなければ。やはり、本当のところで戦っていないと思います。筑波さんはコンタクト、スピードもあるから、そこで受けに回ってしまいました」

──山沢選手は?

「山沢君も内田君も福岡君も、日本代表に呼ばれて社会人に揉まれています。経験値が違っています。筑波さんは去年決勝に出て、悔しい思いも味わっている。人としての器のところで、多くの試練を乗り越えて、向き合っている。そのため、一つ一つのプレーの厳しさが違います。そこで差が出ました。山沢君は、今日は6割くらいだと思います。こちらはハーフ団にプレッシャーをかけようとしましたが、うまくかわして、他の選手を使っていました」

○大窪遥バイスキャプテン

「僕らは今日、前半からディフェンス、アタックで前へ出てプレーしようと言ってきました。後半も打開することできず、ズルズルと試合したのが、この結果になった理由だと思います。来週は、ディフェンス、アタックで前に出る試合をしたいと思います」

──10次攻撃まで続けていたが?

「筑波さんは絡むのが速いので、こちらも寄りを速くしようとやった結果でした」

──前半、ゴール前でスクラムを選択したが?
「スクラムでまず押して、チャンスを作ろうという考えでした」

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photos by RJP H.Nagaoka
 

監督・キャプテン
筑波大学の古川監督と内田キャプテン

筑波大学

○古川拓生監督

「本日はありがとうございます。負ければ終わりという中、選手権を争えるのを嬉しく思います。けが人が多く、メンバーを固定できない状況の中、合わせるのに時間がかかりますが、その中で選手が成長しています。急な変更があってもつり合いができています。一戦、一戦、チームとして成長できたと感じています」

──成長とは?

「対抗戦では、崩しているのに獲り切れない、なかなかスコアできないという面がありました。外から見ていると、小さな一つのパスが通らなかったのが、ここに来てできてきました。前半の山沢のパスなど、シーズン初めよりタイミングが合ってきました」

──竹中選手は?

「水曜の練習でBチームに入れたのですが、課題のディフェンスも良くなってきて、Aチームを切り裂くアタックもできて乗ってきています。今日もしっかりやってくれました。わずかな時間だが、強みも出せたし、良い経験になったと思います」

──流通経済大学戦のポイントは?

「筑波の切れないディフェンスがどれだけできるかだと思います」

○内田啓介キャプテン

「本日はありがとうございます。同志社大学さんとの一戦のペナルティが多かった反省を生かしていこうとしましたが、今日の試合でも前後半改善されず、悪い流れもありましたが、スコアを0に抑えたのは良かったと思います。次の一戦、絶対勝って、決勝トーナメントに進みたいと思います」

──ペナルティの多さは?

「自分もギリギリのプレーでOKかと思いましたが、レフリーとコミュニケーションをとって、片手が放していないなど細かいことを指摘されました。良い情報を得られましたので、練習で改善したいと思います」

──流通経済大学戦のポイントは?

「自分たちの強みはディフェンスだと思っています。ここに来て機能してきたので、我慢すれば絶対に前へ出られると思います。流経大さんは広いアタックをしてくるし、キープレーヤーが何名かいます。それを抑えて、前へ出るディフェンスをすれば大丈夫だと思います」